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「STARS展」

日本を代表する現代美術の巨匠の作品を見に森美術館に行って来ました。

「STARS展」というタイトルにはスタートした当時の初期の作品とオリンピックで注目されるタイミングの最新の作品を並列で並べています。

対比をしつつ、スターとなった事件を絵巻物のように展示しようという壮大な意図を感じます。

個人的には今年に入り急に意匠担当になり、いまいちな美感しか持たないことに危惧を覚えて、急場凌ぎにジタバタ動いて詰め込み教育してます。

なんとかしなきゃと書籍を中心にこれまで、芸術も含めて意匠を色々勉強してきました。

現代美術鑑賞って、学生時代や独身のバックパッカーの海外旅行で観る機会は有りました。でも、MOAやポンピドゥー・センターに行ったんですけど、レディ.メイドと言って市販品を展示したりしていて、全然分からなかったので敬遠していました。

脱線して日本人が最も行く美術館かは?

そういえば、何処かで日本人が最も行く美術館はルーブル美術館だと言う与太噺を聞いたのですが、完全にガセでした。

ルーブル美術館の来場者数は、

2018年の来館者数が1020万人に達したことを発表。これは、17年と比較して25パーセント増となっており、これまでの最高記録だった12年の970万人を大幅に上回るものだ。

だそうです。1000万人と覚えておきます。

対して日本ではどうかと調べると、

国内ミュージアム年間入場者数(2018年度)

国立科学博物館 266万人

国立新美術館 261万人

金沢21世紀美術館 258万人

お台場 チームラボ 231万人

(出典 綜合ユニコム社「月刊レジャー産業資料2019.09」)

だそうです。

確かにルーブルには一千万人と、日本の美術館来場者数の四倍以上いますが、日本人の来場者数は、不明です。

そこで対比するモノとして、日本からフランスへの旅行者数を調べると昨年度は55〜60万人台まで回復したそうです。

ということで、旅行者全員がルーブル美術館に行って、かつ駐在などしてフランスの現地やヨーロッパ近隣から訪れている日本人の数を含めても、国立新美術館 の261万人はとても越えそうに有りません。

まあ逆に国立新美術館 を訪れている外国人も居るので、日本人というなら261万人から減らす必要は有りますが、格差がクォーターの差なので追い越すのは現実味は有りません。

旅行先で美術館に行って来ました!って話はよく聞きますが、流石に海外の方が多いことは、無かったので良かったです。

観に行った作家さん

元に戻って森美術館では、日本を代表する現代美術の巨匠の共演。現代美術というとどうしても昨年愛知トリエンナーレの不都合な展示が思い浮かべられますが、今回の巨匠は、社会性に振ってないので観やすいです。

草間彌生さんはアンデイ.ウォーフォールさんのシルクスクリーンの原点であるとご自身が説明する、水玉の巨匠です。個人的には縄文土器を表すような鮮やかなドットが好きです。今回は男性に対する恐怖心を表して要るとも解釈されていました。

李禹煥(リ・ウファン)さんは草間彌生さんの縄文に対して、弥生時代の土器のように極限まで要素を減らす展示が逆に色々想像させます。直島で初めて見た時は、周りの頑張った作品の中で引き算過ぎて、省エネ過ぎると思いました。美術を勉強した今では関係項のように「もの派」を代表する展示だと穏やかに観に行けます。

宮島達男さんは、日本をイメージするLEDの展示が有名でそれに作品に参加できるのが魅力であると、言ってました。投げ銭のようなお金でも、カウンターのタイミングを作る実参加できるのも特色ですね。

村上 隆さん、YouTubeや本で自身の作品を解説しており、実物と見比べられるのが魅力です。遥か未来まで遺す事を念頭に浮世絵や、マンガなど日本芸術をスーパーフラットという解釈で紡ぎだしています。

最近、このままでは自己破産?というショッキングなコメントを自身で発信していますが、シルクスクリーンを張り付ける集団行動にはお金がかかるのでしょうね!

