2022年 FC大阪 0-0 奈良クラブ 感想

絶対に勝たないといけない試合を勝てなかった…

今回はどうして生駒山ダービーに勝てなかったのかをここでは3つに分けて考えてみたい。それでは1つ目、武蔵野戦と同様にまずはシュート数を見てみるが、12本(前半4本+8本)と前節の武蔵野戦よりも1本さらに多いシュートを打っている。ここまでのシュート数を見てみると、滋賀5 Honda3 青森2 大分12 岡﨑2 三重12 新宿9 高知10 Honda4(3) 武蔵野11。このように12本のシュート数というのは大分、三重戦に次いで多いシュート数であるということが分かる。それでは、これも武蔵野戦同様に個別でシュートチャンスを見てみると…

浅川選手×4

○6分、ボランチ可児選手が相手のボールを足元に収めて→センターサークル中央にいたフリーの左WG長島選手へパス 長島選手はワンタッチで前方のCF浅川選手へスルーパス ペナ内右まで進入する浅川選手に右SB2番がマークするも右足でシュート しかし2番のマークでシュートコースへ入られGK1番が投げ出した足に当てるビッグセーブ 右CB13番がクリアしタッチラインを割る

その後ルーズボールを可児選手が足元に収めて前方の浅川選手へ浮き球のパス 浅川選手がバウンドボールにタイミングを合わせてペナ外右でダイレクトにシュートを打つも枠外へ

15分、自陣から右CB伊勢選手がCF浅川選手へロングパス ペナ内右でワンバウンドボールをダイレクトでボレーシュートもオフサイドの判定

55分、相手陣内左サイドで左WG長島選手から後方に倒れ込みながら足を投げ出して左SB加藤選手がワンツーを返す 長島選手クロス→左SB6番に体を入れられCF浅川選手へは合わずゴールラインを割る

長島選手×4

27分、センターサークル付近でボランチの森田選手が左サイドへロングパス 左SB加藤選手がダイレクトで中にいた左WG長島選手へ 右CB13番が詰め寄るもペナ外際で胸トラップからターンしてかわしシュートも枠外へ

45分+1分、最終ラインは相手陣内で押し込んでいる状況 フリーのボランチ可児選手が左サイドへミドルパス→左SB加藤選手が頭で中へ落とす 前へ走り込んできた左WG長島選手がペナ内まで進入 右CB13番をかわそうとするもボールロスト 左CB35番にクリアされる

59分、自陣右サイドでの相手リスタート 右SB都並選手が回収し左SB6番が詰め寄るも前方の右WG金子昌選手へ絶妙のパス 金子昌選手⇔ボランチ可児選手が相手に囲まれながらも素早くワンツー 可児選手→右CB13番のマークに合いながらもCF浅川選手へ渡る 浅川選手→右サイドフリーのST山本選手へ渡る ボランチ森田選手達が相手最終ラインでスルーパスの要求する しかし山本選手→逆サイド左WG長島選手へ大きくオーバロード 長島選手胸トラップ後は相手最終ライン帰陣する 前へ運び右サイドペナ外際でシュート(クロス?)もGK1番がキャッチ

77分、左サイドのリスタートでCF浜田選手→左WG森選手へ渡ると右SB2番がプレス 森選手ペナ付近でファーサイドへクロス 右WG長島選手がポケット右へ飛び込んでシュートするも左SB6番にブロックされる そのこぼれ球にボランチ森田選手が入るも2度6番につぶされる

森田選手×2

○24分、右SB都並選手のクロスのクリアボールに加藤選手が頭で→CF浅川選手も頭で→ペナ内右で山本選手が収めようとするも右CB13番にクリア 浮き球に可児選手が頭で→山本選手も頭で森田選手へ折り返し左SB6番が寄せる ペナ内中央でフリーに近い森田選手がダイレクトでループシュートを打つも枠外へ

46分、自陣中央で右SH18番からのこぼれ球を右CB伊勢選手がクリア クリアボールをボランチ可児選手が回収 左SH25番とボランチ16番2枚で中切プレス 可児選手→左サイド中側でフリーST山本選手へ速いパスが渡る 山本選手→更に前方の外側を走るフリー左WG長島選手へパスが渡る 18番がプレスバックを試みるも長島選手ドリブルの緩急でかわす 長島選手→右ポケット付近の山本選手へ横パスが渡る 右CB13番18番16番3人に囲まれる 山本選手が後方から走り込んできたボランチ森田選手へパス 山本選手→森田選手がペナ外右でグラウンダーのミドルシュートもGK1がキャッチ

