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【ドラフト】『ストリクスヘイブンリミテッド大考察(序文)』

こんにちは、ぞんびです。


予想より早いペースでしたが、ストリクスヘイヴン(以下STX)の公式全カードプレビューが終り、無事に全カードリストが出ました。様々に注目されていると思いますが、ここでは恒例となる『リミテッド大考察』としていくつか記事を書かせていただこうと思います。

前提事項
以下、この記事シリーズの前提やテーマとなる部分となります。
・MTGAでのプレミアドラフトを前提としています。
・BO1、対人ドラフトとなるためBO3やクイックドラフトとはいくつか話が変わります。
・実際にSTX環境のドラフトが始まる前にカードリストやギミックと向き合い『こうなるだろう』『これらはどうだろうか』と予測交じりの考察をしていきます。
・この記事での用語として以下を使っています
  専門性:カードの強さが、特定のギミックに強く依存しており、そのギミックを強く補強していること。
  越境性:カードが複数のギミックを跨ってサポートしていること。
・この記事をまず『序文』として、STX環境全体の分析やギミックの振り返りなどをしていきます。その後、各色のカード評価を個別に行っていきます。環境全体観や各ギミックの影響を先に把握し、存在するアーキタイプなどのイメージを固めないと正確なカード評価につながらないからですね。

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1:ストリクスヘイヴンの構造について

このパックは近年のパックの中でも設定上の強いテーマ性を持って作られています。それは、対抗色2つの組み合わせからなる5つの学校からなる世界観であり、カードもそのように大別して5つのグループに振り分けられているということです。
近い構造としてイコリアなども5つのトライオームが設定されていましたが、それぞれに大きく特徴づけられていたりトライオーム用の多色のカードがおおかったりはしませんでした。直近のカルドハイムも10の領界に分かれていましたが、細かすぎたせいかそれぞれの領界毎のカードという感じはありませんでした。
しかしストリクスヘイヴンでは、それらよりもはっきり分かれており、コモンにも多色カードが多い事などがそこを象徴しています。
この、コモンに多色カードがあり、多いということはドラフトをやるうえで大きな影響を与えると予想されます。
端的にいえば『対抗色の組み合わせでは使えるカードが多く、またテーマ性を持たせ纏めやすい』一方で『有効色の組み合わせでは使えるカードが少なくなり一貫したテーマを持たせにくい』こととなります。つまり、STX環境では対抗色の組み合わせ5つのアーキタイプ/デッキがカードを取りあうことになります。
これは近年のセットにはあまり見られなかった特徴です。エルドレイン以降基本的には有効色対抗色併せて10個のアーキタイプが濃淡の違いはあれ含まれてきました。その結果10個(前後)のアーキタイプを8人で分け合うことになっていましたが今回は違います。5種類のアーキタイプを8人で分け合うことになってしまいます。低くない確率で学校かぶりが発生しカードの取り合いが起きるでしょう。
そういった場合に考えることは大まかに二つあると考えます。
A:どのカードをシグナルにして色を決めるべきか。
B:基本となるアーキタイプ以外の道があるかどうか。

です。Aについては普段やっていることをより強調して協調していこうということになります。一連の記事で触れるカードごとの評価をより考える必要があるでしょう。
Bについては後程項目を切り替えて話してみようと思います。

2:各学校の特徴、及びアーキタイプについて

具体的なカードの効果に触れ始めるパートとなります。
まずは各学校(色の組み合わせ)の特徴、及びどういうデッキが組めそうなのかという部分を考えないと個別のカード評価にもつながりません。みていきましょう。

