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Interstate Love Song

先日、コロナワクチン接種2回目の副反応で休んでいる最中、東京リベンジャーズを24話一気に見ました。御存知の通り、タイムリープを覚えたヤンキーが、そのままだとグループ間の抗争に巻き込まれ殺されてしまう恋人を、未来を変えることで助けようと奮闘する物語です。お話自体はスピード感があって面白いのですが、ずっと引っかかりがありました。主人公はなぜわざわざ暴力の世界をそのまま生き抜いて未来を変えようとするのだろう。ほぼ物語の全否定ですが、本当に恋人を救いたければ、あなたがまず暴力の世界と関わらない生き方をするのが最善策でしょう。それでも、あなたがアホな行動をしてくれるおかげで我々は物語を享受できるわけですが。

ロック界においてアホな行動をした困ったちゃんのひとりがSTONE TEMPLE PILOTSのボーカル、スコット・ウェイランドです。ヘロイン漬けの生活を送って周りに迷惑をかけ、ヘロインにまつわるあれこれを歌にし、ヘロインのリハビリでソロアルバムを作り、ヘロインをやめていいパパになったと思って油断してたら最終的にヘロインとコカイン混ぜたやつで死にました。

この曲も、ヘロインはやめた、と恋人に嘘をついた実話を歌っている曲です。自分が全部悪いのに自責の念に駆られて、あろうことか女性視点で語っています。

Breathing is the hardest thing to do
With all I’ve said and all that’s dead for you

「私が話したこと、無意味になったことで胸が詰まって息ができない」

Leaving on a Southern train
Only yesterday you lied
Promises of what I seemed to be
Only watched the time go by
All of these things I said to you

「南行きの列車で行く。あなたが嘘をついたのはほんの昨日の話。
私が期待した約束は、私があなたに言ったこと(=無意味になったこと)を横目にすり抜けていった」

なーにがOnly yesterdayじゃもっと前から嘘ついとったやろ、とは思いますが、ともかく、スコット・ウェイランドはこういうマッチポンプでほっとけないロックスターになっていくのです。

2015年12月3日、彼は急逝します。その際、彼の元妻がエッセーを発表しました。彼の死を美化しないで欲しい、子どもたちはずっと父を失った状態であった、と。彼および彼のようなロックスターのドラッグ癖によって数々の名曲は産み落とされましたが、彼らの”自分と地続きでないが故に”愛しく感じられるキャラクターと、実際に犠牲になった家族の間でずっとアンビバレントな感情でいます。

この文章は「note CREATOR FESTIVAL」のお題企画、「#スキな3曲を熱く語る」というものを見つけて書いてみたのですが、すでに1300字くらいあるので1投稿で3曲書くのは諦めます。

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