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『22年ベスト:映画編』ではない映画に関する雑記

今年も映画を全く観てないのでベストは選べません。

せめて記憶の範囲で"今年観た映画(当然旧作ばかりです)"を備忘用兼ね一言コメントレベルで紹介します。
※いろいろ忘れてそうなので思い出したら追記します。

バーバラ・ローデン 『WANDA』

のっけから元も子もない話ですみませんが、映画館で観たのこれだけです…。

でも家で観たものとあわせて、もうぶっちぎりの一位ですね。(まぁ数を観てないので22年ベストという言い方はしないですが。そもそも1970年の映画が22年のベストというのも表現的に正しいのか。。)

露骨でわかりやすいメッセージ性や説教臭さが滲み出てない分、逆に含蓄に富んだ映画になってるところ、50年前の映画とはとても思えません。

これまで絵としては目にしてきた種々のカットが実際スクリーンに出てきて「こういうシーンだったのか!」と何度も唸りました。

映画パンフにも掲載されているバーバラ・ローデンの下記コメントが非常に印象的。

私は無価値だった。私には友達がいなかった。才能もない。私は影のような存在でした。(略)『ワンダ』を作るまで、私は自分が誰なのか、自分が何をすべきなのか、まったく分からなかったのです。

映画の中ではあまり説明しすぎないように、露骨になりすぎないように、言葉にしすぎないようにしました。私の作品の主題は、あまり言語的でなく、自分の事情を自覚してない人たちです。

マーク・コリン 『ショック・ドゥ・フューチャー』

冒頭からジャニスのTシャツ、Suzanne Ciani、Laurie Spiegel、Eliane Radigue等とリンクする時代性(78年)、主人公のアルマ・ホドロフスキーはアレハンドロ・ホドロフスキーの孫、Tangerine DreamのポスターにThrobbing GristleとAksakMaboulとSuicideのレコード、主人公が借りてる部屋にゴダール『パート2 Numéro deux』のポスター。

上記全て「私のために作ってくれてありがとう」な映画でした。

エメラルド・フェネル 『プロミシング・ヤング・ウーマン』

こちらにnoteの感想記事を書いています。

近年の映画ではお気に入りの一作。

イライザ・ヒットマン 『17歳の瞳に映る世界』

主演二人の演技が素晴らしく、それだけでも今年観たベスト映画の一つ。

悲痛な旅の果て、ラストの束の間の安堵に希望は見い出せない(予期せぬ妊娠の相手の想像も込みで痛々しい)。

そして彼女たちの闘争は続く、といった感じ。

原題の『Never Rarely Sometimes Always』の方が圧倒的に良いですね。

勿論Sharon Van Etten(『Seventeen』は名曲)も登場。

サントラがJulia Holterだと後から知りました。

ロバート・エガース 『ライトハウス』

1:1.19という狭いアスペクト比(灯台)に閉じ込められた男二人。

お察しのとおり良いこと等何一つとして起こらない。

M・ナイト・シャマラン 『オールド』

閉ざされたビーチで一人また一人と犠牲者が発生する『そして誰もいなくなった』的展開のパニックホラー。

この手の作品にありがちな強引な展開とツッコミ待ちといったシャマラン節が想像どおり融合してました。

因みに然程好みではないかな。。

エドガー・ライト 『ラストナイト・イン・ソーホー』

観る前に『プロミシング・ヤング・ウーマン』系をイメージしてたらジャンルが全然違ってました。

60年代に対する愛憎半ばする感情、憧れつつもリベンジを試みる姿勢は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』とも共通しています。

ザ・ビートルズの妹分シラ・ブラックの曲が効果的に使われ、実際登場もするけど雰囲気出てました。

ジェイムス・レイの『I've got my mind set on you』が流れた時盛り上がります。(30年後にはジョージ・ハリスンのカヴァーが大ヒットするわけで。)

ミヒャエル・ハネケ 『愛、アムール』

漸く漸く観ました。(遅)

意地悪なハネケが凄く感動的な映画撮ってたんですね。

ラストでイザベル・ユペールがポツンと取り残されてしまうのは切ないけど、そこは当事者たる二人とは明確に違うんだなと納得。

『WANDA』が無ければ今年観た映画で一位だったかも。

リチャード・ケリー 『ドニ―・ダーコ』

長年観たかった青春映画にしてカルトSF。

かなり難解でいろいろ解説を読み漁りました。

Echo&the BunnymenとTears for Fearsの楽曲がベストマッチしてます。

ターセム・シン 『落下の王国』

あんまり内容覚えてないですが(爆)、世界遺産観て感動しました。(絵面の美しさ。。)

スパイク・ジョーンズ 『her/世界でひとつの彼女』

これも漸く観た、と言った感じ。

今観るとSF感は薄くかなりリアルで時代が追いついたということかも。

AIの特性(人との根本的違い)が終盤明らかになるけどまぁそうなるよね、みたいな。

AIを扱う物語はその後もゲーム(『デトロイト ビカム ヒューマン』とか)やら小説(『クララとお日さま』『恋するアダム』とか)で複製・更新されちゃってる部分はありますね。

