【忘れたくない一日】


 苦しい1年間。やめようと思った1年間。自信をなくした1年間。自分の未熟さを感じだ1年間。

 長すぎいるくらい長い1年が終わった。

 不覚にも泣いてしまった。

 もうそれは、「このメンバーともお別れか」って思うと、やっぱりなんだかんだ寂しくて。

 むかつくし、話聞かねーし、うるせえし。マジキライだわって思ったこともあったのに、もうこのメンバーの担任じゃなくなることを考えると寂しくて。楽しかったことも思い出して。成長を感じて嬉しかったことを思い出して。

 ちゃんと無条件の愛をもっていたことに気づかされた。

 見返りはない。無性の愛情。

 嫌いなのに、腹立つのに、でも愛はある。

 決してかえってこなくても愛を与え続けた。

 いや涙自体は、ものすごく堪えていたんだけれど、溢れてきた。子どもたちの前では、なんとか耐えれたんじゃないかな?wとにかくあふれる思い出いっぱいいっぱい。

 今日一日の出来事とか本当に詳細に忘れたくないから詳しく書きたいんだけれど、今はこの今感じている「気持ち」をまずは忘れたくないから、ひたすら気持ちを書き殴る。

 心から、投げ出さないで良かった。やめないで良かったと思える1日だった。僕が投げ続けた玉をちゃんとキャッチして、投げ返してくれる仲間がもう本当にちゃんといることがわかった。

 どうしたらもっと上手くやれたんだろう。
 本当はもっと楽しい時間を過ごさせてあげたかった。
 もっと楽しい景色を見せてあげたかった。
 ごめんなさいでいっぱいだ。
 それなのに信じてついてきてくれてありがとう。
 行動を示してくれてありがとう。
 僕が語った言葉をちゃんとキャッチして、行動する勇気をもってくれてありがとう。
 なんとかその日を凌ぐのでいっぱいいっぱいになってしまった時があってごめん。
 気力も出ないような日があってごめん。
 そんな自分をやっぱり支えてくれて、ついてきてくれてありがとう。
 本当に成長した姿を見ることができて嬉しい。
 この1年間で「僕は」「私は」成長できました、充実した1年でしたって言ってくれて素直に嬉しい。
 本当は持ち上がりたいの。絶対に持ち上がりたいの。でも持ち上がれないの。どうしてもダメなんだって気持ちで。

 こんなにも素直に健気についてきてくれたメンバーを僕は希望しなかった、できなかった罪悪感。

 申し訳なさと、嬉しさと、達成感と、安心と本当に凄まじい感情になった。

 だからこそ、泣けてきた。

 今日は、1日忙しいってわかっていたから、一人一人にじっくり話せないと思って、そして投げた玉をキャッチしてくれる仲間もいることがわかっていたから、1人1枚メッセージをびっちり書いて、通知表にそっと挟んでおいた。

 そして、1年間を振り返るムービーも作った。

 帰りの会に見せて、1年間を振り返り、いろいろあったけど、俺ら成長したところもあるよな、頑張れることもあるよなって希望をもって終えてほしかったから。

 僕のメッセージを付け加えたスライドショー。最後の数秒は僕の手書きのメッセージのみ。上に書いたような申し訳なさも、みんなへの期待も、ごめんなさいも、ありがとうも全部このムービーに込めた。

 一人一人のメッセージにしてもムービーにしても時間がかかるから取り掛かる前は迷うわけ。

 こんなに1年間苦しい思いをさせられたのに、なんで時間使うんだよ。とまず気持ちがよぎる。

 でもすぐに気持ちは変わって、この子たちの力を引き出せなかったのは自分の責任なのに、何を子どものせいにしているんだと。

 そしていつも全員に届くかどうかは分からないけれど、0.1%でも可能であるのであれば、試してみたいって結論にいたる。

 そしてそれが意外と届くものである。

 ムービーを流した時点で、僕も色々思い出してまってうるっときた。

 なんとか堪えていると、女の子2人が涙してるのが目に入った。

 いつも健気に努力してきた子だ。

 
 そして下校の時もまた別の女の子が涙をしていた。「五年生、たのしかったあ」って泣きながら。

 もうガン泣きの女子たちと、いろいろあったけれどそう言ってくれて本当に救われるよ。と一緒に泣いた。

 まさか、卒業式でもないのに、きたばかりで異動の可能性も低いのに、涙する子が出てくるとは思わなかった。

 その子たちには何か届けられたのかなと報われる思いだった。

 そして、こんなに涙のお別れをしてくれる仲間が出るとも思っていなかった。

 素直に嬉しかった。

 また驚いたことに荒れの中心であった子が帰り際にい「いいものをみた!思い出に残るよ、あのムービー、まあ忘れるかもしれないけれど、うんうん、思い出に残るものを見れて、良かったよ。」とクソほどぶっきらぼうに伝えてくれた。慌てて特別教室に入って涙した。

 そして下校の時、遠くから「神馬先生!!!1年間ありがとうございました!!」って大きいな声で、叫んでくれた子も。

 
 極め付けは放課後。8人の男子が職員室を訪ねてきた。

 「神馬先生いますか?」って。

 なんだかみんなしてもじもじしている。

 「お前言えよ!」「俺いうわ!!」「言い忘れたことがあるんすよ〜!」とか言っている。

 なんかおもろそうなのでカメラを回した。

 すると、「せーのっ、神馬先生!!1年間ありがとうございました!!」と。

 8人で、呼びかけみたいなのをしてくれた。

 その中には、本当は伝わっているであろうに流されてしまうメンバーの姿もあった。なんだよ、やっぱり何か伝わってたんじゃねえかってすっげえ嬉しかった。

 「俺、来年も1人も見捨てないクラス目指しますね!」という子も。 

 その8人の構成は、休み時間のつながりでもなく、学び合いのつながりでもなく、なんだか不思議なメンバー構成だった。初め2人、3人、3人で遊んでいて偶然公園で一緒になったらしい。そこで、一緒に遊ぼうぜとなったらしくて、これをみても「あ〜なんだよ豊かにつながれてんじゃん!!」と思って、めちゃくちゃ嬉しかった。

 ちなみになんとか堪えていた涙だけど、下校させた後、教室で思い切り泣いた。

 止まらなかった。

 こんなにも伝わっていたんだって。

 本当にありがとう。

 繰り返しになるが、信じ続けて本当にい良かった。

 諦めないで良かった。

 届けられたものが1つでもあって良かった。

 今までの苦しみが全て報われた1日だった。

 忘れたくない1日がまた一つ増えました。

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