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想い合うことで、居場所は生まれていく。|ドラマ感想

これは、以前使っていたブログに当時観ていたドラマ『明日、ママがいない』から感じたことを投稿した文章。読み返して今も大切だと思い、色あせない言葉が散りばめられたドラマだったので、改めてnoteに投稿することに。

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『明日、ママがいない』の最終回は、子どもにとっての居場所の答えの回だった。相関図はこちらに。

ドラマが駆け足すぎて「消化不良気味」、これが率直な感想。もっと伝えたいメッセージがあった気がする。

、改めて録画をみて気付いた最初のシーン(今更だけど)。

つないだ手が離れ
  空に向かって必死に手を伸ばす小さな手を
    やさしくつなぐ手。
実の親とのつながりがきれ
  つながりを求める子どもの手を
    やさしく包む愛情あふれる親。

このシーンがこのドラマをすべて語っている気がする。

今回は登場人物ごとに感想を綴ってみる。

● ボンビちゃん、ジョリピー
ボンビちゃん(渡邉このみ)は、本当に必要とされているのか、また捨てられるのかもしれないという不安が、いっぱいだったんだと思う。これは先週のドンキちゃん(鈴木梨央)の苦しみと共通する。そしてこの感覚は、誰もが持っている。

そのような不安なボンビちゃんの想いをわかってくれたジョリピー(城田優)。ジョリピーの愛情ある言葉がボンビちゃんの不安をすべて取り除いた。

「君がいい」
「君じゃなきゃいやだ」
「君がほしい」
「約束するよ、優衣子を幸せにするよ」
「だから約束してほしい。僕たちを幸せにすると」

“お互いがお互いを必要とする”、そこが居場所ではないだろうか。
必要とされるだけでなく、自分も必要と思える場所。

● ドンキちゃん、ピア美ちゃん、ボンビちゃん
親の元に戻った、ドンキちゃん、ピア美ちゃん(桜田ひより)、ボンビちゃん。3人は、少しずつ変わっていくポストちゃん(芦田愛菜)を誰よりも心配して、コガモの家にやってきた。子どもたちとの会話の中で魔王(三上博史)は言った。

「あいつが望んだことだ」
「自分を消してもいい。それだけその母親を好きになったんじゃないか」
「カタチはどうであれ」

過去子どもたちが親に引き取られる時、あれほどカタチにこだわってきた魔王らしからぬ言葉。何か、魔王なりの心の葛藤が見え隠れしていた。ドンキちゃんは苦しい想いを言った。

「でも、私怖い。なんだか、ポストが壊れちゃいそうで」

少し前ドンキちゃんも壊れかけそうになった。だからそう思えたのではないのか。

● 叶
叶(木村文乃)の市会議員を目指すという決断に少し驚いた。中でも、叶の言葉が印象に残った。

「子どもの居場所、自分たちの目で見つけさせる」

今いる居場所がいつまでも居場所とは限らない。その居場所に自分の場所がなくなることもある。だからこそ、そのときに新しい居場所を自分で見つけられるか、もしくは創れるように、子どもを育むことこそ本当に大切。

● オツボネ
オツボネ(大後寿々花)も、18歳以上は園をでるという決まりがあるので、出ることを先週決めた。しかし、心からロッカー(三浦翔平)に「出たくない」と叫んだ。出ていく日に、魔王らしい言伝でオツボネを守った。

「もらい手がつかなかったら、ここで引き取るしかないだろう」

無理せずに、ゆっくりと自分のペースで社会に出て行けばいいというメッセージをオツボネに伝えた気がする。いや、オツボネを通して、苦しんでいる人に向かって。

● ポストちゃん、先生夫婦
徐々に、ポストちゃんと先生の奥さんには距離という違和感が生まれていく。その違和感を人一倍感受性の強いポストちゃんは気づく。だから苦しかったのだろう。
ロッカーに、ポストちゃんは心の想いを叫んだ。人の想いばかりココロのクッションで全て受け止めてきたポストちゃんの初めての叫び。

「苦しいよ。人を好きになるってこんなに苦しいの」
「自分が自分でなくなっちゃう」
「何を言っているのだろう。私はそれを選んだのに」
「自分じゃなくなって、あの子になる。愛に」

ただ本当に好きだったのだろうか。好きになろうと無理をしていた気がしてならない。無理をしたから壊れそうになった。

ママを求めたポストちゃん。
亡き娘を求めたママ。

ポストちゃんは、ポストちゃんを求めていない現実(愛を求めている現実)に苦しむ。

● ポストちゃん、魔王
先生夫婦との縁組シーン。魔王の自分の中での葛藤が、ポストちゃんの悲しげな横顔をみて爆発した。ポストちゃんは“ここ(先生夫婦)では”幸せになれないと。誰よりも人の幸せを願う優しいポストちゃんが、幸せになれないことが許せなかった。そして叫んだ。

「子どもを壊すぐらいなら、大人が壊れろ」

● 二人が夕日を見ながら帰るシーン
ポストちゃんは魔王になぜ邪魔をしたのか問い詰めた。

「仕方ないだろう」
「せっかく私だって幸せを。幸せを。なんで邪魔したんだよ」
「一度しか言わないからよく聞け」
「さびしい」
「えっ」
「お前がいなくなると俺がさびしいんだ」
「おまえは、愛という名前じゃない」
「おまえは、俺の娘だ」
「娘だ」

言えなかった言葉を伝え、ポストちゃんも本当に心から嬉しくなって泣いた。誰かの代わりでなく、キララという名前のポストちゃんを必要とする魔王。

● エンディングシーン
何か今までの二人とは違って、優しい笑顔で優しい時間を過ごしている。失った時間を、ゆっくり取り戻すかのように。

「手放された子どもは辛いよね」
「手放した親も後悔して生きなくてはならない」
「どうしたらいいのかな」
「それを考える。ずーっと考える」
「私も考える」
「みんなで考えるんだ」
「かっこいい」
「(チェッ)」

帰り道に、“違和感なく自然と”ポスト(キララ)ちゃんが魔王(パパ)の手を握るシーン。最初に書いたオープニングシーンと繋がった。

『Mather』や『Woman』同様の、モヤモヤ感ある終わり方。消化不良だけど、続きはドラマを観た人が想像(妄想)すればいいと思う。だから、私は想像(妄想)する。

それぞれが新しい居場所でどう成長していくのか。
コガモの家に集まり、ロッカーの手料理を食べながら成長を話す4人を。
それを優しく聞く、魔王、ロッカー、叶、オツボネを。
未来という答えを描くのは、私たちだと。

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