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城山文庫の書棚から054『日本の工芸を元気にする!』中川政七 東洋経済新報社 2017

300年続く奈良の老舗・中川政七商店の13代目当主が立てた100年の計、“日本の工芸を元気にする”。自社の製品だけでなく、全国の工芸品の中から宝の原石を見つけて磨き、製造者と販売店を繋いで、工芸大国日本を作るために奔走する。政七さん、覚悟のマニフェスト。

「歴史は未来に進むためのバックミラーである」という言葉を松岡正剛氏から授けられ、向かい合う二匹の鹿のロゴマークに温故知新を重ね合わせる。

家業に入って気づいたことは、会社の体を成していないことだった。一から改革を始めた13代目は15年間で(サッカーに準え)2本のキラーパスを通したという。小売事業とコンサルティングを始めたことだ。直営店を好立地に出すことで顧客とのコンタクトポイントが拡がり、工芸メーカーのコンサルティングによって仲間が増え、志を同じくするネットワークが構築される。日本工芸産地協会の設立や“さんち"ウェブサイトの立ち上げもその一環だ。

“世の中に楽しい仕事とそうでない仕事があるのではなく、その仕事を楽しめる人とそうでない人がいるだけなのだ。”この人は本当に自分の仕事を自分ごととして楽しめているのだなと思う。