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ZOOMO WILDLIFE HEALTH CENTERの建設へ向けて

ZOOMOの動物病院では、獣医師2名、動物病院専属飼育1名の計3名で動物たちの診療を行っています。ZOOMOには動物たちがたくさんいるので、診療が1件もない日はほとんどありません。私たちは約60種300頭羽の健康管理を任されているのですが、逆に動物たちの立場からみると選択肢は私たちしかないということを忘れずに、日々動物医療の向上を目指しています。
 動物園動物の医療は想像がつかない人も多いようですが、どんどん発展していくヒトや身近なイヌやネコの医療とは異なります。未知の部分も多い野生動物が主となる動物園動物は知識や技術面で遅れているだけでなく、検査や治療のための十分な設備を整えられる動物園は限られています。さらに、そもそも触ることのできない野生動物たちの病気を診断して治療しなければならないという、無理難題の多い状況ですが、そのしわ寄せが動物たちにいかないよう、日々工夫をしながら診療を行っているというのが現状です。
しかし、このようなマイナスの状況であってもそれが医療環境を変えていくというモチベーションや、やりがいにつながる事も多々あります。そんな中で新しい病院建設という大きな機会が巡ってきました。


< 長年動物たちの健康を守ってきた現在の動物病院 >

新しい動物病院は“ZOOMO WILDLIFE HEALTH CENTER”という名称を考えています。これには、ZOOMOの動物たちも岩手の野生動物たちも共に健康であり、ワンヘルスの拠点でありたという思いが込められています。この“ZOOMO WILDLIFE HEALTH CENTER”(以下ZWHC)は、豊かな自然に囲まれ、昔から動物たちと共に暮らしてきた盛岡の風土を体現したような建築となる計画です。内部構造はまだ構想段階ですが、診療室や検査室などの医療機能を充実させるほか、亡くなった動物たちの死因精査をするための解剖室も必要になります。また、東日本大震災で被災した動物園の一つとして、災害などが起き、ライフラインが閉ざされた時でも動物たちを守ることができる設備は最低限備えたいと考えています。
さらに、今後日本だけでなく世界においても重要な課題になるであろう、人獣共通感染症や、動物園動物の高齢化や終生ケア問題、野生動物問題などに対応できる病院にしたいという希望があります。理想を挙げるときりがないのですが、特に動物たちのケアの面では、動物たちが快適に過ごせる環境となるよう細部にもこだわりたいと考えています。


< 高齢個体のケアや幼傷病野生鳥獣の保護も充実させたい >

また、改めてZWHCの役割を考えた時、動物園の動物病院という特殊な病院だからこそ、医療以外の役割が必要だと考えました。私たちは動物園で動物の魅力を知ったり、癒されたり、動物たちが置かれている現状を知るなど様々な経験をしますが、そのきっかけを作ってくれるのは健康で生き生きとした動物たちです。
その一方で、動物たちは人と同じように老いたり、様々な理由で病気をしたりします。治療で回復することもあれば、治らない場合は寿命を全うできないことも多くあります。生や死の繰り返しは動物園の日常ですが、あまり知られることはありません。動物たちの治療やケアを通じて思うことや、死を見届けるからこそ感じることがたくさんあります。ZOOMOでは、このようなネガティブに感じる動物の治療や死亡についても公表することで、自分たちの責務を自覚すると共に、多くの皆様に命の本質を知ってもらえるのではないかという考えから、オープンな医療を心掛けています。
このようなことからZWHCでは、動物園という環境の中で病気やケガで苦しむ動物たちを減らし、動物福祉を向上させることだけでなく、ZOOMOを訪れた皆さんと動物たちの生老病死に寄り添うことで、訪れた人がそれぞれに思う“命”について、改めて考えるきっかけになることを目指しています。


<動物たちの診療の現場 >

ZWHCが完成した暁には、動物たちにより良い医療環境を提供し、動物福祉向上の基本である「健康」を守ると共に、「One World-One Health」の考えの元、自然と動物と人との命の繋がりについて共に考え伝えていきたいと思います。
私たちの理想の動物病院であるZWHCの建設は、世界的に有名な槇総合計画事務所様が基本設計をしてくださることになっています。これからどれだけ多くの資金を集めることができるかに掛かっています。私たちの思いを形にするため、どうか応援をよろしくお願いいたします。

動物病院チーム 獣医師 松原

※新動物病院の建設寄附と動物医療費寄附のご支援方法についてのお知らせ※

動物病院チームの生の声を聴く貴重な機会です!ぜひご参加ください。

2024年1月14日(日)開催 動物病院応援ツアー