・ロアホールド

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事前予想通り、スピリットのサポートカードがまず存在します。
クリーチャーカードであるスピリット、そして3/2のスピリットトークンを生み出すカードを総合するとそこそこの枚数があります。
ただし、肝心のスピリットサポートカード自体は少なく、4枚しかありません。低レアリティの物はいささか地味でありますが本人のスペックが水準レベルであるため『シナジー出来たらラッキー』な気分で運用できるでしょう。クイントリウスとホフリの2枚は意識してスピリットの数を増やす価値があるほど強力で、かつ自身でスピリットを賄うこともできるため腐りづらく、スピリットシナジーは彼らのためにあると言ってよさそうです。
もう一つのテーマとして『カードが墓地を離れること』がありますがこれはスピリット以上に関連カードが少ないです。カードが墓地を離れることを条件としてアドバンテージを直接増やすことができるのは前述したクイントリウスくらいであり、彼がいない場合には特別意識してカードを取るほどのものではないと思われます。結果的に利用できたらオッケー位で。
全体の特徴としては普段の赤白よりはアグレッシブさに欠け、中長期戦向けのカードが多めに見つかります。
とはいえスピリットトークンが3/2であることや、コモンに3/3/3を抱えること、白が絡んでいること(今回の白はいつにもまして戦闘が得意)により積極的なデッキを組むことも可能と思われます。
むしろ、サイズが育つカードを抱えていないため半端な長期戦はサイズ面で不利になるようにも見えます。中盤から攻め続けて持ち味を生かすアーキタイプになると予想しています。

・プリズマリ

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呪文の扱い、特にマナコストが5以上であるインスタントとソーサリーの扱いに長けています。とはいえ目に見えやすい形にはなっておらず、サポートカードは相変わらず少なく壮大な魔道士と大渦の詩神がツートップとしてチームを引っ張る形になりそうです。
ただし、各学校に配られている召喚学が、プリズマリは5/4/4という恵まれた体格の物が配られています。環境全体としてみると十分に中盤~終盤を支えることができるサイズであり壮大な魔道士や宝物生成から精霊召喚学につなぎ、盤面を形成して間延びさせて各種大技を狙うという形がスタンダードに見えます。
他にも呪文コピーなど、マナが余るころに使いやすい効果が多いためドロー系の履修/講義を意識して入れて土地をのばすことを意識することで戦いやすくなると思います。
また、初学者と誓約魔道士が両方ともアグロ向けの効果を持っているため、それらと飛行を呪文でバックアップする前のめりなビートも視野に入っています。ロアホールドとクアンドリクスとの色が共通する混成呪文にもスピリット召喚学やクアンドリクスの誓約魔道士も呪文バックアップのビートダウンという特徴に合致しており、赤青に色を絞る場合にはこちらの方が組みやすいと思います。
土地をのばす部分でクアンドリクスと共通点があり、赤緑青の3色で呪文軸で組むアーキタイプも生まれると思っています。長期戦はこれらの色の大呪文を乗り越えなくてはいけません。


・クアンドリクス

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一番テーマ性が散らかっているかもしれません。
もっとも太いテーマは『土地の枚数』になると思われます。
土地を追加で手札/ライブラリーから戦場に出すカードと、土地が8枚以上であることで効果が増強されるカード群があります。土地が8枚以上で強くなるカードはたった5種類(しかもそのうち2枚がレア)しかありません。しかしそもそも土地が並ぶということはより重く強力なカードが使えるということなのでそれら5種類のカードの有無は強く意識しなくていいでしょう。
その他にも『フラクタル・トークン』支援やパワー参照のカードなどもありますがそれらを中心としたデッキを組めるほどではないと思われます。
最終的にはランプ戦術を中心にしたデッキが本命だと思われます。
ドロー、土地加速は豊富にそろっているため多色化も視野に十分入ります。
最も相性のいい相手はやはりプリズマリでしょう。土地加速の先のゴールとしては十分なカードを持っています。
ただ、一部の加速カードは森しか持ってこれないため無理な多色化は危険になることも留意する必要がありそうです。
また、そのようなデッキを組むときはなおのこと序盤の壁になるカードを確保するべきでしょう。


