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ラグビールールがわからないあなたへ③(これを読めば高校のときラグビーやってた風くらいにはできるノート)

気づけば完全に勢いで始めたこのシリーズも第三弾です。
①②を読んでいただいたみなさんはもうほとんどラグビーを盛り上がって見れることは間違いなしです。忘れた方は日本南ア戦前にもう一度見返してください。

最近、社外の方と会うとほぼラグビーの話になりがちなので、念のため補足しておきますが、私は別にラグビー協会関係者でもなんでもなく、このノートもそもそもビジアカのつもりで開設したものです。。今会社で従事しているM&Aのあれこれや、ベンチャー買収における事業会社の辛いところをツトツトと発信していこうかなあと思っていたところ、ワールドカップが始まり、なぜか初回がラグビーネタになってしまっただけのしがないサラリーラガーマンです。

さて、第三弾は別に知らなくてもラグビーを見るのには困らないし、知らなくても「うぇーい!」って言っておけばごまかせるからダイジョブだけど、知ってたらもっとラグビー楽しめるぜネタを引き続き知らなくてもいい余計なことを省きつつシンプルに伝えていくシリーズとなります。こんな場面あるある!的なのを補足していきます。

22メートルライン

よく出てくるんで覚えててください。文字通り、ゴールラインから22メートル歩いたところにあるラインなんですが、

22mライン

この22メートルラインにまつわるルールはたくさんありますが、大概どれもこれも知らなくていいです。例えば、マーク。誰?となりますが、名前ではありません。これは、相手がキックしてきたボールを自陣の22メートルライン内側でノーバウンドでキャッチし、同時に「マーク!!!!!」と声に出すことでフリーキックを得ることができるルールですが、大丈夫です覚えなくて。ほぼ選手の言ってるマークの声聞こえません。22メートルラインの内側でキックをダイレクトキャッチで試合が中断になったら、「出た、マーク!」って言うと、ラグビーやってた人が喜びます。「そう!マーク(ニコニコ)」ってなります。
という余談は置いておいて、ラグビー観るときに盛り上がる22メートルラインにまつわるルールを一つ共有。
それはキックによるダイレクトタッチです。
プレー中、自陣から脱出、ゲイン両方の意味で敵陣コート外に蹴りだすことがありますが、

22mライン2

こんな感じで。
22メートルラインの内側で蹴った場合は、ノーバウンドでダイレクトに出ても大きくゲインできるんで問題ないですが。22メートルライン越えて蹴った時はバウンドして出るか出ないかで大きくゲインの距離が変わります(というよりダイレクトで出ちゃったら不利になる)。
なので、シンプルに盛り上がるシーンで言うと、

22mライン3

これっす。キッカーの超絶コントロールに是非沸いてください。
尚、その流れで補足ですが、

これはアリです。ちなみにこのシーンは、ウェールズVSオーストラリアにてラスト4分4点差の非常に熱い試合を決定づける節目となった好プレーです。

次に基本戦術についてです。
えーと、たくさんあると思います。笑
基本的にラグビーは、ボールを持って走ってパスして捕まってボール出しての繰り返し、つまり密集(ポイント)展開(OFライン)の繰り返しであることは既にお伝えさせて頂いたとおりですが。基本的には、ラグビーはマンマークなのですが(下図)

基本戦術1

基本戦術3

こんな感じ。
なので、ディフェンスラインが整った状態のときに突破するのは原理で考えると難しいのです。

基本戦術5

すげーざっくり言うと、こんな感じでライン同士が進行し合うので、

基本戦術6

こんな感じで激突するわけですが、基本的に後ろにパスしているので、ディフェンスラインが完璧な状態でラインに広く展開しても大きくゲインできないのと、

基本戦術7

また、このボール出してくれるFWの必殺仕事人の人たちがポイントから遠くなってしまい、かけつけるのに時間がかかる、つまりボール出すのに時間がかかる、つまりディフェンスラインが再度整う、という状態になってしまいます。
そこで、
ラグビーの試合を見ていると気づくと思うんですが、ポイントの近くにいる仕事人の皆さんに近距離でツッコんでもらいます。

基本戦12

こんな感じで

基本戦8

これを繰り返し、かつボールを早くスピーディに出すことを徹底していくと

基本戦9

徐々に中央にDFが寄っていきます。

基本戦10

そうすると

基本戦11

ここにギャップができるわけです。
この最果ての人がウイングです。日本でいうと、松島や福岡のような足がめちゃくちゃ速い人です。このギャップの状態で、この韋駄天たちに回すことで大きくゲイン、トライするチャンスが生まれます。
つまりわかりやすく言いますと、密集近距離で繰り返すことによりディフェンスラインを中央に寄せていきギャップが出来た瞬間に大外の韋駄天に回す。なんとなくこんな感じが基本戦術なのかなーと思ってくれていたら大丈夫です。
日本はフィジカルで勝る海外の選手への対抗と、ターンオーバーの確率向上のためにダブルタックルを徹底してますが、

