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(アカウンティング⑦)アカウンティング×マネジメント ~会計も変わる必要がある

マネジメントの章の「これからの会計」でふれたことを、改めてここでもふれることに。内容はほぼ同じ、順番(ストーリー)を変えて説明していく。

会計も変わる必要がある

人や社会の変化とともに、マネジメントや組織は進化してきた。

進化した代表的なマネジメント論として、経営管理イノベーション/Y理論/ビッグ・ピボット/レジリエンス/知的創造プロセスがある。
また同じように進化した組織として、分権型組織/ハイブリッド型組織/マインドフルな組織/高信頼性組織/Teal(進化型)組織がある。

これらの主な特徴を整理すると、次のようになる。

この特徴にマネジメントが変わった場合、従来の会計も含めた経理で対応できるだろうか。いや、対応できない。対応できないので、マネジメントや組織が新しく変わっても、変わった良さを今の会計では表現できない。経理が変化に対応できない理由が、三つある。

一つは、情報の変化に対応できないこと。マネジメントや組織が必要とする情報が変わるにも関わらず、従来の会計情報は以前のまま変わらないので、新しく求められる情報を提供できない。
(できないならできるようにすればいいと思われるが、しないのがマネジメント部門)

もう一つは、役割の変化に対応できないこと。マネジメントや組織の変化によって経理の役割が変わることで、役割が変わらない経理の仕事は機能不全に陥ってしまう。
(今の役割に合わせるように求めるのが、マネジメント部門)

最後に、存在価値の変化に対応できないこと。新しい組織では信頼関係のもとの合議制のようなカタチに変わるので、社内政治的な調整役としての経理の存在意義が失われてしまう。
(この役割を失いたくないので抵抗するのが、マネジメント部門)

また、マネジメント2.0を俯瞰的に観て描きながら、あることを思い出した。以前組織開発などをする人に、「今までとは異なる考え方や思想をもつ組織に変わった時、マネジメントで何が一番の課題になりますか」と訊いた。答えは、「人事や会計などの仕組みを組織の変化にどう適応させていくか」だった。

人事や会計などの管理部門の仕組みが変わらないのには、理由がある。その理由がなにか、マネジメントや組織を前工程に、人事や会計は後工程に捉えて考えてみたい。

前工程を改善してよい経営基盤をつくれたとしても、後工程のマネジメント全般のフォローの仕組みが変わらないと、よりよい経営にはつながらない。この逆も当然考えられるが、多くの場合、前工程ばかり意識して後工程は意識せずなおざりになっている。
そう、管理部門への意識が変わっていない。持続性のある経営、すなわち生き残るためには、後工程にあたる人事や会計の仕組みについても、意識を変えて考え直す必要があるだろう。

このように、「今までの会計の役割のままでは、新しいマネジメントや組織に変わると意味をなさなくなる。存在意義がなくなる」ことが考えられる。

意味ある仕事をするためにも、会計も変わる必要があるといえる。

会計は変わっていない

実は、会計はあまりというかほとんど変わっていない。その理由として、会計原則を変えることは難しいからではないかと考える。基準(ルール)を変えるのと会計原則を変えるのは、全く違う。また会計(経理)は、保守的な文化だからかもしれない。

会計原則が変わらない替わりに、基準の統一化は進んでいる。国によって会計基準の表示方法や計算などは異なっている。グローバル経済の現在、国によって異なる会計基準を採用していると、いろいろと不整合が生じてくる。
そこで、会計基準の統一(国際会計基準)が推し進められている。

しかし、採用している会社はグローバル企業が主で、日本の多くの中小企業は採用していない。国同士の基準を統一しようとする一方、一つの国の中で異なる会計基準があることに違和感はある。公表されている財務諸表も項目をよくみると、異なっている。

また、近年様々な不祥事などからガバナンスの強化が強く求められている。その面からも、会計による統制機能を強く働かす傾向に向かっている。

会計は変わらず統一化と統制が強まっていて、組織やマネジメントで起こっている変化とは逆行している。これはマネジメントを考えていく上で、大きな問題である。

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