24/8/16 アフター・ザ・ストーム
4時ぐらいに目が覚めた。強い雨の音が聴こえる。間違いなくたくさん降っている。
台風は南の気分を運んでくる。カラッとした明るいのではなく、少し湿り気のあるブラジル音楽が外の嵐と合う。
こんな天気だけど、今日はSONIC MANIAに行く。払い戻しもできるみたいだけど、やはりどうしてもArcaはみたい。一緒に行く友達のうち一人は、体調がよくないこともあって行かないことになったけど、もう一人は行くことのことだった。よかった。
14時ぐらい、雲の切れ目か、一瞬だけど雨が止んだ。その隙に駅前のモスバーガーに移動する。会場では長傘が持ち込めなく、うちにある折りたたみ傘は鞄に入らなかったので、傘は持たずに行きたかった。
モスバーガーにはちらちらと人がいる。モスチーズバーガーとオニオンフライを頼んだ。オニオンフライは記憶していたよりも量が多くて、なくてもよかったかなと思ったけど、でもやはりおいしかった。
友達と谷保駅で待ち合わせをする。立川まで出て、中央線、御茶ノ水で総武線に乗り換え、西船橋で武蔵野線、南船橋で京葉線乗り換えルートで行く。立川では中央特快に乗り継ぐこともできて、思った以上に順調に進む。順調に進み過ぎて、気持ちが緩み油断してしまう。総武線で浅草橋より先に行ったのは、かなり久しぶりなはずだ。
時より強い雨が窓に吹きつけるものの、そのまま順調に進んで西船橋まで着き、そこから先も足止めをくらうことなく、17時には海浜幕張に着いた。
19時会場とまだ時間はかなりあるので、駅前のビルのフードコートで開場までの時間を過ごす。早仕舞いをしているお店もあるが、いくつかお店はやっていた。友達はロッテリアでクリームソーダを頼んで、僕はまだモスバーガーで腹がもっていたのと、この後あれこれと食べて楽しむことを考えて、タコベルで軽そうなスイーツを買った。ツイストシュガーを頼んだ。ツイストドーナツみたいのが来るかと思ったらスナック菓子で、正直あまりおいしくなかった。
18時半手前ぐらいになり、会場に移動する。会場までは、雨は多少吹きつけてくるものの、避けながら行くことができた。ここまでのことを思い、悪いこと自慢というか、武勇伝自慢みたいになってしまうが、台風を避けるのではなく、むしろ台風に向かっていき、しかも何も雨具を持たないで丸腰でいくというのは、すごく間抜けだなと笑ってしまった。そういえば谷保のモスの前で友達と会った。その友達は上下雨具のセットアップで、こちらは雨具を持たずに半袖短パン、そのことを思い出して、また間抜けだなと笑えた。
2階から会場に入り、目の前一面にフードエリアが広がると、やはりやってきたと気持ちが高鳴る。まずはタコスのお店に行く。タコス3個1000円をほとんど一瞬で食べ終える。こうして僕と友達のSONIC MANIAは始まった。記念動画スポットで動画を撮って共通の友達に送ったり、会場をツアーしたり、点心を食べたりして過ごす。サカナクションを数曲みて、一番のお目当てのArcaをみるために移動した。
Arcaは攻撃的で実験的なイメージだった。だけどライブでは、孤独や寂しさみいなものを感じた。常に挑発されているようだったけど、その挑発には抵抗とあがきも感じた。最後の曲で聞き間違いでなければ「I’m not alone」と言っていて、とても心をうたれた。David Bowieがかつて『Rock ‘n’ Roll Suicide』で「you’re not alone」と歌っていたのを思い出した。
それと、結構前の方でみていたんだけど、周りにはクィアな人たちがいっぱいいた。色んな人がいて、それもよかったと感じた。こんな空間ができるなんて。こんな空間があるなんて。
Arcaをみた後は、僕も友達を言葉を失くしていた。どこにいってしまったのだろう、Arcaが持っていったのかもしれない。
Arcaのあとは同じステージで長谷川白紙をみた。一緒に来た友達の一番のお目当て。長谷川白紙の音の嵐に圧倒された。長谷川白紙を観たあとには言葉がいくらか戻っていた。長谷川白紙が逆に言葉を持ってきてくれたのかもしれない。友達がArcaはモノクロで、長谷川白紙は色彩が溢れる世界だったと言っていて、確かにと思った。それにしても、Arca、長谷川白紙のこのタイムテーブルの並びは、稀に見る奇跡的な並びだったのではないだろうか。
Arca、長谷川白紙が終わって、ようやくビール。Arcaと長谷川白紙は続けて最初から最後までしっかりとみようと思っていたので、お酒は我慢していた。それとスイーツも食べた。
坂本慎太郎ではたくさん踊った。スロームードの曲では立ったままというか、踊ったまま寝そうになった。『物語のように』をライブで聴くと、なぜかじんわりと胸と瞼が熱くなる。『ディスコって』はどうしたって気持ちが幸せになる。
SNSのフォロワーにあった。SNSでは随分長いこと繋がっていたが、ようやく会うことができてうれしかった。遠方の方なので次いつ会えるかは分からないけど、またいつかゆっくり飲みながらでもお話ししたい。
会場を出たら、まだ雲は少し残っていたけど、オレンジ色の夜明けの、まだ明けたての少し暗さの残る景色が広がっていた。会場の入り口近くの柵には、大量のビニール傘がかかっていた。
今度はただ単純に疲れと眠さで言葉を失う。徐々に空は明るくなり、とても清々しい天気だった。帰りは武蔵野線で府中本町まで行く。最初の方は寝ていたけど、途中からはうつらうつらとしつつも起きていた。空や景色は澄んでいて。川に朝日が反射したり、田んぼの緑が青々としていたり、何か心が今見てる景色、空と同じになるようだった。
南武線では珍しく、乗り換えがスムーズに行ったけど、今思えばこのときは電車を待ってもよかったなと思う。電車を待ちながら名残惜しさを感じていたかった。
南武線の中もかなり冷えていた。今日は台風一過によってか、かなり暑くなる予報だから、今からキンキンに冷やしているのだろうか。Arcaの開演前は時間が経つのが長く感じだけど、やはり今となっては全てがあっという間の中に収められていた。谷保の文字を見たとき、いよいよこの旅も終わりかと思い寂しくなった。谷保駅を出てから24時間も経っていないのに、久しぶりに帰ってきたような、旅をしてきた気分だった。
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