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城山文庫の書棚から012『新世界秩序』ジャック・アタリ著 山本規雄訳 2018年 作品社

2021年9月に開催したオンライン国際シンポジウムに登壇していただいた現代欧州最高の知性のひとり、ジャック・アタリ氏。彼が2018年に世に出した「21世紀の“帝国の攻防”と“世界統治”」についての指南書を、ウクライナ危機に際し再び手に取る。

本書では古代・中世から近代、そして現代の世界秩序を時系列で俯瞰し、世界の中心都市の推移と世界統治機関の試みについて論じる。

世界の中心都市は、地中海・欧州からアメリカ東海岸へと移り、現在はアメリカ西海岸のLAとなっている。歴史上10番目となる中心都市は更に西進するならばアジアだが、如何に?

世界統治機関の試みは国際連盟・国際連合以前からあったが、大国間の駆引に翻弄されて成功してきたとは言い難い。米ソ冷戦が終わり、超大国アメリカの一強を中国が追う形となっているが、30年後の世界を支配するのは誰なのか?新型コロナウィルスの影響に加え、ウクライナ危機を迎えて、世界秩序の勢力図も変わりつつある。

激動の時代である今こそ、歴史に関する幅広い知識から導かれるアタリ氏の深い洞察は傾聴に値する。