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城山文庫の書棚から083『倫理資本主義の時代』マルクス・ガブリエル早川書房 2024

「哲学界のロックスター」の異名を取るガブリエル氏が日本の読者のために書き下ろした新書。一般層にも伝わるよう平易な言葉づかいで資本主義のめざすべき方向を指し示す。「脱成長」に対するオルタナティブとして彼が提示する「倫理資本主義」とは何か。

現代の世界が直面する難題をガブリエル氏は「入れ子構造の危機」と表現する。複雑に絡み合った危機を乗り越えるため、倫理資本主義が実行された後に「エコ・ソーシャル・リベラリズム」という未来志向の社会像を描く。

すべての企業に倫理部門の設置を義務付けることを提言。高度な教育を受けた最高哲学責任者(CPO)が倫理部門を率いる。子どもたちに投票権をという彼の主張が奇しくも大阪維新の会の公約に近しいのには深い訳などあろうと無かろと。

8月28日の夜、東大本郷でガブリエル氏を招いたシンポジウムをIGと早川書房の主催で開催。ガブリエル氏講演の後は東大中島隆博教授、立命館大小川さやか教授を交えたパネルディスカッション。植村社長がモデレーターを務めます。参加申込みはこちら。https://peatix.com/event/4055573/