・ウィザーブルーム

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ライフゲイン、生贄などの要素が混在していますが、トータルで判断すると『邪魔者トークンをうまく扱う』ことがテーマだと言えます。
生贄を要求するカードのコストとして、ライフゲイン誘発として、また一部の重くて強いカードにつなげるための延命として邪魔者トークンを生成するカードを使用していくことになると思います。
ライフゲインを必要とするカード自体の数は多くないですが、ライフをくれるカード自体は結構な枚数があるためどれもスムーズに機能させれるでしょう。
生贄系のカードも近年の傾向とは違い『生贄に捧げることそのもの』で誘発する能力などはほぼありません。唯一デーモゴスの悲哀喰らいがその能力を持っていますが自身の能力で完結しているため、生贄支援という感じはあまりしません。邪魔者をうまく使えるカード群と見たほうがよさそうです。
デッキとしては中盤戦で殴るビートダウンデッキになりそうです。
血の研究者が軸になるカードとしてとりわけ強力であり、邪魔者で守り研究者で殴るという理想的な展開はシンプルに強いと思われます。
血の研究者もそうですが、サイズを継続的にあげれるカードが多めに存在し、また5/5/5という良いサイズのコモンも備えているためサイズでのぶつかり合いは優位になりやすいでしょう。サイズの勝負に持ち込めるカードチョイスが必要になりそうです。(序盤の防御カードや飛行対策など)


・シルバークイル

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+1カウンター、クリーチャーを対象に取る呪文をギミックとして擁しています。その合わせ技として、まず『クリーチャーにカウンターを乗せる呪文』がコモンだけでも4枚用意されていることが一つの特徴でしょう。カウンターを乗せるという行動はそれだけでリミテッドにおいては有利になる者でありこの色の地力を担保してくれています。
対象に取る呪文も、つまりクリーチャー支援か除去ですね。そしてそれらを活かすためか回避能力などの戦闘に有利になる効果を持つクリーチャーも多く、また単純なパワータフネス修正を与えるようなカードもそろっています。
そのため、総じて『クリーチャー戦闘、特にアタックすること』が得意なアーキタイプになると言えます。
ギミックに癖がなく、単体としてみても強いカードが多いため扱いやすいでしょう。


・総評
まず、どの学校に入学しても、特定のギミックを活用するカードのそれぞれの種類数はあまり多くないと言えます。そのため、『ただライフ獲得するカードを集めればよい』といったような単純なピック手段や評価は通用しにくいと言えます。各ギミックごとにそのギミックを用いる価値のある核があるかどうか、そして支援カードが単独で機能するかなどを軸に詳細な評価をするべきでしょう。


3:実際のデッキタイプ、そして裏口入学

各学校を総括したところで、B:基本となるアーキタイプ以外の道があるかどうか。と前項で述べた部分について語ろうと思います。
繰り返しになりますが今回のリミテッドはもし5つの学校=5つのアーキタイプしかないと決めてしまうと、カードの取り合いが発生し成功しづらくなります。
そこで、基本的なアーキタイプを抑えながらも、それらに当てはまらない『裏口入学』と言える別のアーキタイプやゴールを自分の中で用意しておくことは非常に役に立つと思います。
まず、最も刺激的な考え方として『有効色で組めないかどうか』ということについて考えましょう。
有効色で組むデメリットである『各学校のギミックが半端になる』という点に関しては、もともと半端なギミックが多かったり越境性の高いカードが用意されていたりするためさほど問題ないと言えます。
もう一つのデメリットとして『多色のカードが用いれない』というものがあります。これはやはり影響が大きく、カードセットの1/3程度のカードが使えなくなります。しかし、学校単位で見れば20枚未満の損失、さらにコモンアンコモンだけなら10枚に届くか届かないかという損失で済みます。そのコモンの多色カードがどれも強い事は問題ではありますが、結果として空いている色に逃げれるのであれば取り返しが効く部分だと考えています。
有効色で組むことで強い形があるかどうか、次第と言えるでしょう。
それを踏まえて、各色の組み合わせ毎に、今の時点でイメージが出来ているデッキタイプをリストアップしておきます。
それぞれ簡潔な説明と、キーになりえるカードを何枚か述べます。

