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新しい資本主義の “資本” について

2018年2月に個人事務所サイトに投稿した内容を、改めてnote用に文章や言葉をリニューアルしてみた。当時を回想しながら、新たに文章を加えていくことに。

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漠然とした疑問から、資本主義の探究を始めたのは確か2012年ぐらい。会社を退職して何かから解放され、ビジネスマン時代のいろいろな型に疑問を持ち始めた。特に、ビジネススクールで学んだ経営論に。

「多くの人たちが批判し否定する資本主義の “資本” とは何なのか。」
「組織は “資本がなくても” 活動を持続することはできるのか。」

私は、“資本主義” や “資本主義は正しいのかどうか” などを説明することはできない。それは、専門家ではないから。ただ、気づいたことがある。

いろいろな本を読み、資本についての異なった定義(前提)のもとで、批判や肯定などがお互いの立場から出ずに主張されていることに。自分の考えなどを正当化するために、相手を否定していることに。

社会は変化しており、資本主義の資本も今の社会やこれからの社会に求められる資本に捉え直す必要がある。「資本を捉え直すことで、資本主義が社会に光を射す」、と本気で思っている。実際、そのような考えをする人が少しずつ増えている。

思わず、ハッとさせられた文章があったので、紹介したい。2014年に購入した『Communication Shift』(並河進著)の中で、ムハマド・ユヌスの言葉を受け手の、二人の会話から。

(石川淳哉)
僕はずっと、資本主義を変えなくちゃいけないと思い込んでいた。でも、そうじゃなくて、資本主義を、完成させればいいんだって。自分はそれを完成させるためのパーツをつくればいい。そう考えたら、ちょっと勇気がわいたわけ。
(並河進)
僕も「資本主義」という言葉にずっと違和感を覚えていたんです。でも、そうか、資本主義の「資本」に、お金だけじゃなく、人手とか、時間とか、愛とか、勇気とか、そういうものを入れればいいのか。
< P102より >

この言葉と出会って、私は勇気をもらった。後日、並河さんと会う機会があって、この言葉との出会いについて嬉しそうに話させてもらった。新しい資本主義を創り出せばいいんだと思い、研究を始めた。今振り返ると、懐かしい思い出だ。

実際、“社会関係資本” や “社会的共通資本” など新しい意味を加えた資本や、資本を “所有する” から “共有する” という考え方などいろいろある。尊敬する経済学者の宇沢弘文さんの資本や経済の思考・思想は面白い。今でこそ受け容れられるけれど、当時は大変だったと本当に思う。

21世紀になって登場した「統合報告」では、6つの資本についての説明が求められるようになった。

これらのことは、次のことを示唆しているのではないだろうか。

社会は多様であり、資本も多様に考えていく。

そう、社会に多様性を求めるなら、多様な資本で捉え直せばいい。捉え直すことで、資本主義の景色が、くすんだ灰色から澄みきった青色にみえてくる。実際、私はそのような景色に変わった。何よりも資本を広く捉え直すことで、事業活動の幅が拡がっていく。

私は、21世紀社会にとって一番重要になる資本を、“心(感情)” だと考えている。それは、社会を創るのはお金ではなく人であり、人に行動を促すのは“心”だから。次のような心(感情)を中心とした “感情の論理” が、未来を創るプロセスだと考えている。

心が豊かになり    ( Output )
 心から幸せを感じ  ( Outcome )
  心で希望をみる  ( Impact )

私の考える新しい資本主義のカタチは、次の通り。2014年ぐらいにこの考えに辿り着いた。きっかけは、2014年から「どのようにすれば、気づきを行動に移すことができるだろうか」の研究だった。

「 “共感と信頼” が、“資本” をよび、ともに “未来” を創る」

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