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(デザイン⑨)意味づくりとしてのデザイン ~自然・生物・進化的視点

この数年読んできた本で、“進化思考” という言葉をよく目にするようになり、言葉が目の奥に残っていた。言葉を目にする度に、濃く残っていた。進化思考はセンスメイキング同様に明確な定義はなく、研究者がそれぞれ定義している。共通しているのは、自然の摂理から、生物の進化の過程から学ぶことを理論としていること。

進化思考の定義や思考法よりも、理論の背景にある自然の摂理・生物の適応力・進化などの言葉に、言葉の関連性に強い関心があった。知らなかったことを知ることで、強く惹かれていった。何よりも、身近にあった自然・生物に意識を向けると、そこに可能性が在ることに、拡がっていくことに、好奇心と探究心が沸き起こった。

現代社会は、想定外の予測できない出来事が起こっている。起こる頻度も影響も、年々大きくなっている。事前に防ごうと対策を施しても大きな効果や成果はなく、反対に対策の網を抜けて大きく襲ってくる。
想定外の予測できない出来事を未然に防ぐことができないことが、明らかになった(にも関わらず防ごうとしているが)。

そこで、解決するのでも未然に防ぐのでもなく、起こった出来事に反応し対応することが求められるようになってきた。そう、今必要なのは、変化に適応すること。変化に適応するとはどういうことかについて、少しふれたい。

地球が誕生してから約46億年の間、多くの生物が誕生し絶滅してきた。絶滅した生物と生き残った生物の違いは何か。それは、自然の出来事や複雑な環境に対応し、環境変化に適応してきたこと。
自然・生物・進化を思索していく中で、成長して滅ぶよりも “生き残る” ことの方が大切ではないか、とふと気づいた。何よりも自然の神秘さに心惹かれ、科学だけでなく自然から学ぼうとする気持ちが、私の中で起こった。

自然から学ぶことについては、『ベロシティ思考』(アジャズ・アーメッド&ステファン・オーランダー著)にも、「企業が求めている答えの多くは、自然の中にあると思っている」と書かれている。実際、自然界の生態系をエコシステムとして捉え、 “変化に適応し生き残る” 組織やシステムの開発などが近年行われている。

科学が発展していなかった遠い昔は、非科学の自然から学び、自然を活かして共存する生活を過ごしていた。しかし、科学の発展とともに非科学を疎んじ科学が全てだと信じ(思い込み)、自然との共存を止め、自然を破壊するようになった。

自然破壊の結果、私たちの生活にどのような悪影響が及んでいるかに、私たちは気づき始めた。天災なのか人災なのかが、議論されるようになった。科学の限界に接し、もう一度自然から学ぼうとする動きが起きている。
ただ、元に戻ったのではなく、向こう側の世界を知って戻ってきたことが重要になってくる。

近年いろいろなところで、“アップデート” や “リ・○” (リニューアルやリノベなど)という言葉をよく耳にするようになった。アップデートやリ・○は、全く新しい何かを創り出すのではなく、元々在ったもののバージョンアップを重ね、よりよいものに創り変えていくこと。
アップデートもリ・○も “進化” と呼んでもいいのではないだろうか。進化について考えていく上で大変参考になった文章が、『進化とは何か』(リチャード・ドーキンス著)にあった。それは、次のような文章である。

生命は宇宙の中で「進化」というゆっくりした過程を経て成長する。そして私たちは、自らの起源と存在の意味についての理解を深めていくのです。
( P26より )

会社も進化をし続ける。様々な経営環境に対応し、社会の変化に適応しながら、進化していく。しかし、進化していくことで、元々在ったものが覆われ見えなくなってしまった。

進化の歩みを辿るということは、会社の起源(原点)にあたる起業時の想いや会社の存在の意味・意義という価値を確認することである

ここが、重要になってくる。

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