脚本 江ノ島Feelin' on my mind

割引あり


タイトル【江の島Feelin' on my mind】

作 小山都市雄

登場人物
大介 津嶋 大介 25歳 コーポ〇〇201号室 住人
英子 白井 〇〇    コーポ〇〇202号室 住人
警官 沢田 雄大 25歳 交番勤務

ト書き等は舞台としての上演を想定しています。
45分〜60分の上演予定

舞台美術

舞台中央
散らかっている成人男性の1ルーム
床には大量のコピー用紙がクシャクシャにされて散らばっている。

舞台奥
プロジェクター必須 (以降プロジェクターに映す指示の前にはVと表示)
音源は『』表記 (音源についての指示の前にはMと表示効果音に対してはSEと表記する)
必ずしも上演で音源を使うとは限らずあくまでイメージとしての表記






sequence1 〈ラブ?ストーリーは突然に〉

場所 原稿用紙のようなものが散らばっている6畳1間のワンルーム

状況 白いワンピースを着た10代後半か20代前半くらいの女性と
傍に20代の男性がいる。男性の手には出刃包丁、服は血で汚れている。
(床の原稿用紙や女性は汚れていない)

大介 昔から映画とか漫画とか難しくない小説とかそういうのが好きだっ
た。 心か頭かどっかで自分にもこんな劇的なことがあるような気がしてたし。機会があれば飛び込む準備はしてた。けどだからって人を殺すような準備はしてこなかったし、いいや人生の中で準備なんて何にもしてこなかった。

英子 えっと・・・

大介 昔から映画とか漫画とかそう言うのが好きだった。でも長ったらしい説明台詞や主人公の感情を吐露する独白なんかは嫌いなんだよな。

英子 あの

大介 昔から映画とかなんかそう言うのが好きだった。でもああいう制作側の都合?知らないけど冷めるから上手にやれよって思ってた。でもなぁほらなんでこうなったんだろう・・・そうだあれだよ、アパートの隣のえっとあれだ白井英子の部屋からいつもみたいに怒鳴り声がして

英子 お隣さんですよね

大介 なんかあれだ何かが壊れたみたいな音がして、いつもみたいにすぐ終わると思ってたんだけど、なんか気になって、部屋の前に出てみたら鍵が空いてて、気づいたら包丁手に持ってて、気づいてたら刺してたんだ。

英子 あの、大丈夫ですか?
大介 大丈夫?
英子 はい、わかんないけど。とりあえず大丈夫ですか?
大介 えっと、わかんないです。そっちは?
英子 えっと。まぁ大丈夫・・・かな?(微笑んで首を傾げた)
大介 よかったです。
英子 お隣さんですよね?
大介 はい。
英子 お名前
大介 津嶋大介って言います。
英子 大介さん
大介 英子さんで大丈夫でしたか?
英子 えっと、はい。
大介 あの僕がやってしまった人って
英子 父親です
大介 あの、怖くないんですか?
英子 何が
大介 僕が
英子 え、怖いです
大介 ですよね
英子 とりあえずそれ置いてもらえると
大介 あ、はい。
英子 色々聞きたいことはあるんですけど
大介 はい。そうですよね。
英子 とりあえず・・・お茶入れます。
大介 え
英子 麦茶しかないですけど

英子立ち上がりキッチンへ、やかんからコップへ麦茶を注ぐ

大介 麦茶
英子 嫌いですか?
大介 あの嫌いってわけでは
英子 あ、あれですか。あのひとんちの麦茶気になる感じですか
大介 え、
英子 ありますよね。ひとんちのおにぎりとか、ひとんちの座布団とか、ひとんちの駄目なことありますよね
大介 はい。ちょっと苦手で
英子 ひとんちの親殺してますけど。
大介 ・・・
英子 ブラックジョークですよ
大介 笑えないですよ。
英子 麦茶、飲まないの?
大介 ・・・頂きます。
英子 今更あなたがどんなおかしな人だろうと正直あんまり関係ないんですよ。
大介 ぬるい
英子 いつも常温なので
大介 すみません
英子 これからどうしますか
大介 えっと
英子 とりあえず。埋める?逃げる?それとも自首にする?
大介 そんな新婚夫婦みたいな言い方されても
英子 ツッコむ余裕はあるんですね
大介 すみません
英子 謝らなくていいです。
大介 はい
英子 むやみに謝る人嫌いなんです。言葉の価値ってわかりますか?
大介 価値ですか
英子 謝罪を安売りしないでください。あなたの謝罪はもうかなり下落しました。
大介 はぁ。
英子 で、どうするの?
大介 どうって言われても
英子 じゃあ先にこっちをはっきりさせておきたいんですが
大介 はい
英子 あなたは私にこれから何かしますか?
大介 え
英子 私に対してなんらかの危害を加えようという意思やその可能性はありますか?
大介 意思はないと思います。可能性はないとは言えないかと
英子 正直ですね。あの実はですね。先程口論をしていた時一応警察を呼んでおいたんです。
大介 え
英子 なのであと数分で来ると思います
大介 あの
英子 さっき3択出しましたが、埋めたり隠したりするのは難しいんです
大介 あの、それ言わなきゃ僕が捕まって終わりだったんじゃないですか

SE サイレン音

英子 大丈夫です、あれは救急のサイレンだと思います。
大介 英子さんは僕をどうしたいんですか
英子 私は・・・
大介 正直どっちでもいいんです。自分がやったことですし、元々僕の人生なんてアレでしたし。
英子 お寿司
大介 え
英子 お寿司食べたい
大介 ふざけてますか?
英子 ふざけてないです。正直アレがこうなって。内心ホッとしてるんです。実際私の人生なんてなかったようなもんだったので、大介さんが壊してくれてちょっと嬉しかったんです。後から後悔するかもですけど、私今の感情を優先するタイプなんです。割といつも後悔してて、でもその時は最高だからいいんです。その時の最高は後からの後悔に負けちゃうけど、最高が沢山ある方がいいじゃないですか。だからお寿司
大介 でも
英子 気が変わらないうちに出ましょう。もうどうでもいいじゃないですか。やっちゃったんだし
大介 そうでしょうか
英子 そうだよ
大介 そうかな?
英子 そういう事にしなよ
大介 はい
英子 車乗れる?
大介 ペーパーだけど
英子 貯金は?
大介 4万くらい。
英子 財布持ってる?スマホも
大介 はい
英子 行こうか
大介 あの
英子 あ、待って
大介 なんですか
英子 靴どっちがいいかな?

片手にスニーカー 片手にヒールのあるサンダル

大介 そっち(スニーカー)
英子 うーんでも可愛くないからこっちかな(サンダル)
大介 聞く意味あったんですか
英子 女の子はさ自分で決めてても一応聞くんだよ
大介 何の為に?
英子 確かめるためでしょ
大介 何を
英子 どれくらい同じか
大介 同じか
英子 大介くんは失格ね
大介 厳しい
英子 君と私は別の世界の人間なんだよ

M1 『ラブストーリーは突然に 小田和正』

大介 開始早々動き出した謎の青年大介と白いワンピースの女英子の逃避行。果たして二人はお寿司にたどり着けるのか。いろんなことは置いといてsequence2に続きます。

↑台詞中にデスクチェアとスツールとラジカセを舞台中央に移動

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