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高校横綱に付出資格を与えたらどう?

こんにちは。

しばらく学歴厨が喜びそうな記事ばっか書いてたんですが、今日は高卒を勧めるという学歴厨憤死の記事を書いていこうと思います。

以前、力士の学歴という記事を書き、そこで付出制度というものについて説明しました。

詳しくは当記事をご覧になっていただきたいのですが、付出というのは、アマチュア相撲で一定の成果を残した人に与えられる、飛び級みたいな制度です。
中途入社の方がいきなりマネージャーになるような感覚に近いものと思っていただいて大丈夫です。

現在この付出資格を獲得できるのは、「全日本相撲選手権大会」「全国学生相撲選手権大会」「全日本実業団相撲選手権大会」「国民体育大会相撲競技(成年男子)」のいずれかの大会で一定以上の成績を収めた人、となります。
私の提言は、ここに「全国高等学校総合体育大会相撲競技大会」優勝、すなわち高校横綱を加えてはどうかというものです。


既存の付出が認められる4大会の性質

さて、現在付出資格が認められる4大会について、それぞれの出場要件は以下の通りです。

・全日本相撲選手権大会…高校生、大学生、社会人
・全国学生相撲選手権大会…大学生
・全日本実業団相撲選手権大会…社会人
・国民体育大会相撲競技(成年男子)…大学生、社会人

そう、高校生で可能性があるのは全日本相撲選手権大会のみです。
しかし、この全日本相撲選手権大会は、誰でも参加できることからアマチュア相撲の中でも最も重要視される大会で、この四つの大会の中で最もレベルが高いです。
幕下付出でも最も重要視されており、幕下15枚目付出は4つの大会のどれかで優勝していれば良いですが、幕下10枚目付出では、全日本相撲選手権大会に優勝した上で他一つ優勝している必要があります。全日本相撲選手権大会以外の大会二つ優勝ではもらえません。

そんな全日本相撲選手権大会で高校生が優勝した例は、長い歴史で久嶋啓太ただ一人(後の久島海)です。

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そしてそもそも、この大会は高校生は出場すら難しいです。
その年のアマチュア相撲で傑出した成績を残した約65名に出場資格が与えられるのですが、大体大学生と社会人がそれぞれ30名程度、高校生は2名程度です。

そんな、出場すら難しく、かつアマチュア相撲で最もレベルが高い大会でしか付出資格獲得のチャンスがないのは可哀想だと思いませんか?


高校横綱は下のほうだと強すぎる

というのも、高校横綱って当たり前ですがめちゃくちゃつよいんです。

確かに、全日本相撲選手権大会での優勝は厳しいでしょう。先ほどあげた四つの大会の優勝者の誰よりも高校横綱の実力は劣るとは思います。

しかし、三段目最下位格ぐらいはあげてもいいんじゃないでしょうか。

高校横綱が三段目最下位格に相当する証拠があります。
現在幕下で活躍中の北の若という力士、彼は本名を齋藤大輔といい、2018年の高校横綱です。

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彼が西序二段46枚目で迎えた2019年名古屋場所、5勝2敗で終わるのですが、なんと高校横綱経験者が序二段で2敗するのは長い相撲の歴史上初めてでした。

そして次の場所も序二段でしたが、高校横綱経験者が序二段に2場所以上在位するのも史上初めてでした。

つまり高校横綱は序二段・序の口の地位では強すぎるんです。

三段目はその一つ上の地位です。
ほら、三段目最下位格付出が妥当じゃないですか?


アマチュア相撲への人材流出

なぜ僕がここまで強固に高校横綱の付出を訴えるかというと、実力的に妥当なだけでなく、大相撲のアマチュア相撲への人材流出が深刻だからです。

プロ野球で、ドラ1間違いなしの有力アマチュア選手がプロ入りを拒否することってあります?
斎藤佑樹や島袋洋奨みたいに大学進学を選ぶ人はいますが、多数派ではないですよね。大学生以降で拒否する人なんてほとんどいないと思います。

しかし、大相撲は拒否られまくりです。御嶽海は元々県庁に就職する予定でした。先ほどあげた4つの大会、去年の優勝者は全員プロ入りを拒否しました。大幅に下積みをカットできるのにも関わらずです。
過去15年の高校横綱は合計で14人いますが、そのうち入門したのは半分の7人で、そのうち4人が高卒で直接入門です。
高校で優勝しても、4/15しかそのままプロに入らないなんて、勿体ないとは思いませんか?

理由として挙げられるのが、過酷な下積みです。
大相撲では、以前記事にも書いたように徹底した実力社会で、番付が上ならば正義、特に関取と幕下以下の差は苛烈です。
一文無しで強制大部屋生活という相当浮世離れした生活を送らなければならないというのは、なかなかに厳しいでしょう。

そしてもう一つの理由が、失敗した場合のリスクのでかさです。特に現行の付出資格獲得者かつ入門資格がある人たちは確実に22歳以上なので、活躍できるのは10年がせいぜいでしょう。
しかし、高校卒業後なら15年ぐらいは選手寿命が期待できます。そしてさらに付出もついてくるとなれば、大学に行かずに高卒入門を選ぶ人も増えるんじゃないでしょうか。


高校横綱付出入門を導入すれば、両方を解決できる

しかし、高校横綱を付出にすれば両方を解決できます。

まず一つ目の下積みが過酷という点ですが、付出制度そのものが飛び級なのでこれは説明不要でしょう。

もう一つの失敗したリスクが大きい点ですが、実は高校横綱は現状付出がなく下っ端から始まるにも関わらず、その成功率は非常に高いです。

ここ40年で高校横綱を取ってかつ角界に入門した人は、直近の3年を除けば16人(直近の3年で入門した3人も超有望株なので、すぐ関取になると思います)で、関取になれなかったのは一人もいません。大関はなんと16人中5人います。
そんな素晴らしい可能性を持った逸材をみすみす逃しまくっているのが現状なんです。

アマチュア相撲のほうが下、アマチュア相撲なんかで時間を無駄にするな!とか言う気は全くありません。しかし、大相撲サイドとしては逸材を逃していることに変わりはないでしょう。問題なのは、アマチュア相撲サイドから、大相撲でプロの力士として働くことが魅力的に映っていないことだと思います。

過酷な下積みを大幅にカットできる付出は魅力的に映ると思うんですがね…

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