都並選手×2

51分、左CKキッカーボランチ可児選手→右SB都並選手が頭で合わせるもGK1番がキャッチ

53分、右CKの流れからCF浅川選手が収める 浅川選手→後方のボランチ可児選手へ渡る 可児選手→右サイドをフリー右WG金子昌選手へ渡る 金子昌選手がファーへクロス→右SB都並選手がトラップするもゴールラインを割る

山本選手×2

24分、GKアルナウ選手のハンドスローに右SH18番が詰め寄るもST山本選手がダイレクトパスでかわし左SB加藤選手へ渡る FW9番に詰め寄るもフィジカルの強さでなぎ倒しそのままゾーン3まで運ぶ 加藤選手→逆サイドフリーの右WG金子昌選手へ渡る 金子昌選手→ボランチ森田選手へ渡るとボランチ8番のショルダーチャージで倒れる ペナ内のこぼれ球に加藤選手が拾い→森田選手→ゴールに体を向いた山本選手へ渡る ペナ外中央でシュートを打つも8番がブロック

33分、左CB寺村選手が縦パス→中へ絞っていた左WG長島選手へ渡る 右CB13番が詰め寄るもワンタッチで前へはたき→レイオフしたCF浅川選手がCB35番を引き連れながら落とす→後方のボランチ森田選手がゾーン3まで少し運び→左サイドでフリーのST山本選手へ渡る 左ポケット際でダイレクトでシュートも上手くミートせずゴロボールをGK1番がキャッチ

金子昌選手×1

32分、相手陣内で右CB13番にST山本選手がプレス 13番→ボランチ16番へ縦パスも左WG長島選手とボランチ可児選手が寄せパスカット こぼれ球にボランチ8番が寄せるも山本選手が先にボールを回収してCF浅川選手へ ミドルシュートは狙わず右WG金子昌選手へパスを選択 左SB6番にマークされるもペナ内右まで進入するもバランスを崩しシュート打てず こぼれ球をGK1番がペナ右のタッチライン際でキャッチ

浜田選手×1

85分、相手リスタート後のこぼれ球を左SB加藤選手が回収し前へ運ぶ センターラインを超えてから加藤選手→ST山本選手へ渡るとボランチ8番にユニを引っ張られるもペナ際まで運ぶ 左SB6番もカバーに入られバックパス 山本選手→CF浜田選手がペナ外中央付近でシュートも枠外へ

森選手×1

88分、相手GK1番のロングボールのこぼれ球に左CB寺村選手がセンターサークル内の左WG森選手へ渡ると右SB2番が詰め寄る 森選手ドリブルでかわしペナ外左でシュートも枠外へ

可児選手×2

87分、相手陣内左サイドで相手2人にマークされ左WG森選手が斜め後方に走り込んできたフリーのボランチ可児選手へバックパス 可児選手へ渡ると2人マークされるもペナ外左よりからシュートも枠外へ

○90分、相手陣内のクリアボールをペナ外中央でボランチ可児選手が回収 そこから相手4人をドリブルで単独突破してペナ内中央まで運びシュートも枠外へ

公式記録では、加藤1 森田2 可児2 長島3 浅川2 森1 浜田1 合計12本となっている。ここで挙げたシュートチャンス数は合計19回あり、一見するとよくシュートを打ってよくチャンスも作っているように思える。しかし、上記であげた場面を読んでみれば分かると思うが、シュート数は打ってはいるもののそのほとんどがペルティーエリア外もしくは際からのミドルシュートが多かった。いわゆるゴール期待値が高かったとあえていえるのは、6分の浅川選手のシュート、24分の森田選手のループシュート、90分の可児選手のシュートの3本だけではなかったかと考える。特に90分の可児選手が、相手4人をドリブルで単独突破してペナルティーエリア内中央まで果敢に進入してのシュートに至っては、ゴールのオーラがみちみちと漂っていただけに、枠外へ外れてしまったことは本当に残念であった。

