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季節の音色。

毎朝窓を開けると、いろいろな音色がやってくる。
今は、涼しげな虫の音色がやってくる。

音色だけではない。
涼しい風もやってくる。

私たちは、音色で、季節を感じている。


少し前は、熱さを感じさせるセミの音色だった。
窓を開けて、すぐに元気なセミの音色を聞くだけで、
  少し気持ちが萎えてしまった。

思わず、言葉をこぼす。

「朝から五月蠅いなぁ」
「今日も暑くなるのかなぁ」
「まだ鳴いているのかぁ」


もう少し前の初夏の頃は、
  元気すぎるカエルの鳴き声で、夏の到来を感じていた。
時々、思った。

「あんなに鳴き続けて、しんどくないのかな」

私たち人間は、時々泣き疲れることもあるから。
カエルなどはそういうことがないのか気になったりする。


ふと、冬はどんな音が窓からやってくるのか気になった。
寒くて窓を開けないから、外からやってくる音はわからない。

冬の音色はどちらかといえば、無音だ。


では、春は?

「春の足音を聞いた。」と、よく聞いたり言ったりする。
しかし、音を本当に聞いたのだろうか。

確かに、鳥のさえずりを聞くようになる。
しかし、少し違う気がした。

どんな音色だっただろうか。
なかなか、思い出せない。

そう、音は外からやってこない。
音は自分の内から聞こえていた。

ワクワク、ドキドキするような心の音色。

冬は、春の音を貯めている期間だった。

動物たちも冬眠して、エネルギーを貯めている。
私たちも、貯めている。


私たちの一年間のリズムは、様々な季節の音色と一緒に奏でてきた。
しかし、季節のリズムが狂うとどうなるのだろうか。

不安もあるが、起こることを想像するだけで、なぜかワクワクする。

季節のリズムが狂うから、私たちの心身のリズムも狂う。
狂った季節のリズムを、心身のリズムを取り戻すのは、難しい気がする。

なら、そのリズムとどうハモ(調和)るか。


新しいセッションが巻き起こす音色が待ち遠しい。
そう思えると、少し気持ちが楽になる。

音痴でリズム感がないのに、いやないからこそ、
  このように思えたのかもしれない。

最近、志村ふくみさんの本を読み返している。
もう、何度目だろうか。

日本には、季節に応じた様々な色の名前がある。
その名前は残り続けてほしい、そんな気持ちでいっぱいだ。

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