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(デザイン②)なぜ、会計にデザインが必要なのか ~会計の限界

会社は会計情報をもとに分析・検証し評価して、会社の未来を予測している。未来予測の例に、経営計画などがある。予測した経営計画を達成できるように、会社は計画に基づいた活動を日々している。
しかし、未来を予測することは決してできない。「未来を予測している」と思い込んでいるにすぎない。
実際、経営計画通りの経営がされることはほぼない。計画に基づこうとしているが、多くは上方修正や下方修正をしている。これが会社の未来予測の現実。

「なぜ会社の未来を予測できないのか。」

理由は大きく二つ考えられる。一つは外的要因で、会社の外で起こる出来事を予測できないから、未来を予測することはできない。もう一つは内的要因で、分析や検証が不十分なので、未来の予測に正確性が欠ける。この二つのことについて少し詳しく説明したい。

まずは、外的要因について。

私たちの世界は “不確実” な社会で、“想定外” のことが日々起きている。私たちは未来を予測するとき、会社の外の “顧客/他社/社会/環境など” の条件をいろいろ設定していく。予測精度をあげるため、より細かく条件を設定していく。どのような条件を設定するかが予測の鍵で、予測の前提でもある。

「果たして、予測の前提である条件通りに、出来事は起こるのか。」

予測の鍵の条件(前提)が崩れれば、予測した未来(結果)は当然変わっていく。不確実で想定外の出来事が起こると条件は崩れ、予測エラーが起こる。一滴のエラーは波紋のように周りに拡がっていく。大きな出来事であれば、一滴ではなく大きな波となって襲いかかってくる。
予測エラーを起こさずに予測通りに進めたいのなら、不確実で想定外の出来事が起こらないようにする以外ない。しかし、会社の外で起こる不確実で想定外に起こる出来事を、誰もコントロールすることはできない

コントロールできるのは、自分(会社)だけ。相手(会社の外)はコントロールできない。にも関わらず、相手をコントロールしようとしている。


続いて、内的要因について。

未来を予測しようと、過去の経営結果をもとに会社の経営状況を分析・検証している。しかし、未来を予測するための分析・検証にも限界があって、残念ながら未来を正しく予測はできない。

「なぜ、分析・検証は限界なのか。」

分析の前に、過去の経営結果(例:期首と期末)を数値や図表で表す。図表にすると期首から期末の変化(量)がひと目でわかり、つい経営がわかった気になってしまう。しかし全てはわかっていない、大切なことは何もわからない。
期首からどのような変化を辿って期末になったかまでは、図表からは見えない。単調な一直線ではなく、山あり谷ありの変化(質)の軌跡が一年の間にあるのに図表からは見えない。変化の軌跡が見えないから、誤った分析・検証をしてしまう。それも、正しい分析・検証であるかのように。

この例を、期首(100)から期末(120)の変化で考えてみたい。期首から期末の変化が山型なら(100→150→120)、来年の予測は右肩下がりになる。しかし、期首から期末の右肩上がりの直線(100→120)の延長線上に、未来を予測してしまう。
また変化とは傾きであり、厳密な分析とは数学の微分方程式を使っての分析になってくる。そう本当に分析するとは、ここまですることになる。が、専門的になってしまい、現実的には難しい。

科学は進歩し分析・検証の方法も進歩し、予測の精度が高まったことは間違いない。しかし、進歩したからといって、完全とはいいきれない。科学の進歩が「予測できる」という過信を生んでしまった。不十分な分析・検証からは、近い未来すら正しく予測することはできない。

 限界な理由をまとめると、次のようになる。

・ 会社の外で起こる不確実で想定外の出来事を、コントロールできない
・ 不十分な分析・検証では、未来を正しく予測できない

ここで注意すべきは、21世紀になってから会計に限界が現れたのではないこと。限界な理由は昔からあって、現れるまで気づかなかっただけ。21世紀になって、目に見えるように現れて、ようやく気づいた。

このように考えていく中で、会計の新たな課題『目に見えていないものをどうみせるか』が顕れた。課題の解決方法として、デザインが浮かんだ。デザインの力で会計の限界をどう越えられるかをこれから思索していく。

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