旦那が財布を失くした話(から派生した話)

財布失くした。

先日、帰宅した旦那の第一声がこれだった。
はー!?と大きい声を出してしまったが、詳しく聞くと、通勤のため乗った新幹線の座席に財布を置き忘れ、誰にも気付かれずそのまま終点地区まで行ってしまい、遺失物センターに届いているとのこと。
盗まれたわけではなく、所在がわかって一安心。
とはいえ気をつけなよー!と言ったら気をつけるよー、と生返事が返って来た。
旦那には家の鍵も失くしたり、スマートフォンも置き忘れた前科があるので(どれも奇跡的に無事)、本当に!貴重品は!気をつけよう!と強めにたしなめて締めたつもりが、旦那の話には続きがあった。
遺失物センターの方の電話対応に感動したというのである。

対応してくれた方のお名前をよしおさんとして話を進めていこう。

遺失物センターに電話をかけ、不安で慌てふためいている旦那に対し、よしおさんは
「それは大変!さぞかし気が気じゃないことでしょう、確認してみます。」
と、近所のおばちゃんのような共感っぷりを示してくれたようだ。
そして財布が届いていること、その財布が旦那のものであることを確認し、電話口で出来うる限りの手続きをした後よしおさんは、
「もし失くされてたらカードやら免許証やら…再発行の手続き大変でしたね。届いていて良かったです、あとはこちらでお客様の最寄りの遺失物センターに手配しておきますのでね。」
と、最後まで温かい対応をしてくれたと話した。

この話を聞いていて、私は失くして良かったとまではいかないけれども、失くさなければそんな仏様のようなよしおさんに出会うことはなかったんじゃないかと思った。各種カード類の再発行手続きのことまで心配してくれるなんて…!
財布の立場としても、捨てる神あれば(捨てられたわけじゃないけど)拾う神ありで、まさかこんな優しい方の元に届くなんて超ラッキーじゃん!という気持ちになったのではなかろうか。

それと同時に、仕事における大切な部分ってそういうことだよなぁとも考えた。
マニュアル通りもしくは言われたこと+αの部分こそが、仕事として価値がより感じられるんじゃないかということ。

もちろん、マニュアルをしっかり覚えて遵守すること、言われたことをしっかりやることが大切なのは大前提で、慣れないうちは+αを考えている余裕もないだろう。

一通り仕事を覚えて出来るようになったら、指示されたあるいは任されたことのその先まで考えたり、相手が喜んでくれるよう自分なりに工夫する気持ち。

唐揚げに添える、パセリのような。
ちょこっと彩りをプラスする感じ。

上司に提出する資料やデータを今までより見やすく作ったり、マニュアル通りの接客用語の他に、自分なりのひとことを加えたり。

要は、期待されたこと以上のものをやれたらいいなということ。

そういった+αのことを意識して仕事に臨みたい、最終的には無意識のうちに付加価値が生み出せる仕事人になりたいものであるなあと話し合った。

財布紛失の話から、目指すべき仕事の在り方とは何ぞというテーマまで広がり、結構盛り上がってしまったのだった。

と、旦那が一言。
「俺、財布にGPSつけようと思う。」

だーかーらー、そうゆうのに頼らないでまず自分でしっかり管理しようってばー!

#エッセイ #日常

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