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ある女の子と、指導方法についての話

私の部下に、ある女の子がいます。ミスが多く、社会人としてもまだまだで、考え方も学生レベル。

でも、仕事に対しては本当に一生懸命。

言われたことを必死にこなそうとして、どうすればより良い結果を出すことができるかを自分なりに必死に考えて行動できるのです。

年は20代半ば、入社してまだ半年くらい

大学を卒業して、営業会社に就職したけれど1年くらいでやめて、今の会社に入社しました。

縁あって、私が面倒を見ております。

長い黒髪で背は低く、ちょっとふくよかな感じ。一番は表情が豊かなこと。マスクをしていてもいつもニコニコしているのが分かります。

私の会社はコールセンターなので、入社してすぐであればまずはオペレーターと同じくひたすらコールをします。これ、慣れないとかなりキツイんです。コールセンターが離職率が高い職場と言われる要因の一つです。

でも彼女は文句も言わず、一日8時間、毎日コールをしていました。成績は決してトップレベルというわけではなく、中の上、といったポジションで、及第点。でも、ひたすら一生懸命。

私のコールセンターは、複数の業務を請け負っているので、社員であれば複数業務を兼任するのは当たり前です。なので彼女も一つの業務に慣れてくると二つ目・三つ目の業務を覚えます。

複数業務をこなせる人はとてもありがたく、稼働時間が足りなければその都度業務を替わってもらうことも珍しくありません。

管理者側からみると、彼女は社員だけど「使い勝手が良い」オペレーターといった感じでした。

彼女もそれを分かったうえで、でもひたすら一生懸命指示された業務をこなしていっていました。

数ヶ月経ったある日、数字の集計をお願いされました

管理者側の業務も多忙です。

特に当日の業務進捗を確認する上では、数字集計は毎時間必要です。一日の目標に対して、現時点での獲得数・コール数・完了数を確認し、そこから業務終了までの時間を計算して、当日の着地を想定するのです。

日々の目標が達成できそうならば問題ないのですが、達成できなさそうな場合はオペレーターの配置を見直したり、管理者もコール業務をしたり、なんとか目標を達成するためのアクションを起こしていくのです。

そのため、1時間ごとの現状把握はとても大切なのです。

業務が忙しくなってきて、毎時間の数字確認も現管理者だけでは間に合わなくなってきて、そこで白羽の矢が立ったのが彼女でした。

今までは社員にも関わらずオペレーターと同じ仕事をしたいた彼女は、上司の指示ですからもちろん「わかりました」と淡々と返事をしましたが、やはり心の中ではうれしいものです。

一通り数字集計のレクチャーを受け、毎時間の集計を行います。

でも、初めての業務で、教え方が悪いのか彼女の覚えが悪いのか、ミスをしたり、時間がかかりすぎたり。集計に時間がかかるということは本来の業務であるコール業務の時間が減ってしまうということです。

それは上司から怒られます。

そのときの彼女の上司は自分の感情での言動が多い人でした。彼女に原因があることが明白でも、周りからは「また怒られてる」「ちょっとかわいそう」と思われるようになり、社内で涙を流すことも何回もありました。

でも、それでも、彼女は一生懸命自分の与えられた仕事をしていきます。

私が上司になりました

その後、私が入社して、彼女の上司になりました。

なぜ彼女の上司になったかという理由は分かりません。たまたまの人員調整かもしれませんし、彼女の元上司がさじを投げたのかもしれませんが、私はそれを詮索する意味はないと思っています。

しばらくは彼女の仕事を見守り、ミスをしたときは一緒に考えて、必要であれば私が謝りにいきました。

まずは私は意識したことは彼女を知ること。

なんで彼女はミスをするのだろう?

見ていると、単純に彼女は「知らない」だけでした。

仕事のやり方を知らない。
社会人としての考え方をしらない。
Excelを知らない。
Googleを知らない。

いや、「知らない」といってしまうと彼女が悪いことになる。この場合は「教えられてない」が正確な言葉でした。

別に会社や上司が悪いといっているわけではありません。彼女は社会人として働く会社はここが初めてではないし、彼女自身が勉強すればいいこともある。

過去のことをあーだこーだいっても仕方ない。

じゃあ、私が教えよう。

一緒にやる

私の部下への教育方針は「一緒にやる」です。

まずはレクチャー。
レクチャーしながらモチベーションを上げてあげます。「これができるとこんなことも出来ようになるからね!」「私も昔はこれができなくて何回も怒られたなぁ」「ここが自分で理解できたときはうれしかった!」こんな話をしながらレクチャーすると聞いている側は楽しく、意識も上向いてきます。

一緒にやる。
PCの画面の前に座るのは私じゃなくて教わる側、つまり彼女です。私はその右側に座ります。画面を操作するのは彼女です。初めてのことでもPCを操作するのは教わる側で、教える側である私は隣にいて、画面を指さしたり、口で説明したりと教えていきます。

実際に操作をするのは教わる側なので、実体験をさせるのです。

頭で分かっていても、体が経験しなければ身には付きません。

だから、実際に操作は自分でやらせます。

もちろんミスはしてもいいし、ミスをしてもいい雰囲気を出します。ミスをしても「そう、そこはみんな間違えるところ」「その隣だね」「もう一回やってみようか」こんな声掛けをしながら進めていきます。

一通りできたら、それは成功体験として教わる側に蓄積されていきます。

こうやって彼女にイチから、いや、ゼロからレクチャーしていきました。

元々一生懸命だった彼女は、一緒にやってくれる人が傍に居ることで気持ちにも余裕ができてきました。

でも正直、まだまだミスはあります。

そこは、上司である私がカバーしています。

彼女から報告された数字は必ず自分でも計算します。彼女の言動もできる限りチェックしています。

ミスをするたびに指摘をしますが、そのたびに考えさせます。考え方さえ導いてあげれば、使うべきものが間違ってない限り必ず正しい結果が出てくるはずです。

「使うべきもの」も教えてあげないといけませんね。それはまだまだですが。

少しずつ少しずつ、彼女の存在感は会社の中で大きくなってきて、少しづつアルバイトからも頼りにされています。

もっと彼女を成長させたいです。彼女の成長は会社の成長にもつながってくるのでね。

一緒にがんばろう!

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