DCF法による企業価値評価について

DCF法は企業価値評価の中心的な方法で、実務でも使用頻度が高い方法です。しかし、DCF法の具体的な計算方法にはいくつか議論となる部分があります。しかも、その部分は非常に難解な問題です。今回はその難解な部分を避けて、DCF法による企業価値算出方法について説明していきます。

いくつかある方法の中でも比較的スタンダードで分かりやすい方法を今回はご紹介します。

①将来のフリーキャッシュフローの予測を立てる

②WACC(ワック)の算出

③企業価値の算出

おおまかにこの三つの作業を実行すれば、DCF法による企業価値評価が行えます。

では、まず将来のフリーキャッシュフローの予測を立ててみましょう。将来の予測を立てるには、現状のフリーキャッシュフローを求める必要があります。フリーキャッシュフローの求め方は以下の通りです。

フリーキャッシュフロー                       =税引後営業利益+減価償却費ー運転資本増加額ー設備投資額

フリーキャッシュフローの予測に関してもさまざまな議論がありますが、期間に関しては3年から5年がひとつの相場となっています。将来の予測は、上場企業であれば中期経営計画や事業計画を参照にしてみてください。非上場企業の場合には、「中小企業白書」等を参考にするのもいいかもしれません。

次にWACC(ワック)を求めます。この言葉は聞きなれない言葉ですが、難しく考える必要はありません。WACCは加重平均資本コストと訳すことができます。今回はDCF法による算出方法の流れを説明しますので、細かい用語説明は別の機会に行います。

WACCは上場企業企業と非上場企業とで求め方が異なりますので注意が必要です。今回は上場企業のみ説明します。

WACC=D÷(D+E)×rD(1-T)+E÷(D+E)×rE

これだけ見ると難しそうですが、単純な計算ですので諦めないで下さい。ただ、何をどうしているかは理解している必要があります。一度は図解してみることをお勧めします。

いよいよ企業価値を算出します。最初に求めたフリーキャッシュフローをWACCで割り引いて企業価値を算出します。

計算式は以下の通りです。

DCF法による企業価値=

1年後のフリーキャッシュフロー÷(1+WACC)+2年後のフリーキャッシュフロー÷(1+WACC)²+n年後のフリーキャッシュフロー÷1+(WACC)ⁿ+継続価値÷1+(WACC)ⁿ

nはフリーキャッシュフローの予測期間です。継続価値は、n年後以降に企業が永続的に成長し続けると仮定した場合の価値です。

最後に非事業資産を加算します。非事業用の資産とは余裕資金や遊休不動産の価値です。

企業価値=DCF法で算出した企業価値+非事業用資産時価

最後は少し駆け足になりましたが、DCF法の計算方法のポイントは一応は説明しました。もう一言付け加えると、DCF法は企業が永続的に存在していることを前提に事業から生まれるキャッシュフローをベースに計算しています。

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