セブン(1995)
ネタバレ注意。
ベテランとルーキーの刑事物である。
7日後に引退し、平凡な暮らしを求めているベテラン。老刑事サマセット。
殺人現場には引き継ぎとしてルーキー、新米刑事ミルズが配属される。
サマセット「子供は殺人現場を見たのか?」
同僚「そんな事どうでもいいだろ。ガキの心配は仕事じゃねえ」
階段を上がってくるミルズ。
ミルズ「サマセット刑事?ミルズです」
無関心が最大の敵である、という考えを持つサマセットは、仕事ではないはずの新米刑事へのサポートを行わずにはいられない。それがどんな結果になっても。上記のシーンは、その事を出会の瞬間から示唆している。
ベテランは冷静でやや悲観的なところがある(それはさまざまな経験をしたからだ)。知識も豊富で、慎重。独身で、孤独を抱えている。
ルーキーは対照的に、感情的で楽観的なところがある(経験が不足しているからだ)。知識に乏しく、その分、勇敢で行動が早い。妻がいて幸せ。
犯人は異常な連続殺人で二人を挑発する。
ベテランは冷静で挑発に乗らず、ルーキーは感情的で挑発に乗りやすい。
犯人は、賢く、冷静で、独自の正義感があり(それゆえ罪人を殺す)、孤独である。
つまり、犯人はベテランの「鏡像」になっている。
世界観や動機、性格は共通しており、しかし刑事と犯人という結果が違う。
犯人はルーキーの弱点が感情的であること、そして妻の存在だと見抜く。
さらに、ベテランの弱点はルーキーの存在であることも見抜いている。
ベテランはルーキーの未来の姿である。
ルーキーはベテランに反発しつつ、多くのことを学ぶ。
ベテランはルーキーの姿に既視感と懐かしさを覚える。
「そんな時期が俺にもあった」と。
犯人はベテランの“あり得たかもしれない“もう一つの姿である。
お互いに似通ったところがあり、ベテランは犯人に共感を覚えている。
ルーキーはベテランとの信頼関係を築いた先で、より犯人を憎む。
犯人は、(ベテランの鏡像であり)ダークサイドに落ちた自分の将来かもしれないからだ。
ダークサイドに落ちた未来の自分を殺す。
それはSF映画やファンタジー映画ならグッドエンドだ。
しかし、現実を舞台にした映画では(ましてや主人公が刑事なら)
バッドエンドとなる。
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