DMBOK第4章データアーキテクチャ
要約
データアーキテクチャは企業のデータ戦略を構築し、統合を促進します。エンタープライズ・アーキテクチャはビジネス、データ、アプリケーション、テクノロジーの4要素で構成されます。
データアーキテクチャの進め方は共通認識を得つつ戦略とロードマップを策定し全社で取り組むことが強調されます。データアーキテクチャの目的はビジネス戦略に合わせてデータに投資することです。
データアーキテクチャの一般的な知識
データアーキテクチャとは
データアーキテクチャとは企業のデータのニーズを明確にし、ニーズに合う青写真を設計し、維持することです。
マスターとなる青写真を使ってデータ統合を手引きし、データ資産をコントロールし、ビジネス戦略に合わせてデータへの投資を行います。
詳細は後述します。
4つのアーキテクチャ領域
エンタープライズ・アーキテクチャ
企業のシステムの基本的な構成を具現化したものです。
エンタープライズ・アーキテクチャは、ビジネス、データ、アプリケーション、テクノロジーの4つの要素から構成されます。
簡易的にまとめたものが以下の表になります。
①エンタープライズ・ビジネスアーキテクチャ
企業のビジネス構造を具現化したもので、企業が顧客に対してどのような価値を提供しているのか、またその過程となる業務プロセスがどのようになっているのか明らかになっています。
②エンタープライズ・データアーキテクチャ
企業のデータフローを具現化したもので、ビジネスアーキテクチャによって作られ、要求されるデータをどのように整理し、管理されるべきかが明らかにされています。
③エンタープライズ・アプリケーションアーキテクチャ
企業のアプリケーション構造を具現化したもので、ビジネス要件に基づいたアプリケーションの機能と構造が明らかにされています。
④エンタープライズ・テクノロジアーキテクチャ
企業の実装技術を明確化したもので、アプリケーションを稼働してビジネス価値を提供するために必要な技術が具体的に示されています。
エンタープライズ・データアーキテクチャの構成
DMBOKでは上記の4つのアーキテクチャからデータのみをピックアップしています。
データアーキテクチャは、下記で紹介するエンタープライズ・データモデルとデータフローデザインの両方が含まれていなければならないとしています。
エンタープライズ・データモデル(EDM)
企業がどの程度詳細にデータを作成するかはリソースに依存しており、システムが作れるレベルまで詳細化することが可能です。したがって、ニーズとリソースに合わせたデータモデルを作成する必要があります。
データモデリングについては以下の記事で解説しています。
データフロー設計
エンタープライズ・データモデルがビジネスプロセスをどのように移動するかを理解するためのものであり、エンタープライズ・データモデルがエンティティと業務プロセスを明確に示しているため、データの流れを図示したものです。
エンタープライズ・アーキテクチャを使用する目的
システムの劣化を防ぐことや新しいビジネスを創造するために、現行のビジネス構造とシステム構造を把握し、必要な技術を迅速に取り入れることができるようにすることです。
データアーキテクチャのゴール
企業のデータニーズを明確にし、青写真を設計して維持し、データ統合を促進し、ビジネス戦略に合わせてデータへの投資を行うことです。そのためには、データの保存と処理の要件を明確にし、企業の現在および長期のデータ要件を満たすデータ構造と計画を策定し、先端技術を活用するための準備を戦略的に行う必要があります。
データアーキテクチャの進め方
既存のデータアーキテクチャを評価し、全社で共通認識を持ちつつ、戦略とロードマップを策定して企業全体で取り組むことから始まります。
また、全社の要件を定め、管理しながらデータアーキテクチャを実現し、エンタープライズアーキテクチャと統合してプロジェクト成果を向上させることが重要です。
アーキテクチャ・デシジョン・レコード(ADR)
アーキテクチャデシジョンレコードとは、テキストベースの軽量なテンプレートを使用して、アーキテクチャ上の設計判断を記録するドキュメントです。
意思決定の履歴を残すことで、現在のアーキテクチャについてのコンテキストをその過程と結びつけて提供できます。
詳細はこちらをご覧下さい。詳細な説明と利用方法について記載されています。
まとめ
以上、データアーキテクチャについて解説しました。
エンタープライズアーキテクチャそのものが複雑でイメージが湧き辛いと思います。下記のような本や記事を参考にするのも良いかと思います。
DMBOKのデータアーキテクチャについて特に重要な点を解説しました。ただし、非常に量が多いため解説していない部分が多々あります。詳細は本書を手にとってみて下さい。