「はまり役」
<舞台裏>シリーズ No.5
かいのどうぶつえん 園長です。
貝の動物の制作現場では、毎日さまざまなエピソードが生まれています。このシリーズでは、舞台裏の失敗談や内緒話、奇想天外な空想や徹底した“こだわり”などをチョイスしてみました。
第5回目は「はまり役」です。
貝たちは、役者冥利を感じているのかな?
過去の名作映画のつくり直しが盛んなハリウッドで「リメイクが不可能な“はまり役”」が話題になったことがあります。
たとえば「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘプバーン
「カサブランカ」のハンフリー・ボガート
「ダーティハリー」のクリント・イーストウッド
「ゴッドファーザー」のマーロン・ブランド
さらには「エイリアン」のシガニー・ウィーバー(リプリー役)など、
主役のイメージが強すぎて、別な俳優が再演するのは至難の業でした。
ところで、わが園にも似たような役者(貝)が存在します。
まずは「チリボタン」と呼ばれる貝。海岸で出会ったとたん「ニワトリ」になりたがっていると直感。貝も必死で志願していました。スカウトされなければ間違いなく、砂に埋もれる運命でした。
そこまではハッピーエンドでしたが、光があれば影があります。
以後、 ニワトリには他の貝が使えなくなり、チリボタンは他の役に選ばれなくなってしまったのです。
同じ運命をたどったのは、タケノコガイ。
ちょっと変わった姿のクモガイ。
「個性的なマダライモなどは、いまだに他の役が演じられないのです。
ところで、大ヒットした「刑事コロンボ」の主役は、いわずと知れたピーター・フォーク。
よれよれのレインコートでおとぼけ顔の”はまり役”ですが、彼はそれに甘んじず、2011年に 83歳でなくなるまで、様々な役や活動にチャレンジしました。
「コロンボに負けるなよ」と、どこからか叱咤の声が聞こえてきました。「過去の成功事例にしがみつかず、もっと自由に貝たちを抜擢しなさい」・・・と。
映画では最後のクレジットタイトルで、キャスト(出演者)と、カメラマンや小道具など全スタッフの名前が出てきます。
園長の肩書きなどかなぐりすてて、鵜の目鷹の目、血眼になって、チリボタンやタケノコガイたちの、新しい才能や魅力を再発見してあげなくては。 つづく
貝は「割らない。塗らない。削らない」のスッピン勝負
~貝の配役~
★ニワトリ:チリボタン/ ツメタガイ/カニモリガイ/キクノハナガイ
★キリン: チャイロキヌタ/フジノハナガイ/タケノコガイ/バイガイ他
★バショウカジキ: クモガイ/ホトトギスガイ/スガイ/ カガミガイ他
★ダルメシアン: カイコガイ/マダライモガイ/ヒメイガイ/シラタケガイ
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