見出し画像

「『Toc Toc Woodman』を模倣した『Bamboo bash』騒動」について、書いてみる。

最初に全く関係ないお知らせ。

Kickstarterにて、将棋の駒を漢字ではなく動きのアイコンであらわした『Design SHOGI』、そして将棋をベースにしてコンパクト化した『Le SHOGI』『Pop SHOGI』のプロジェクトが稼働中です。
終了日は3月9日(火)。
みなさま、よろしくお願いします。

以上、お知らせ。
では、本題入ります。

『Toc Toc Woodman』『Bamboo Bash』とは?

珍ぬが初めて『Toc Toc Woodman』を知ったのは、名古屋のボードゲームショップ「バネスト」さんのネットショップでした。

韓国のメーカーGembloが制作。
初版は2008年。

今回の騒動となったのは『Bamboo Bash』というボードゲームがKickstarterでプロジェクトを立ち上げた前後になります。

2021年2月24日に開始。
同日に炎上し、キャンセルする事態となりました。

【追記:2021年3月1日】
キャンセルはプレッジ関係の数値が正常に反映されないトラブルなど、複数の要因があったようです。
炎上は、キャンセル関係なしにひろがった、と思われます。


では、両者を見比べてみましょう。

『Toc Toc Woodman』(Boardgamegeekより引用)

画像1

『Bamboo Bash』(Kickstarterより引用)

画像2

ん?んん??んんん〜〜〜〜???!?!?

なんか似ているというか、似すぎていない?

結論ですが、似ていて当然でした。


3社の共謀??

まず、今回の騒動を知ったきっかけは、上杉真人さんのツイートでした。

Kickstarter の Bamboo Bash は、Toc Toc Woodman の盗作だという指摘。キャンペーンを行う Imperial Publishing は Mayday Games の傘下で、Mayday はもともと Toc Toc Woodman を正式ライセンスで販売していたが、契約終了に際して模倣品を発売しようとしているとのこと。
この件に関するBGGのスレッドと Sleeve Kings の弁明(Sleeve Kings と Mayday Games は同一創業者の会社だが、設立当時に「なぜ別会社のふりをするのか」と批判されたことがある)。「ドミニオンからも多くのデッキビルダーが生まれた」というのもMaydayが言うと重みがある?

なんか複数の会社があがってややこしいですが、すこし時系列を整えつつまとめてみます。

資料としてBoardgamegeekのバージョンリストを参照しました。

まず、大元となる『Woodman』。
これは、2008年に韓国のGembloから出版されました。
2010年にタイトルを『Toc Toc Woodman』に変更して再販します。

その1年後(2011年)に、MaydayGamesがライセンスを取得したと思われます。
タイトルを変更して『Click Clack Lumberjack』を出版します。
このゲームの制作者の1人としてGemblo代表のJustin Ohさんの名前も、タイトルの左上にクレジットしています。

画像3


さらにほぼ同時期に、MaydayGamesは英語版『Toc Toc Woodman』を出版します。

画像4

こちらも、タイトルの上にJustin Ohさんのクレジットが冠されています。
さらにコピーには

THe SMash-Hit KoreaN gaMe

と謳っています。

ちょっと雲行きがあやしくなるのは、2013年に再販した『Click Clack Lumberjack』です。

画像5

『Toc Toc Woodman』ではタイトルの上にあったJustin Ohさんのクレジットが外れました。
まあ、タイトルが異なるという見解もありますが、

箱絵のデザインはほぼ一緒ですね。

しかし、2年後の2015年。

なんとKickstarterプロジェクト『Click Clack Lumberjack 2.0』を始めます。
このプロジェクトのクリエイターは、Seth Hiattさん
『Bamboo Bash』を制作した、Imperial Publishing incの代表です。
さらに、MaydayGamesのCEOでもあり、Sleeve Kingsの創業者と、複数の会社が絡んでいるようにみえつつも、胴体は1つです。
一緒くたに考えて大丈夫です。

注目したい点は、クレジットからJustin Ohさんの名前が外れています。
さらに、実は箱にはGembloのメーカーロゴも、MaydayGamesと並んでいましたが、本製品では「KOREA BOARD GAMES」のロゴに変更されています。
これは、韓国版『Toc Toc Woodman』の第3版が、GembloとKOREA BOARD GAMESの共同出版という事情もあるからでしょう。


さて、時系列で追ってみたことで、こんな推測が立ちました。

『Bamboo Bash』は、『Click Clack Lumberjack 2.0』から派生したゲームと認識しつつ、説明として『Toc Toc Woodman』を使ったのではないか。

GembloとJustinさんから若干距離を置いてチャレンジした『Lumberjack 2.0』の成功が、ライセンス契約の期限切れをきっかけに、更に独自でアップデートした『Bamboo Bash』の制作へと拍車がかかった、かも知れません。


Justinさん、コメントする

一方、『Bamboo Bash』を制作して発表するまでの期間、GembloのJustinさんには報告・連絡・相談のひとつもなかったようです。
Justinさんは、Kickstaterプロジェクトではじめて知ったようです。
いやはや、ショックでしょうね。

英語でのツイートもありました。
So sad! I saw Bamboo bash, a very similar game with Toc Toc Woodman on Kickstarter. They didn't hide the fact that it is very similar with my game. I can't understand why some youtuber smashed Toc Toc Woodman in his video.
翻訳:
とても悲しい! KickstarterでTocTocWoodmanと非常によく似たゲームであるBamboobashを見ました。彼らはそれが私のゲームと非常に似ているという事実を隠しませんでした。一部のYouTuberが彼のビデオでTocTocWoodmanを壊した理由がわかりません。

さらに、『Toc Toc Woodman』に対しての思いなどを連続してツイートしています。

こちらは、翻訳しつつ読んでいただけたらと思います。

読んだまとめと感想:
『Toc Toc Woodman』は、カテゴリとしてはパーティゲームに入ります。
コンポーネントとしていいものができないと、ゲームにならなくなってしまう。
物理的な要因で、製作が難しい反面、ルールはできるだけシンプルにするので、コンポーネントさえ製作できれば、模倣品もつくりやすい傾向にあります。
いつ模倣品が作られてもおかしくない、それでも新しいボードゲームを制作する覚悟がみえました。

さて、『Bamboo Bash』を制作したImperial Publishing incは、Kickstaterの再チャレンジするためにも、遅ればせながらJustinさんにコンタクトを取っています。

私たちはあなたに連絡を取り、KBGを通じて何らかの取り決めや解決策にたどり着くように努めてきましたが、彼らは返答していないようですか?たぶんあなたはsleevekings@gmail.comで直接私達に電子メールを送ることができますか?これを友好的に解決する方法についてお話ししたいと思います。
※Google翻訳

なぜか、Sleevekings名義です(といっても、ほぼImperial Publishing = Sleevekingsです)。
さらに、KBGとは「Korean Board Games」の略称です。
直接Gembloに問い合わせていません。

Gembloの公式リンクをたどると、

「boardgamez」につながってしまいます。
なので「Korean Board Games」を経由して問い合わせた、ということでしょう。

……なんでしょうかね?この疎遠感。


終わりに

『Bamboo Bash』がどのように作られたのか、その顛末のブログをSleevekingsで書いています。

今回の「製品がほぼできあがっている状況でKickstaterを開始したら、炎上してキャンセルになってしまう」。
これって、

『TwixT』の騒動を彷彿とさせます。
そして、騒動の原因がこれまた異なるので、いろいろと考えさせられますね。

今後の動向次第では、その後の記事を書くかも知れません。

ひとまず、終わりにします。

では。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?