8月の終わりを辛い気持ちで迎えている学生さんにちょっとだけ。

夏休みが終わって、また学校生活が始まる人、たくさんいると思います。この時期は誰もが気持ち的に不安定になるということもあり、注意を呼びかけたり、励ましたりしているのをあちらこちらで見ますね。

いくら僕がここで同じように「昔は僕も辛かった」とか「いずれ良くなるから今は我慢だよ」とか話したところで、何かを踏みとどめさせたりする効果はあんまりないと思います。あなたは僕ではないし、僕はあなたではないわけなので、僕(つまりあなたから見たら他人)の人生話を聞いたって当てはめられるとは限らない。だから僕は今回、あえて僕の体験談とかはあまりしないでおこうと思っています。(僕の話は過去のNoteでも見ていただけましたら。)

Q.あなたは誰ですか A.ピアノを弾いたり、コンサートを作ったり、ありとあらゆることをして生きている者です。
Q.すごいひとなんですか A.すごいひとのフリをしないと生きていけないだけで、そんなにすごくないです。今日のお昼はそうめんと梅干しです。

新しく始まる学校が楽しみな人は、それはとても素敵なことなのでぜひ満喫してほしいと思います。ただ、もちろんみんながそんなわけじゃない。もし、今の自分が置かれてる状況が辛いと感じる人がこの文章を読んでたら、僕はそんな人に「どうしてあなたが辛いのか」を説明したいと思いました。理由だけでも知っててほしいです。

人間は、生まれた瞬間から”人間関係の構築”が始まります。最初は親と自分という単純な一本の線だけど、兄弟や親戚、少し経つと幼稚園、そして小学校…と、少しずつその線が複雑になっていくんですよね。いきなりその線を増やすことはできないから、小学校→中学校→高校…と、出会う人の数や、考えなきゃいけないことの規模を少しずつ大きくしていってるわけです。これは、やがて訪れる「社会人として今までとは比べ物にならないくらい膨大な人に出会う」時期を、なるべくショックを受けないように迎えるための訓練のようなものです。これはとても重要なものだと思います。

ただ、この「学校」という施設。どうにもならない欠点があるんです。それは「周りの人を自分で選べない」という点です。そりゃそうです。好きな先生、話の合う友人ばかりを自分で選べるような仕組みは作れません。世の中にはいろんな考えを持った人がいるし、同じような考え方をする者同士で集まりあえれば何もかも解決する話なのですが、そんな性能の良いマッチングができるほどの機能が、学校も含め、社会には備わっていないのです。そこでどうしても出てしまう"ひずみ"の影響を、たまたまあなたが受けてしまったのです。「無理やり”平均”を作っている施設」の中で、誰かや何かと、どこかが合わなくなるなんて、当たり前なのです。

原因には様々な種類があるので、ここで一概に対処法を言うことはできないんですが、実はこの先の人生で「自分だけか…」と思っていたものの母数が一気に増える体験をすると思います。実は結構あなたと同じような人はこの世の中にかなり存在しているのですが、まだ気づきにくいだけなのです。気づかせてくれないのです。

僕は、人になにか教えられるほどの人間ではないのですが、ここで一つだけ神がかり的な力を与えられたことにして下さい。どんな力かというと、この文を読んでくれているあなたが、今居るランクより一つ上のステージに行って物事を考えられるようにさせられる力です。つまり、今中学生の方は高校生になります。高校生の人は大学生になります。今だけです。

少しだけおとなになった、あなた。ではちょっと振り返って、昔の自分である、今のあなたを見てどう思うでしょう。「あ、ちょっと子供だ」って思ってくれればそれで大丈夫です。成功です。バランスが取れているように見える小さな箱の中で耐えている自分を見て「あ、まだうまいやり方を知らないんだ、あの頃の自分は」と思うんです。思ったこと無いから分からない?いやいや、思うんですよ。いつか確実にね。

「あの頃の自分は、選択肢を見つけられなかったからしょうがないんだ」と、無理に慰めるのではなくて、もし一段階おとなだったら何を思うだろう、と。自分を不幸せにしている要因さえ、マジックが掛かっている今からしてみれば「ああ…あんなバカみたいなもののせいだったのかよ」って思えるのかもしれないです。

小学生が中学生を見て大人と思うように、中学生が高校生を見て大人と思うように、そういうふうに考えるのは一生終わらなくて。その積み重ねが「積み重なっちゃっただけ」の存在が大人と呼ばれている生き物。だから、結局生まれた年代が違っただけで全員中身は子供だったりする。ついつい悪い状況を生み出しちゃう人も、何も対処してくれない先生も、分かってくれない両親も、全員が”子供の延長線”で生活してる人間だって気づく日が来ます。「大人だと思っていた両親が、案外けっこう子供だったこと」に気づいたときの話を、僕たちは最近、同世代の友人としているくらいです。そういう人たちは「あなたに対してしていたこと」をかんたんに忘れられる(もはや気づいても居ない)ほどの子供たちなので、今後も多分何も気づかずに悪びれずに普通に生きていけるのです。そんな程度なのです。

「自分の考えを認めてくれる世界」は必ずあります。それを早めに見つけに動き出す…というのも方法として大いにあるでしょう。少なくとも学校では教えてくれませんから(色々と都合が悪くなる人が出ますからね)。でも意外と自分と同じような考えや好みを持っている人(またはそれを分かってくれる人)は一定数、必ずこの世の中に存在してるものです。自分の心を安定させることはとても重要なので、不安定になる要素は遠ざけ、安定させる要素に近づく必要がありますよ。もちろん、人それぞれその”施術”の規模が違うと思いますが(大きく変えなくてはいけない人はちょっと大変ですが)勇気を出して自分をより良い場所に置くようにしてみるのも効果大です。周りからは「逃げ」とか「負け」とか言われるかもしれない。でも、違うんです。「これを『逃げ』とか『負け』とかあざける様なレベルの人たちの中に、大切な自分の身を置かないようにする」という、れっきとした”選択”なのです。この「健全なる逃げ」の結果、多分僕もここに居ますし、長く付き合っている友人と続いているんだと思います。

生き方を選んでいった結果、僕は、多くの歌い手さんや作曲家さん、奏者さんと付き合う生活になりましたが、彼らと話すと、けっこう居るんですよね。毎日泣いていた時期、この種の”選択”をしたからこそ、いまこの立場に居る…という人たち。種別上、音楽マンには多いのかもしれないです。最近はもう、そんな辛い過去の話をすることは少なくなったようですが、彼らが今は笑顔で良かったなぁという感じです。警報が鳴ったら、逃げましょう。意地を張ってその場に留まり続けるのがダメな場合もあるんですから。

それこそ、色んな人が居るし、いろんな悩みがあると思います。だから「こういうときはこうして!」という具体的な方法は書けないんですが、思っていることを書きました。いつかかならず訪れる、「ふわっと世界が変わったことを実感する」瞬間を、あなたも楽しみにしててくれたらいいなぁ。

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