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なんにせよ、制度がその役割を全うしうる条件は、それが「正義」であるか否かということであ…
坂を上った先に彼の墓はあった。林間を抜けて少し開けたところにぽつんと。 この手のこと…
大学時代の同級生である高橋から、急遽彼の自宅に呼び出された後藤。雑然としたモノであふれか…
とある村に神のお告げが下った。 村のはずれに、高い塔を建てろというのだ。 「この塔が…
「上の世界が人で溢れちゃったんですよ。」 もう一人の自分は、話が長くなることを断って、…
この世のだれにとっても、時間というものは有限である。 普通の社会人は週七日のうち、五…
この屋敷の第一印象を率直に述べるならば、それは彼にとって最悪と言ってよかった。 男は建築家だった。屋敷のリフォームと改築を依頼されて今ここにいるのだが、なんとこの屋敷の不気味なことか。不気味の原因は屋敷中所狭しと飾られたマネキンたちだ。この広い屋敷には部屋にはもちろん、廊下にまで、白色の裸マネキンがいろいろなポーズを取りながら飾ってあったのだ。ここまでくるともう不気味を通り越して恐怖すら感じる。トイレにも飾ってあったのを見たときは声を出しそうになったほどだ。 彼は一
目の前にカップ麺が二つ。 赤いパッケージの天ぷらそばと緑のパッケージのきつねうどん。…
「冴える」というのが冬の季語なら、春は「冴えない」季節なのだろうか。 春陽の優しく包…
「 」 「べつに、何もしてないよ。ずっとこうして、ここにいるだけよ。」…
暗い暗い闇の中。 僕は頭を抱えている。いつからこの世界にいるのか、どうしてここにいる…
日が暮れかかったころ、動物たちは話し始める。 「いやぁー、ようやく落ち着いたようだ。」…
男はカップ焼きそばについて異様にうるさい。 やれUFOだ、ペヤングだ、一平ちゃんだ、ソ…
その街は花であふれていた。 重厚な鉄の門からひとたび街に入ると、道端から家々の庭先から色とりどりの綺麗な花々がそこかしこに咲いていた。花壇がど真ん中を貫くメインストリートの花を横目に男は歩いていた。 男は初めてこの街に来た。まるでおとぎ話に出てきそうな雰囲気の街で、少しだけ男はこの場にいる居心地の悪さを感じていた。しかし、その居心地の悪さも、この街に住む人々と話してみると、すぐになくなった。 この街の人はいい人ばかりだ。道ですれ違う人々は皆にこやかに挨拶をした。