ここまでJFLのチームを見ていてよくよく感じることは、どこのチームも最終ラインの守備力が非常に高いということに驚かされる。これからもミドルシュートを積極的に打っていくことはもちろん大切なことではあるが、この高い守備力を突破してゴールを奪うことはよほどスーパーゴールでもない限り、そう容易なことではない。では、どうしたらゴールを奪えるのか。それは、前回のnoteからの繰り返しになるが、やはりペナルティーエリア内に3トップの選手以外の中盤の選手が、果敢にどんどん進入していって決定的なチャンスを狙っていくことに他ならない。そのため勝てなかった2つ目の理由としては、STの山本選手の活躍がもっと必要ではないかと私は考えている。この試合の山本選手は…

24分、GKアルナウ選手のハンドスローに右SH18番が詰め寄るもST山本選手がダイレクトパスでかわし左SB加藤選手へ渡る FW9番に詰め寄るもフィジカルの強さでなぎ倒しそのままゾーン3まで運ぶ 加藤選手→逆サイドフリーの右WG金子昌選手へ渡る 金子昌選手→ボランチ森田選手へ渡るとボランチ8番のショルダーチャージで倒れる ペナ内のこぼれ球に加藤選手が拾い→森田選手→ゴールに体を向いた山本選手へ渡る ペナ外中央でシュートを打つも8番がブロック

その後、右SB都並選手のクロスのクリアボールに加藤選手が頭で→CF浅川選手も頭で→ペナ内右で山本選手が収めようとするも右CB13番にクリア 浮き球に可児選手が頭で→山本選手も頭で森田選手へ折り返し左SB6番が寄せる ペナ内中央で森田選手がダイレクトでループシュートを打つも枠外へ

25分、GK1番のロングキックにFW9番が収めようとするもST山本選手が詰め寄りタッチラインへ

29分、自陣中央にいた左SB加藤選手からST山本選手へパス ボランチ8番のマークに右方向から前へ向けず 山本選手→後方の右CB伊勢選手へバックパス リターンを受けようと前方まで走っていた加藤選手へ渡らず

32分、相手陣内で右CB13番にST山本選手がプレス 13番→ボランチ16番へ縦パスも左WG長島選手とボランチ可児選手が寄せパスカット こぼれ球にボランチ8番が寄せるも山本選手が先にボールを回収してCF浅川選手へ ミドルシュートは狙わず右WG金子昌選手へパスを選択 左SB6番にマークされるもペナ内右まで進入するもバランスを崩しシュート打てず こぼれ球をGK1番がペナ右のタッチライン際でキャッチ

33分、左CB寺村選手が縦パス→中へ絞っていた左WG長島選手へ渡る 右CB13番が詰め寄るもワンタッチで前へはたき→レイオフしたCF浅川選手がCB35番を引き連れながら落とす→後方のボランチ森田選手がゾーン3まで少し運び→左サイドでフリーのST山本選手へ渡る 左ポケット際でダイレクトでシュートも上手くミートせずゴロボールをGK1番がキャッチ

35分、3人に囲まれるも足元でキープし収める 中へ入ってきた左WG長島選手へパス

59分、自陣右サイドでの相手リスタート 右SB都並選手が回収し左SB6番が詰め寄るも前方の右WG金子昌選手へ絶妙のパス 金子昌選手⇔ボランチ可児選手が相手に囲まれながらも素早くワンツー 可児選手→右CB13番のマークに合いながらもCF浅川選手へ渡る 浅川選手→右サイドフリーのST山本選手へ渡る ボランチ森田選手達が相手最終ラインでスルーパスの要求する しかし山本選手→逆サイド左WG長島選手へ大きくオーバロード 長島選手胸トラップ後は相手最終ライン帰陣する 前へ運び右サイドでシュートもGK1番がキャッチ

