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【解答速報】東工大数学2024第5問

問題

整数の組$${(a,b)}$$に対して$${2}$$次式$${f(x)=x^2+ax+b}$$を考える。方程式$${f(x)=0}$$の複素数の範囲のすべての解$${\alpha}$$に対して$${\alpha^n=1}$$となる正の整数$${n}$$が存在するような組$${(a, b)}$$をすべて求めよ。

解説

実数解をもつ場合と虚数解をもつ場合で分けて考えます。

( i ) 実数解をもつ場合

$${f(x)=0}$$の解$${\alpha}$$に対して$${\alpha^n=1}$$満たす正の整数$${n}$$が存在するための必要十分条件は、「$${f(x)=0}$$の解がすべて$${1}$$と$${-1}$$であること」です。これを満たすのは以下の3パターンのみであり、

$$
\begin{array}{lll}
f(x) &=& (x+1)^2\\
f(x) &=& (x-1)^2\\
f(x) &=& (x-1)(x+1)
\end{array}
$$

これらに対応するのは$${(a,b) =(\pm2, 1), (0, -1)}$$となります。

( ii ) 虚数解をもつ場合

$${f(x)=0}$$の$${2}$$つの虚数解は

$$
\alpha_{\pm} = r(\cos\theta\pm i\sin\theta)\ (r>0, 0< \theta < 2\pi, \theta\neq\pi)
$$

と表すことができます。ここでは、$${\theta=0,\pi}$$は実数重解に対応するため除きました(除かなくても重複が生じるだけで論理的には誤りではないはずです)。この2解が$${\alpha_{\pm}^n=1}$$を満たすための必要十分条件は

$$
\begin{cases}
r &= 1 \\
\theta &= \cfrac{2\pi}{n}\\
\end{cases}
$$

です。一方、解と係数の関係より、

$$
\begin{cases}
a &= -2r\cos\theta\\
b &= r^2
\end{cases}
$$

が成り立ちます。したがって

$$
\begin{cases}
a &= -2\cos\cfrac{2\pi}{n} \\
b &= 1
\end{cases}
$$

を満たす正の整数$${n(n \neq1,2)}$$が存在するような、整数の組$${(a, b)}$$をすべて見つければよいことになります($${n=1,2}$$は$${\theta}$$の範囲を満たさないので除いてよい)。$${b}$$は自動的に整数になるので、$${a}$$のみ考えます。$${|a|\leqq2}$$であることから、$${a}$$の取りうる整数の候補は$${0, \pm1,\pm2}$$のみです。これらのうち、対応する正の整数$${n(n \neq1,2)}$$が存在するのは、以下の3つです。

$$
\begin{array}{lll}
a &=& -1 & (n=6)\\
a &=& 0 & (n=4)\\
a &=& 1 & (n=3)\\
\end{array}
$$

( i )( ii )より、求める整数の組は$${(a,b) =\bm{ (0, \pm1), (\pm1, 1), (\pm2, 1)}}$$となります。

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