スタジアムで泣いた
大阪に住んでいた時、セレッソ大阪の応援をしていた。
長居、キンチョウスタジアムには毎試合観戦にいっていた。
セレッソに興味を持ったのはオリンピック代表に蛍や扇原等セレッソ大阪の選手が多く選ばれ香川や乾などの選手も海外に移籍したことで、おもしろそうなチームだな、というのと住んでいた所から1番近いクラブだったから。
そして楠神順平がセレッソに加入したから
野洲高校を特別応援していたわけではなかったがプロ入りしてからの彼はなぜか気になっていた。
そしてセレッソに移籍した。
よしほな観に行ってみるか、と。
試合を見に行ってみると、やはり彼は上手かった。一つ一つの動きが細かくて速い。だからといって決定的なパスが出せるわけでもないし、ドリブルで1人2人かわしてもシュートまではいけない。いや、そこはシュート打てよ、という場面でもドリブルで相手を抜くだけで満足してるかのように、その後の事は考えていないような風に思えた。魅力的な選手だ。応援したい。
2013年のセレッソは強かったし魅力的な選手が多かった。オリンピック組に加えて、エース番号を背負って覚醒した柿谷曜一朗、次世代のエース南野拓実、レギュラーを奪取しセンターバックの魅力を教えてくれた山下達也、キックがとても美しい関西人キムジンヒョン、見分けがつかない両サイドバック。シャケは頑なに左足を使わない。
そんなチームにあって背番号10を背負った楠神はレギュラーではなかった。
そして得点がずっととれなかった
セレッソは2014年に迷走し、J2に降格した。
2013年は柿谷の背番号8ユニフォームにしたがそれ以降は楠神のユニフォームを買っていた。
楠神はJ2でも点がとれてなかった。
キンチョウスタジアムで迎えた徳島戦。たしか。
楠神がエリア内で強引に仕掛けたことでファウルをもらいPKをゲットした。
わきあがるスタジアム。俺もよくやった!と声援を送った。
だがしかしスタジアムは一瞬で静寂に包まれる。
倒された彼はボールを脇にかかえてキッカーに名乗り出たのだ。
実はこの時、倒された楠神をねぎらいながらボールをもらおうとした選手がいた。南野拓実だ。よし、俺にまかせろ、え?蹴るの?て感じだった。
南野からボールを死守し、ボールを抱えた彼は子供がケンカした後のように泣きそうな顔をしていた。
もしこれで外したら、、、。
異様な雰囲気がスタジアムを包む。見てるこっちが緊張して、不安でゲロ吐きそうになる。
ゴール裏のセレサポは嘘のように静観した。とても静か。シーン、としていた。いやいや、こういう時は応援せなあかんのちゃうの!と思ったがそういうルールでやってのかな、とも。
その静観が余計に不安にさせた
目をつむってしまいたい衝動をなんとか堪えた
シュートはしっかりとゴールに吸い込まれた。
声にならない声が出た。
そして涙が飛び出してきた。
1人の選手をこんなに応援した事はなかった。親のような気持ちで見ていた選手がようやく結果を出した。決めた後の彼の表情と、駆け寄る周りの選手の表情がとても印象的ですごく泣けた。
前の席で観戦していたJK2人組が振り返って号泣している俺を見て明らかにひいていたがそんなもんはどーでもよかった。
ただの日本の2部リーグで代表選手でもない選手が決めたPKだが自分にとってはとても印象的なゴールだ
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