このように、ここに挙げた場面は前半だけではあるが、山本選手は奈良クラブの攻撃の際には必ずといってよいほどボールに関わっているのがよく分かる。24分ではGKアルナウ選手からのハンドスローに素早く反応して味方へスムーズに繋げるターゲットマンとしての働きをみせミドルシュートも放ち、その後ペナルティーエリア内で相手を引き連れスペースを空ける動きをみせ、森田選手のループシュートへ繋げている。33分では、左ポケット際からフリーでボールを受ける動きをみせ決定的なチャンスを演出している。ここでは上手くミートしなかったのが残念であった。35分では3人に囲まれながらも抜群のボールキープ力を生かし味方へパスをみせている。守備でも25分では、相手GKのロングキックに対して素早く反応してタッチラインへ戻したり、32分では相手CBへのプレッシングから、ポジティブトランジションの起点となってショートカウンターのチャンスを演出している。

今でも十分過ぎるほどに奈良クラブで活躍している山本選手ではあるが、彼のポテンシャルの高さを考えてみると、まだまだこんなスケールでは終わらないと確信している。彼にはJFLのステージは到底低すぎるのだ。Jリーグは当然のことながら、その秘めた才能さえ開花すれば外国人相手であってもフィジカルで負けることはないだろう。そして、欧州の4大リーグであっても十二分に活躍できるのではないかと私は大いに期待している。そのためには、先述したペナルティーエリア内へどんどん積極的に進入して、スケール感みなぎる強引なシュートを頭でも足でも体でも何でも構わないのでガンガン打ち込んでほしい。そして、ペナルティーエリア内では奈良クラブの選手のなかでもっとも怖い選手へと変貌してほしい。味方なんか全く配慮する必要はない。ビルドアップ時に中盤で味方選手へボールを繋ぐタスクがあったとしても、時にはそんなタスクなんか他の誰かに任せてしまって無視すればいい。そして、ゆうゆうとペナルティーエリアまで走っていってしまうような、そんなふてぶてしさをどうか常に自分に言い聞かせてプレーしてもらいたい。そうすれば、山本選手がゴールを数多く挙げることによって、これから奈良クラブは攻撃に幅が生まれ波に乗って勝ち続けていくだろう。

次に、勝てなかった3つ目として挙げたいのはリスタートである。今期これまで奪ったゴールのなかで、奈良クラブがリスタートでいくつゴールを上げできたであろうかと調べてみると、驚くことにそれは全くなかった。大分戦の浜田選手が挙げたゴールをリスタートといえばリスタートとも言えるが、いわゆるCKからではなかった。それではいままで奈良クラブのCKの公式記録を見てみると…

滋賀2 Honda2 青森3 大分4 岡﨑2 三重3 新宿4 高知8 Honda0 武蔵野9 FC大阪5

このように、この試合でCK5本というのは、武蔵野戦の9本、高知戦8本に次いで3番目に多いことになる。決して少ない数字ではないのだ。とはいえ、岡崎戦では対戦相手の岡崎からCKを4本で決勝点を挙げられているし、武蔵野戦では武蔵野のCKは6本であるが追加点を挙げられている。これまでのCKの数を足してみると、合計は42本となり、これまでにゴールが0本というのはどう考えてもかなり厳しい数字と言えるのではないか。先述したように、JFLのチームの最終ラインはどこも守備が固い。そのためCKからゴールを奪うことは難しいのは十分理解できる。しかし、こういった難しいゲームであればあるほど、CKやリスタートからのゴールというのはチームを救ってくれることになるのは間違いないのである。ここの対策を、おそらくチームは開幕前のキャンプのときから既に講じているに違いないはずだが、何とかそこを早急に実現しないと、これからも苦しく難しいゲームが繰り返されていくことになるだろう。

以上の3点が、この試合で勝てなかった原因ではないかと挙げてみた。果たして次節まで修正できるのか。しかし、勝てなかったとはいっても悲観的になる必要は全くないだろう。それを証拠に、懸念されていたFC大阪の積極的なプレッシングについては、立ち上がりの3分までと、26分で右サイド、29分でCHの位置で奪われてしまったこと以外は、ボランチの可児選手を起点にして、90分間を通じてほとんどプレッシング回避してビルドアップできていたからである。そして、FC大阪から決定機らしい決定機をほとんど作られていなかったし、ゲームの主導権は奈良クラブが握っていて圧倒していたといっていいからだ。重ねて言うが、生駒山ダービーに勝てなかったとはいって悲観的になる必要はどこにもない。私は選手達を信じているし、これからも見守っていきたい。そして、必ずやJへ昇格する日が来ることを私は待ち望んでいる。

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