対抗色
赤白
・墓地活用を行うカード、5マナ以降のカードもしっかり入れたミッドレンジ(クイントリウス、ホフリ、ロアホールドの発掘等
・低マナ域のスピリットと誓約魔道士をコンバットトリックで支援するスペルアグロ(赤と白に点在する戦闘支援カード、ロアホールドの誓約魔道士、双巻物の魔導士
赤青
・純正、あるいは緑を足したスペルビッグマナ。(精霊の傑作、精霊召喚学、大渦の詩神、壮大な魔道士
・うねる曲線デッキ。呪文中心にうねる曲線のサイズで戦う。(うねる曲線、情報収集、秘本破り、各種履修+講義
・誓約魔道士、初学者を軸にした魔技アグロ(ロアホールド、クアンドリクス、プリズマリの誓約魔道士、各種呪文
青緑
・ランプデッキ。タッチ赤も視野。(各種重くて強いカード、土地を出すカード。
・うねる曲線デッキ。赤のバージョンよりも、ドローと土地加速によってランプと併用しやすい。(うねる曲線、情報収集、現地調査
緑黒
・邪魔者の活用を軸にしたミッドレンジ。(害獣召喚学、獣魔術の教授、各種活用カード
白黒
・クリーチャーと補助呪文山盛りのアグロデッキ。(カウンターを乗せる各種カード、回避能力を持ったクリーチャー。
有効色
白青
イメージありません。飛行クリーチャーで攻めれるように見えますが、強化の質などで白黒に負けやすく不安があります。ただし、青のコモンクリーチャーたちは他のアーキタイプに噛み合いづらいので集めてデッキになるかもしれません。
青黒
・うねる曲線デッキ。他のバージョンと比べて除去を入れやすく、コントロールのように立ち回る想定。黒い除去→曲線の順で取れるとベスト。(うねる曲線、情報収集、各種除去、トークンを出す呪文
黒赤
余りイメージがありません。クリーチャー奪取+生贄とかが使えそうですがやや重いです。一番ぴんと来ない組み合わせです。
赤緑
・精霊召喚学とウィザーブルームの誓約魔道士が両方使えることに目を付けたビートダウン。
緑白
・緑の一部カウンターを使うカードと、白のカウンター支援カードの組み合わせがあります。ただし、そこまでカウンター支援カードがあるわけではないです。星霜の巡礼者が土地確保カードとして追加されるのでランプ戦術を流用できる可能性があります。

やっぱり有効色は少し少ないですね。ただし、赤緑に限らず、有効色は混色のカード、特に誓約魔道士が4種類採用できるのがポイントです。召喚学も誓約魔道士もどれも癖がなく強く、余ったものをかき集めるだけで一定のデッキになるようにも見えます。色が被って厳しいと思ったら逃げてみるの手でしょう。


4:魔技を使いこなす

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STXの新能力の一つです。細かい部分は以前にも書いていますね。
全てのカードが公開されましたが、魔技は思ったより少なかったですね。
コモンには白に1枚+各種誓約魔道士が5枚。アンコモンは黒以外の単色に4枚+初学者。レアと神話レアは7枚でした。
コモンとアンコモンのものはクアンドリクスの初学者と嵐窯の芸術家以外は直接枚数的なアドバンテージをとるものではなく、ビートダウン面(ライフの取り合い)を補助するものがそろっています。レア以上は多少話が変わりますが、半分程度は相変わらず戦闘系です。そのため、全体的には攻撃的な能力であると定義してよさそうです。ということは、軽量のドロー類でつなぎながら、あるいは戦闘支援や除去により二重に戦闘を有利にしながら扱うことになることが多くなると思います。
今回は赤や青に軽量除去/バウンスがない一方で白と黒には使いやすい除去や戦闘支援が勢揃いしています。しかしそれを意識してか、魔技のうち効果が残るもの(カウンター)は白黒以外にやや多めです。そのため、緑黒や有効色の組み合わせではいつもより意識する組み合わせかもしれません。カウンターが残る系統は育成もしやすく、環境のサイズ観に影響を与えるでしょう。
効果自体はどれも強く、特にコモンである誓約魔道士たちは頻繁に見ることになりそうです。結果としてインスタントやソーサリーの価値はしっかりと上がり、逆にそうでない呪文(エンチャントやアーティファクト)の価値はやや下がると予想しています。
総じて環境をビートダウン路線に導きやすい能力であり、戦闘を介さない除去の価値も高まります。3T目の誓約魔道士に一生殴られて死ぬことがないデッキにしたいですね。