エイミー(エイミー・アダムス)の存在が凄く効いてます。

スパイク・ジョーンズの長編監督作もまた観たいです。

アルフォンソ・キュアロン 『トゥモロー・ワールド』

クライマックスのワンショット(風)撮影も確かに凄いのですが、主人公を乗せた車が組織のアジトに向かう4分位のシーンにまず度肝を抜かれます。

ストーリーはシリアスで一本道ですがP.D.ジェイムズ原作と言われ、何となく納得しました。

邦題は普通に『人類の子供たち』の方が良かった気もしますが。

キュアロンは『ゼロ・グラビティ』も大好きなので、取り敢えず『 ROMA/ローマ』を近いうちに観ます。

細田守 『竜とそばかすの姫』

細田作品の中ではベストでもワーストでもない、と言った感じ。

キャラの造形とかネット社会の捉え方、ストーリーのご都合主義はどうなんだろ・・みたいな感想を抱いちゃうのなんか勿体ないですね。

キャリー・ジョージ・フクナガ 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

ヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)の墓爆破は許さん!

総じて感想は「アナ・デ・アルマスもっと観たかった・・・」に尽きます。

アンジェイ・ズラウスキー 『ポゼッション』

最近販売されたBlu-rayにて鑑賞。

まず4Kリマスターの美しさに圧倒されます。

類い稀な傑作アートホラー。

地下道の例のシーン含め1シーン1カットの長回しは緊張感あって素晴らしいです。

でもアジャーニの存在抜きには語れない映画ですね。

Blu-rayの特典映像はゆっくり年始にでも観たいと思います。

ミケランジェロ・アントニオーニ 『さすらいの二人』

アントニオーニは『欲望』や『砂丘』のイメージが個人的に強いので最初の方は「意外と普通の物語かな」と言う印象でしたが、主演の二人(ジャック・ニコルソン、マリア・シュナイダー)が良過ぎて、果てはラストに凄いもの(歴史的長回し)まで見せつけられました。

個人的にはガウディの建築物(カサ・ミラ)が沢山出てくるのも嬉しかったです。

『赤い砂漠』結局観なかったので来年の楽しみに。

アンドレイ・タルコフスキー 『鏡』

これまでの自身のタルコフスキーベストは『ノスタルジア』でしたが、それが更新されてしまいました。

"私"による一人称形式で進行し、"私"の母への思いや、別れた妻や息子への感情を過去と現実を交錯させつつ浮かびあがらせていくというのが大雑把なストーリーです。(多分)

物語はかなり抽象的且つ難解なので、解説の類を読み漁りました。

詩的なカメラワーク、自然現象の幻想的なイメージ、世界大戦・文革・中ソ国境紛争(ダマンスキー事件)等数多くの記録フイルムの断片が挿入される技巧等、どれをとっても至高の作品。

アンドレイ・タルコフスキー 『惑星ソラリス』

こちらは再見。

鑑賞する前は記憶がほぼ無かったのですが、観ているうちにどんどん思い出してきました。

とても面白い一方で原作者レムが激怒したのもよくわかります。

舞台設定・ストーリーの骨格は同じでも描きたいテーマやラストが全然違ったわけですし。

自分はどちらも好きという無責任な立場を貫きたいと思いますが…。

小津安二郎 『東京物語』

再見ではあるんですが、大昔に流し見した程度の記憶しかなかったので半初見です。

普遍性のあるドラマ、緻密な映像、簡素な台詞回しにはやはり引き込まれます。

小津安二郎は最低5本観てから語りたいのですが結局観るつもりで狙っていた『晩春』、『麦秋』、『お茶漬の味』、『早春』、『東京暮色』がいずれも観れず撃沈しました。

ロバート・アルトマン 『ゴスフォード・パーク』

再見。

『ダウント・アビー』でも注目を浴びることとなった作品。

ミステリ色は然程強くないけど雰囲気含め好きです。

アルトマンは『ショート・カッツ』を再見したいんですよね。

イエジー・スコリモフスキ 『早春』

再見。

好き過ぎて毎年観てるんじゃないか。

デヴィッド・クローネンバーグ 『マップ・トゥ・ザ・スターズ』

再見。

これ去年も観なかったっけ?

クローネンバーグは『Crimes of the Future』が早く観たいです。

ジェーン・カンピオン 『ピアノ・レッスン』

当然再見。

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』観るための予習復習のつもりが結局そちらは未見のまま。。

ジャック・リヴェット 『セリーヌとジュリーは舟でゆく』

ジャック・リヴェット 『北の橋』

自分のとっておき映画であるリヴェット2作をBlu-rayで年末鑑賞。(何度目か忘れましたが再見)

来年Blu-rayのBOX2買って『デュエル』、『ノロワ』、『メリー・ゴー・ラウンド』観たいと思います。

そして来年末の年越し映画はリヴェットマラソンするかもしれない。

ジャン=リュック・ゴダール 『勝手に逃げろ/人生』

再見。

今年はゴダールの訃報があった。

それが映画界にとって最大の損失だった。

これからもゴダールを繰り返し観て聴いて感じていきます。

※漏れていた映画を数本追加しました(12/23)。
※年末に観たリヴェットの2作を追加しました(12/31)。

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