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10月のオモテ

ハローワークは家から自転車で30分ほどだった。

まさか自分がここに来ることになるなんて、ほんと半年前には夢にも思わなかった。入ったとたん、失業保険申請の待合に座っていた十数人が、一斉に僕をみる。皆複雑な表情をしている。思った通り嫌な雰囲気の場所だというのを僕はすぐに感じ取った。

それとは裏腹に、職員の対応はすごく丁寧だった。問題の居所証明だが、民生委員の証明がなくても、自分あてに届いている郵便物が2通以上あればよいということだった。

助かった。実は前の会社などから書類を実家に送ってもらった封筒を取ってあったんだ。

他に必要なのが、就労可能という医師による証明だった。僕はその翌日すぐに東京の医者にいった。証明書をもらって医者に、もう大丈夫と励まされて、とんぼ返りで実家に戻る。もうこれで病院にいくことはなくなった。

医者のお墨付きももらったし、自分でも大丈夫だと思ってた。頭はぼーっとしないし、日常生活は問題なく送れている。ただ漠然とした不安はずっとあった。

再度ハローワークに行って、失業保険の申請をした。七日間の待機期間を経て、説明会を受け、僕は失業保険の受給者となった。それと同時に社会保険料の免除の申請をして、僕は、転職活動を始めていくことになる。

10月の終わりのことだ。

チョコ棒を買うのに使わせてもらいます('ω')