5:履修/講義について

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もう一つ登場したギミックです。基本的には履修カードと講義カードセットで紐づいている能力です。
履修自体は枚数はそこまで少なくありません(21枚)。レアは各色1枚しかない関係で低レアリティの割合が高く、ピック中に出会えないことはないと思います。ただし、履修部分を除いた効果はカード1枚としては足りないものが多いです。選択肢としてのルーティングも個人的にはあまり評価しておらず、元のカードの弱さを補えるほどではないと思っています。あくまでも講義ありきの能力だととらえています。
特徴として、履修できるクリーチャーは少なく、コモンにはいません。その他効果もややニッチなものが多めで序盤に能動的に履修できるカードは少なめと言えます。そのため、履修→講義とつなげたい場合こそ序盤にクリーチャーを出しタイミングを作っていく必要がありそうです。逆にいえば自分から能動的に打てる講義の評価は高いと言えます。
魔技はパック内に必ず1枚あるため、数の多寡はあまり関係ありません。既存のカードの下位互換に近い(余計なデメリットがついていたりコストが多い)カードが半分程度ですが、その中では各種召喚学のカードはコスト相応のトークンであることが多く非常に使いやすいと言えます。
ピックする際の基準として講義は『メインデッキに入れても問題ない強さのもの』『入れたくないがサイドボードでなら良いもの』に分かれると思います。もちろん前者の方が評価が高いですね。それらはあまり気軽にとっても後でメインボードに入れたり、あぶれたものをサイドに入れたりと履修がなくても柔軟に扱えます。一方で後者は『履修枚数を気にする必要がある』『サイドボードに入れても、強い順にしか持ってこないので一定枚数以上は無駄になりやすい』という特徴があります。実際にやってみないとバランスはわかりませんが、後者のようなカードは履修と2:1くらいで取れるといいのかなと思っています。
総じて、『強い講義は気軽に取れる』『強い履修も気軽に取れる』ことをスタートとしてバランスをとりたいですね。履修→講義の流れは後半のあふれたマナを活用できているように見えますが、弱い履修から弱い講義につなげても、それはマナが有効に使えていない可能性があることは留意したいです。安直にマナフラ受けという見方はしたくないという意見ですね。
二つ特筆しておきたいことがあります。
一つ目は、魔技の項目でも書きましたが、魔技は今回攻撃的なものが多いです。そのため、魔技と相性がいい履修+講義も、戦闘に関連する、あるいはトークンを出すカードの評価が上がりやすいです。召喚学の評価を高めている一因ですね。
二つ目は、履修にも講義にも多色のカードは存在しないということです。そのため、これらのカードを軸にしたピック戦術を行うのであれば有効色の組み合わせにも理があると考えています。履修+講義の強いところをとっていった結果として有効色に流れるケースなどはむしろ歓迎するべきかもしれません。

6:環境の全体観

カードセット全体の傾向やカード配分から読み取れる全体観になります。
まず第一にコモンアンコモンを中心にクリーチャーサイズを見て見ましょう。ざっくりと以下のようになっています。
2マナ:パワー3はプリズマリの誓約魔道士(デメリットもち)のみ。パワータフネスはコモンにもアンコモンにも存在
3マナ:3/3は石繋ぎの導師のみ。そもそもパワー3越えが4枚のみ。平均パワーは2.1。タフネスは3や4が散見され、平均タフネスは2.2
4マナ:デーモゴスの悲哀喰らい(デメリットもち)は除外して考慮。コモンに4/4は不在。赤に4/3がいるのみ。平均パワーは2.6で平均タフネスは2.9
5マナ以上:湿地帯のグロフも暫定で5マナとしてカウント。5/5と5/4がコモンに存在。精霊召喚学もあるが、平均パワーは3とやや低め。
と、全体的にややサイズが小さめな状態にうつります。2/1/4である老いざる守護者は4マナ帯も止めやすいように見えます。コモンに装備品がないのも追い風でしょう。多くの人が記事やまとめで触れている部分でもありますね。
しかしこれはストリクスヘイヴンのもう一つの特徴を捉え切れていません。シルバークイルの特徴の際にも触れましたが、この環境は本人他人を問わず『+1カウンターを置く効果』が非常に多いと言えます。他人に置く効果だけでもコモンアンコモンに14枚あり、自身に置く成長型のカードを含めるともう一声増えます。+1カウンターが明確にギミックとして存在したM21のレアを含めた数でも20枚ない程度であることを鑑みればこれは一種の異常事態と言えるでしょう。
恐らく魔技とのシナジーを考えた結果装備品/オーラが大きく数を減らされた影響でもあると思います。疑似的なオーラとしての登場なわけですね。しかし結果としてこれらのカウンター系の効果や成長型のカードはどれも中々強く、額面だけのパワータフネスをみたサイズ感の把握はほぼ意味がないと言って差し支えないでしょう。安直にサイズのみでのぶつかり合いになるとこれらの効果をうまく使える方がリードできるでしょう。効果のほとんどは白と黒に偏っていますが、それ以外の色である『大技』や『かロークの世話人』、各種成長型のカードは重要なポジションと言えると考えています。
直接除去で処理できなければ、3マナ程度のクリーチャーが平然と5/5を超えてくるでしょう。自分がカウンターを使わなければ、一回り不利になるという意識を持ちましょう。

