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読書完走#456『言語学バーリ・トゥード』川添愛 2021

なんなんだこの人!ホントおもしろい。言語学者と称しているが、所属も役職も何もない(フリーの物書きの)身の上で苦し紛れにそう名乗っているだけで、そのこと自体に後ろめたさを感じていると言う。東大の学報誌連載をまとめた本書も「言語学とは名ばかりで、普段考えているバカ話を披露する場」だと至って謙虚だ。

言語学は言葉の正しさを研究する学問ではなく、言葉を自然現象としてみる。だから“誤用"や“言葉の乱れ”が広まったり定着したりするのも自然な変化だと考える。変な文は、ある種の言語学者にとってはまさに飯の種なのだそうだ。本書は各回で変な文や表現を取り上げ、面白おかしくいじくり回す。

タイトルのバーリ・トゥードは“何でもあり”を意味するプロレス用語。プロレス好きの言語学者と編集者のタッグから生まれたトンデモ本すれすれの面白本。お腹を抱えて笑いながら言葉の深淵に触れることができる。荒技をかけられてみたい人はぜひ。