ダブルタックル

上記の基本戦略の話を理解すると、それがどれぐらいすごいことなのかの一端も理解できると思います。つまり、1人余計にDFラインからいなくなるわけですから、タックルしたらすぐにポイントから出てラインに戻るという鬼のような運動量をキープし続けなければなりません。日本代表は想像を超えるハードワークでこの運動量の下地を作ったと思われます。

「スクラムで」

ライン際

試合終了間際のゴールライン付近でのペナルティはドラマが生まれがちです。ボーナスポイント獲得で沸いた日本代表予選プール第三戦のサモア戦ですが、後半時間オーバーのタイミングで、サモアが自陣ゴールライン手前にてペナルティをとりました。蹴りだせばゲームセットのこのタイミングでサモアはスクラムを選択しました。トライ(5点)をとりコンバージョン(2点)を決めれば31対26で5点差となり、ボーナスポイントがもらえます。最後まで勝負を捨てないサモアのプライドが詰まった感動的な選択でした。
また、この話でいうと記載しておかなければならないドラマは、ブライトンの奇跡と呼ばれるラグビーワールドカップ2015日本対南アフリカ、世紀の番狂わせと呼ばれたラストの大逆転はまさにこのゴールライン際でのドラマがありました。

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3点差、既に80分を回っており一度でもゲームが切れたら終了。日本はゴールライン間際でペナルティをもらいました。3点差なのでゴールキックを選択して決めれば、同点に出来るこの場面。同点でも充分に大金星、かつ予選プール突破の命題の中で同点で得る勝ち点2は非常に重要。エディも3点を指示したと言います。(以下想像)

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判断にざわつく日本チーム、チームの意見も半々に割れます。
そんな中、半分関西人のトンプソンが吠えました。

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「歴史変えるの、誰よ!」

ブライトンミラクル2

「俺たちだ!!!!!」
次の瞬間リーチがスクラムを選択しました。
尚、この審判のポーズがスクラムです。

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Tシャツの柄は以前会社のメンバーが作ってくれた森Tシャツで自画像です。気にしないでください寝間着です。
この世紀の決断を超えて、賭けに出た桜の戦士たちはなんと最後のトライを決めきります。

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結果は32対34 日本の大逆転勝利です。
是非まだ見たことのない方は見てみてください。

尚、なぜこの試合が世紀の番狂わせ、ブライトンの奇跡と海外から呼ばれるのか、いい機会なのでついでに補足します。
ブライトンの奇跡
・当時の世界ランキング…日本13位 南アフリカ3位
・当時までのワールドカップ戦績
 日本…W杯通算1勝2引き分け21敗
 南アフリカ…過去2回のW杯優勝経験
・当時の世界の試合予想…99%南アフリカの勝利
・南アフリカ代表の初のティア2国に対する敗戦
つまりすげーシンプルに言うと、日本はこれまで圧倒的に弱かったんです。かつ、負け慣れしてしまい、勝利する意識も薄い状態でした。ゆえにワールドカップの開催国として日本が決定したにもかかわらず、開催の是非について世界のラグビー協会から指摘を受けるくらいの状況でした。
当然のごとく南アフリカには100点差以上で負けると予想されていたくらいです。
エディが着任し、様々なハードシングスを乗り越え、想像がつかないくらいの壮絶なハードワークを超えてたどり着いたのがこの勝利です。
是非、時間があいたときには、こちらをご覧ください。

ブライトンの奇跡を題材にした映画です。非常によく出来ています。
ラグビーは基本的に番狂わせが起きにくいスポーツと言われてます。まぐれがない。実力がそのまま表れる。そのため、試合の予想は比較的しやすいのも特徴だと思ってます。その証拠に2000年以降のラグビーワールドカップでも、番狂わせと言われる試合はこの試合を入れて、わずかに3試合ほどです。
(WR 1位)2015年大会 : 南アフリカ共和国 32-34 日本
(WR 3位)2011年大会 : フランス 14-19 トンガ
(WR 4位)2007年大会 : フィジー 38-34 ウェールズ

この試合で日本のラグビーは大きく動き出しました。
2019ワールドカップの日本開催を前進させた大きな要因となった勝利です。
残念ながら2019ワールドカップではベスト4をかけた戦いで南アフリカに敗北を喫してしまいましたが、その内容はまさに世界の強豪に数えられてもおかしくないぐらいの成長を感じました。
尚、以上でざっくり終了になりますが、このあとは書ききれなかった初心者シリーズおまけ編と、残りのワールドカップ期間楽しむための番外編をリリースできればと思います。

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