20240531_禁煙に向けて

うちの両親はタバコを吸う。
中学生まで住んでいたアメリカの家ではガレージが喫煙所で、
靴箱のそばには灰皿があった。
当時、学校で喫煙の危険性に関する教育を受けていた私は真剣に親の心配をして
タバコを水に浸したり、どうにかやめさせようとしていた。
帰国後、日本の家では換気扇の下が喫煙所だった。母親はイライラするとタバコに火をつけて、キッチンの隅から私に小言を言っていた。父親は常にタバコを吸っていた。タバコの匂いは私にとっては家の所々で香る、両親の匂いだった。

高校に上がり数少ない心を許せる友人たちは裏山でタバコを吸っていた。
一本もらった。親に隠れてアルコールを持ち寄った時もラークを一本もらった。

大学のために上京した。まず入ったラテン文化サークルで1番仲良かった人たちは喫煙者だった。大学の部室棟の3階に広い屋上みたいな喫煙所があり、軽音部に入った後もミーティング後やら授業後に仲間とタバコを吸った。
昼下がりにドクターペッパーを飲みながら吸うタバコは1番美味かった。
寮の仲間と、寮では吸えないからと夜中に部活棟まで行き、喫煙した。
1人で吸うタバコも美味しかった。当時は主にアイブラ、ハイメン、ピースを吸っていた。

社会人になり、禁煙の会社に入った。寮も禁煙だったけど家の近くの駐車場でタバコを吸っていた。彼氏ができて同居を始めた。元々喫煙者だった元彼は気づいたらタバコをやめていた。うつ病になり、日の当たるベランダでタバコを吸う時間が好きだった。犬を飼い始めてから、手に臭いがついた状態で犬を触るのが嫌だったから電子にした。
ピルを飲み始め半年ほど禁煙した。
犬と住みやすいところに引っ越した。仕事に復帰したけれど、ストレスでまた吸い始めた。結婚するなら絶対タバコをやめろと言われてしばらく禁煙していたけれど、最後の方は隠れて電子タバコを吸っていた。別れる前にバレてたと教えてもらった。

別れてからは数本数が一気に増えた。グローからアイコスに変えたら喉の調子が悪くなった。でも吸い続けた。ニコチンが欲しいがためにタバコを吸い続けた。

歳を重ねるにつれ、周りの喫煙者はどんどんタバコをやめていった。
タバコをやめないと結婚できないと言われてもなおやめられなかった。
ピルを飲んでいるから本来吸っちゃいけないとわかってても吸っていた。
全面禁煙でビルの喫煙所がない会社だから、出社時は道路でアイコスをコソコソと吸っていた。

もうそろそろ体もボロボロだし、色々あったけど落ち着いてきたタイミングで禁煙しようと思った。今回はちゃんと専門家のサポートを得られるような禁煙プログラムに参加した。

約9年間の喫煙生活を終えたいと思っている。明日、6月1日から私は禁煙をする。
タバコと共にあったいい思い出や悪い思い出も全て噛み締め、今吸い納めをしている。
もちろん禁煙できないんじゃないかという不安があるけど、これをやめたら一つ依存しているものが減るっていう自信を手に入れたい。
きっとなくても生きていける、大丈夫。

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