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半分くらい夢

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夢でみた景色をもとに短いお話を書いていきます
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記事一覧

環状線

電車から降りることができない。
多分ここは山手線だと思う。さっきおんなじ景色を見たような気もする。
わたしは、ドア付近の椅子に腰掛けていて、どこへ向かおうとも思っていない。ただ、どういうわけか降りるのが億劫で、それでもう何周もしている。
乗った時のことは、よく覚えていない。

私は思い出そうとする。だけどその記憶の糸を手繰り寄せようとすると、全く関係のないものばかり、次から次へと私の眼裏に浮かび上

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死について教えてください

死、それは、生命活動の停止を意味します。生命あるものはみな死に至ります。人間の場合は、多くの場合心臓の停止をもって死と判断されますが、例えば「脳死」というものもあり、何をもってして死とするかは、個人の判断に委ねられている部分もあります。

─死んだら、どうなるのですか。

人間なら、多くの場合葬儀が執り行われます。形態は死者、あるいは弔う人々の宗教によって変わりますが、何らかの形で魂を浄化したと彼

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さみしいひと

人を待っている。でもさほど会いたい人でもない。スマートフォンが光って、メッセージが表示される。
「何色の服着てますか?」
黒のコートです、と打ち込んでから、私は別のトーク欄を開き、半年前から既読がつかない画面をぼーっと眺める。

リリカちゃんとは、ある日を境に連絡が取れなくなってしまった。どうしてかは知らない。私がリリカちゃんの気に触るようなことをしていたのかもしれないし、あるいは単に、私に興味が

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アルファルド

2021.1.18

 6日前のことだった。風呂場の浴槽が宇宙と繋がっていた。いつまで経ってもお湯が溜まらないことを不思議に思って浴槽の底を覗き込むと、そこは宇宙だった。宇宙が浴槽と繋がっているのか、浴槽の中に宇宙があるのか、定かではない。あるいは、どちらも同じかもしれない。
まぁ、そんなこともあるのかもなぁ、と思って、それからはシャワーだけ浴びるようにしている。
 謎の疫病が流行ってから、感染拡

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金縛り

ひと眠りしようと思ってベッドの上で横になり、体が動かないことに気が付いた。
またこれか、と思った。変な眠り方をすると大抵これが起こり、これが起こるときは大抵──、と思った矢先、玄関の方からガチャガチャとドアノブを回す音が聞こえた。ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ。

「あけてよ〜」

男なのか女なのかわからないくぐもった声だった。ガチャガチャガチャガチャ。
夢だろうと思った。そして

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存在しない記憶:1999年

一体いつまでやるんだ?

平日が来て、毎朝デスクに座るたび、私はずっとそう思っていた。
私は一体いつまでこれをやるんだ?
いや、私でなくても、隣の先輩とか、前の席の上司とか、この会社じゃなくても、この世のありとあらゆる人たちは、一体いつまでこれをやるんだ?
私はこうやってお金を稼ぎ、その稼いだお金で服やら食べ物やらを書い、それを食べたり使ったりだめにしたりして、また同じことの繰り返し。それは三途の

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蒸発

「蒸発してますね、あなた」
「は?」
医者はこともなげにそう言った。
「蒸発、してます」
「蒸発ですか…?」
「はい。蒸発です」
彼がなにを言っているのか、理解できない。
「蒸発って、水とかを部屋に置いとくと、しばらくしたら水嵩が減ってる、あの蒸発ですか?」
「そうです、その蒸発です。こうしている間にも、あなた、少しずつ空気になっていってますよ、気付いてます?」
「え、そんな、困ります」
換気の行

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希釈犬

犬が増えていく。
「あれはなんですか」
私が尋ねると男はこともなげに答える。
「ああ、あれは希釈犬ですよ」
「希釈犬?」
「ええ。ご存知ないですか?希釈犬は、ああして薄めて増やすのですよ」
「は、はあ」
そんなやりとりの間にも、犬は1匹、また1匹と増えていく。
「何を希釈しているのですか」
「あれですよ」
男が指差した先には、3階建てのビルほどもある大きな犬が座っていた。
「あの犬を、我々はオリジ

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