奈良美智さん 今回、一番観たかったので、展示が多くて良かったです。

青森みたいな東北の田舎にいたので音楽、ジャケットで美感を磨いたとか

栃木県の山奥で作成されているとか

他の現代美術の作家さんとの交流がほとんど無いとか

こういう事を知ると作品を観るのが、楽しみになります。聞いた内容が何処かに痕跡として残って無いかと見てしまいます。

キレイに作られた作品展には行ったことも有るのですが、落書きのような作品がフッと笑いを誘います。

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写真:奈良美智.無題

この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています。


杉本博司さん 古美術商をしていると有ったんだけど、それなら会いに行けそうです。隕石?が置いてあったり、写真の露光時間を長くとった天体観測のような作品など初めて観ました。

こんなご存命の作家さんを一堂に会するなんて、打ち合わせが大変そうです。名前の順番とかでもひと悶着ありそう。

初期の代表作を何にして、今回のオリンピックに合わせたリキサクノ最新作を如何に作って貰うのか?

それ以外の作品を置くのか、などなど

配置スペースやら、他の作家さんとの力の入れ具合など、殺伐とした雰囲気やひと悶着に想いを馳せます。

李禹煥さんの作品は館長のYouTubeによるとその場でガラスを割ったそうで、もの派ならではの作風です。


現代美術の良いところ

さて、モネやゴッホなど近代美術と比べて現代美術が優れているのは

①作者が生きている

これが全てといっても過言では無いのですが、

宮島達男さんの東日本震災の鎮魂の作品には実際にLEDカウンターの切り替えタイミングの設定を操作するなど参加できるんですね。参加者の名前がずらずら記載されていました。

②作品を作る時代背景を共有出来る

今の世の中に対する問題意識や、そこに流れる空気感を感じながら鑑賞出来ます。

レオナルド.ダ・ヴィンチの時代背景は本などで思い浮かべられますが、電気もカメラもない時代の作品だと今に生きる私たちは脳内変換が必要です。

③会いに行ける

ホントにファンになったら、イベントや、古美術商へ会いに行けそうです。

今回の森美術鑑でも、作品毎に作者の実声による解説付きなのは現代美術ならでは。

この辺りの作家さんとのやり取りや館内の配置、死人に口無しとは逆に(失礼)大変だったはずたと、普段の偉いさんとのやり取りから思慮してしまいます。

芸術と知財

著作権対策もしっかりホームページに記載してあり下記のように記載するよう説明しています。

他の人が入ると、その人の肖像権に気を付けることも書かれていました。

他の作品が写り込んでいるのは、グレーということで良いのかな?ダメなら下記のような写真も削除しますのでご一報ください。

作家名・作品名:草間彌生《ピンクボート》
この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際」ライセンスの下で許諾されています。

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ということで、著作権もまだまだ勉強が必要です。意匠の少しは美感を培えたかな?

今回は現代美術の毒や反社会的な作品はほとんど無いから、観るのが終わった後もサクッと六本木を探索出来ました。

これは直島や越後妻有アートトリエンナーレとかと同じような感じでした。

逆に企画展なので集客のためメディアミックスが活発で、先ほど書いた館長のYouTube以外にも、

少なくともメディアミックスとして雑誌Pen で今回の現代美術がフューチャーされていました。

コロナ禍でなければミーハーな私みたいなので活況だったはずなので残念でした。


9/27追記:

テコ入れのため?NHK  eテレの日曜美術館で対談をやってます。

村上隆の作品が16億円と聞いて、息子が「ならSwitchの方が良い‼️」と叫んでます。買えないからな、そんな額。

石に割りばし、こんな絵なら僕でも書ける!

将来性豊かな怖いもの知らずのコメントありがとう。期待してます。

その人たちが対談を行うのは現代美術鑑賞の醍醐味ですね。光を集める行動や海などキーワードがキャッチです。

時間の意識を持ったときに初めて意識が産まれた

長谷川等伯と時間とを話していて、こういう見方や感覚を、今度は持って見てこよう。


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