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チェコの音楽 〜カレル・クリル〜

カレル・クリルとはどんな人?

一言で言うと「国民の代弁者」ですかね。
そこまで言えるほど、チェコスロバキア時代においてとても大事な人物です。

実は先日4月12日が生誕80周年でした。
チェコの音楽もたまに紹介していくにあたり、この人は外せない!という
ことで記事にすることにしました。
チェコ好きなら知っておいてほしい情熱の人、カレル・クリル。

ジャーナリストだった彼の歌詞は真っ直ぐ突き刺さるものばかり。
時代背景もあり反共歌、戦地に赴く兵士の心情をつづる歌が多いです。
ドストレートに歌うこともあれば、随所に隠れたメッセージが盛り込んできたりします。

ドイツで死去するまで20年間強制追放の身となっていたそうです。チェコにもスロバキアにも行けないこの長い年月。最期は寂しくドイツの病院で亡くなったのですが、そのあと正式にチェコで葬儀が行われ大統領から勲章を授与されています。まさに時代に翻弄された歌手でした。

愛国者であるが故のアナーキスト

チェコではアメリカナイズを助長すると言うことで色々な活動が禁止されていました。日本ではボーイスカウトで知られるJunákユナーク(スカウト)も当然だめです。

しかしクリルは制限されたアクティビティをサポートしていました。
普通なら政府の制圧が怖くて出来ないですね。
そこはやはり、愛する祖国を自由にしたいという熱い想いがあったからの行動だったのではと思います。

そういえば・・・私の同年代みんな従兄弟も小学生の時から参加しており私もガールスカウトに入る予定でしたが、どうもグループ活動が苦手なので参加しませんでした(笑)。そんなにアメリカっぽいのかなと思うのですが、
れっきとした青少年運動組織の一つで誓いもありますしね。
現在も存在しない国があるようですが、国名聞くと「あ、なるほど」と思ったり・・・

ちなみに夫は幼少期スカウトに参加していましたが、当時はバレると大問題でした・・・。バレずによかった。
革命後に言論や行動の自由は戻りました。

カレル・クリルのおすすめソング

オススメ(と言って良いのか?)の曲をいくつかご紹介。

戦地に向かう、戦争を目の当たりにしなければいけなかった庶民の心情を歌い上げるクリルの歌はチェコの軍人の中でよく歌われているそうです(ソースは夫)。

ダニエル・ランダもカバーしている『Morituri te salutant』。
ラテン語で「死にゆく者より敬礼を」との意味です。

生きて帰ることはない覚悟を持ち戦地へ向かう行進の中にいるひとりの兵士の心情を歌っています。

ダニエル自身も軍隊にいたことがあり(なんと夫が所属していた部隊と同じでした)、今度は彼についても書きたいと思います。

そしてこちらも必聴ソング。『Bratříčku』、直訳だと弟と訳しますが家族間で姉・兄が弟を呼ぶときにも使われます。

1968年のプラハの春、突然の侵攻に怯える弟を兄が優しく諭す歌です。

「オオカミはヒツジがほしいんだ。ドアを閉めないと、弟よ。ゲートを閉じないと」と侵攻の恐怖を歌います。

ソ連が侵攻し民主化されたのが1989年、割と最近な感じでびっくりですが、
夫も色々最後のソ連兵が撤退するまでを見届けた一人です。

この共産主義は良かったのか、悪かったのか・・・よく話しました。
Ostrava方面にはまだそこかしこに共産主義の名残が見えます。
別の機会にチェコでの共産主義について語りたいと思います(
好きな人は好きかな?)。

共産主義をもっと知りたい方はプラハにある共産主義博物館に行ってみてください。夫は「懐かしすぎる」と言ってました(笑)。

それでは今日はこの辺で。

Zduř!


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