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(アカウンティング⑫)アカウンティング×デザイン ~会計の可能性と役割

デザインの章の会計の可能性日本らしい会計でふれた話を一つに合わせて、“会計の可能性” と “会計の役割” を書き記したい。

会計の可能性

従来の会計分析には限界があることを、会計の限界でふれた。この “限界がある” を別の言い方にするなら、「今までの会計分析からは、これ以上新しく得られることはあまりない」と言える。この会計の限界から、「どのようにすれば、会計の限界を越えた新しい何かを得られるのか」という課題がみえてきた。

経営をみていく上で大切なことが、「数字のような目に見える情報から、目に見えない情報から何かを感じる」ことに変わりつつある。日本らしい表現をするなら、行間を読むこと。
変化の軌跡という行間から、「何が起き、これから何が起こるのか」を感じることが、求められている。そう、経営をみるとは、“感じる”ことから始まる。

経営は考えた通りには進まず、直線ではない変化から、「なぜこんな動きをするのか」という違和感に反応しなければならない。この違和感に反応せずに経営を進めていくことで、経営危機に直面していく。

これらのことから、「理性の経営から、感性の経営に変わりつつある」ともいえる。

経営をみるとは、“感じる” こと。見るのではなく、“観る” こと。見て感じるではなく、感じて観ること。目に見えるものだけ見るのではなく、目に見えないものを感じて観ること。想定内のものを見るのではなく、想定外のものを感じて観ること。

この感性の経営の大切さをわかっていても、頭で考えた通りに進まなくなると、経営に悩み苦しむ。しかし、思い描いた通りに進まないから、経営は面白いとも言える。面白いと感じることで、面白さにある可能性を発見することができる。しかし多くは頭で考えすぎるから、面白さにある可能性に気づかず、考えた通りに進まないことに対して苛立ちを感じてしまう。

「苛立ちを感じる原因は、どこにあるのか。」

それは、凝り固まった思考による先入観。直線的な「~であるべき」という経営の思考では、曲線的な変化が起こると対応できずに、苛立ってしまう。この苛立ちの内には、違和感が実はある。
考えていたことと違うことが起こるとまず、「なぜこんな動きをするのだろう」と違和感が生まれる。しかし残念なことに、思うのは一瞬で、違和感に反応を示さず、違和感をノイズとして消してしまう。そう、感じることを、考えることを止めてしまう。

しかし、気づかないところで問題の火種はくすぶり続け、経営危機に陥っていく。経営危機に直面した会社の多くは、起こっていることを感じることや考えることを止めた会社。

会計の限界を越えていく鍵が、「見えていないものを、みえるようにみせる」 “文脈づくり” にある。

みせるのは、目に見える情報ではなく、目に見えていない情報。見えている情報からわかるのは、「何ができ、何ができなかった」という結果(事実)だけ。結果だけを求めすぎるとそこで立ち止まり、目に見えている事実の奥に在る可能性にまで意識を向けず、奥にある存在に気づけなくなる。

見えていない情報を、目で見ようとしてもみえない。見えていない情報を心の眼で感じて観て、何かの存在に気づく。そして見えている情報を改めてよくみて二つの情報を合わせることで、今まで気づかなかった存在価値、会社の眠っていた可能性を発見することができる

今までの目に見える情報だけの会計に頼ることは、もう限界にきている。会計にデザインを加えることで、今まで考えもしなかった会計の可能性の光が灯る。

文脈づくりというデザインを加えることで情報の質が変わる。“無機質”だった会計情報に、“有機的”な意味が加わる。私の考えるデザインは日本らしく、デザインを加えた会計を、日本らしいアカウンティングと呼ぶことにした。

この日本らしさは日本文化にあり、日本文化には他国にない「余白という美」が在る。この余白にいろいろな意味が隠されている。余白そのものは見えるが、余白の隠された意味は見えず、感じないとみえてこない。余白を感じることから、隠れされた意味(可能性)を発見することができる。

余白をデザインする(意味を浮き上がらせる)日本らしいアカウンティングが必要になっていくだろうと考えている。余白をデザインするとは「意味を浮き上がらせる」ことで、会計情報に「意味を持たせる」ことになる。


会計の役割①

ここまで、マネジメント2.0におけるアカウンティングとは何かを探ってきた。纏めると、次の役割をもつことになる。次に思索する “評価” から現れた役割を加えて、会計の役割②(最終版)を最後に示して、デザイン×マネジメント×アカウンティングの思索探究を終える。

● 会計で、会社を語ることができる
● 会計で、会社が進んでいる道を確認する
● 会計で、目的までの方向性を示す
● 会計で、会社を自分ゴト化できる
● 会計視点から、会社の存在価値を明文化する

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