サイズの話の次は除去の話です。
ストリクスヘイヴンは一見除去がやや弱めとなっています。
黒除去は軽いインスタントと、重めでも追加効果があるものがそろっています。一方で赤はコモン除去が3マナと5マナ、白にも俗にいう平和な心がなく、3マナ。青にも無力化系オーラがないどころかバウンスは3マナ。緑も今回の格闘はやや弱めです。総じて除去が弱く、これは前述した『カウンターを置く効果が多い』という側面を助長します。除去で介入できない時に成長をされるとそのまま手が付けられない展開になりえるでしょう。
ただし、これもストリクスヘイヴンの別の要素を無視した話になっています。それは『ミスティカルアーカイヴ』の存在です。話がややこしくなるのでここまで無視していましたが、消して無視したままにしていい存在ではないです。ミスティカルアーカイヴ自体の収録数が多く、各パックに1枚ずつしか存在しないため再現性がどの程度あるかはわかりませんが、ミスティカルアーカイブには軽く強い除去も、重く強い全体除去もしっかり含まれています。ここを含めた評価をすると今回の除去状況はそこまで悪くないのではないかと思います。それらのカードを取れたかどうかで大きく変動しやすい部分なので、バランス感覚については実際に遊んでみないとわからないという結論にしておきます。

少々分量が多くなりましたが、カード個別評価に入る前に整理しておきたかったポイントは以上となります。
ざっくりと纏めると。
・各学校の特性、及びそれらが多くはないということ
・シンプルな敵対色の組み合わせのみでアーキタイプを考えず、引き出しを用意したいこと
・カウンターや呪文によるバックアックを利用した攻めが強そうということ
・履修&講義は、それらの要素抜きで強いかどうかが一度大事になること
・ミスティカルアーカイヴの影響が読めないこと
ですね。


続きの記事では、各単色編5回と、多色編、両面と無色編に分けて系7回の記事を予定しています。各ミスティカルアーカイヴは単色編に混ざりますね。
もうストリクスヘイヴンがMTGAにリリースされてしまいますが、もう少々お付き合いください。


最後に宣伝ですが、意見交換やドラフトを一緒に観戦したり交流する場としてDiscordのサーバーをこの度立ち上げました。

まだ立ち上げたばかりでこれから活動をしていく感じですが、もしよければどなたでもお気軽に来ていただいて一緒に活動やご意見いただければMTGAのドラフトを楽しみやすいと思います。この記事を読んでいただいたことをきっかけにドラフトを始めてみたいという方もぜひ!

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また、今回の記事は無料公開としています。が、もし記事読まれたかたでご厚意でサポートしていただける方がいましたら是非今後のMTGAでの活動や主催しているMTGA大会企画『まじ☆すと』の運営資金とさせていただきます。

こちら以下公式アカウントになりますので良ければご覧ください。

https://twitter.com/mtgastreamer


それでは、次は白編でお会いしましょう。

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