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さて、どうしたものか。 美食家として名高い私だが、こんな食い物は初めてだ。 私は食べる事…
この山脈はおかしい。 呼吸ひとつひとつが音色となる。 自分自身が楽器になった気分だ。 高…
日照り荒ぶるこの季節。邪摘みの季節がやってきた。 神々慌てて下界見る。人の邪膨れ、空淀む…
いつの日も、その道の端には薔薇が咲いている。 春夏秋冬、長い一本道を赤く染め、歩く者に美…
いらっしゃいませ。 来店初めてですか? 当店ではお客様の要望、用途に合わせていくつもの歯…
最初の恋人は木だった。 次の恋人は小鳥だった。 その次は魚だった。 その次は毛深い人だっ…
栄えた都市はある日、炎に包まれた。 略奪、殺戮、そして邪悪なる勝鬨が響く真ん中で彼女の魂は生まれた。 名もなきただの幼子は、火の中熱き涙と悔しさを忘れない。 生まれた地の灰をすすり、1人別れを告げる。 邪悪の手が伸びようとも、逃げ延び、生き延び、復讐の炎を育てた。 幾年の月日、幼子は赤き瞳、赤い髪をもって誰しも振り向く美女となった。 だが彼女についていくは平和とかつての炎に焼けた肌の痛み忘れぬものたち。 女神にではなく復讐に恋した者たち。 | | | 邪悪に
月に照らされた牙と立て髪は工芸品とよく言ったものだ。 月光の獅子は月夜にのみ姿を表し、澄…
ひどく痩せたな。 借金取りに追いかけられる毎日から抜け出すべく、私は沼地に住むようになっ…
いつもぼーっとしてんだ。 汚ねぇ海の砂浜で、朝から晩までぼーっとしてんだ。 なーんも変…
そいつはかつて生物兵器として導入された。 人の顔をしているが、手足はやたら細いのに腹はま…
それは、とあるゴブリンの好奇心から始まった。 ゴブリンが見たのは近くにある人間の国に属す…
その像はいつも浮いている。 ちょうど大人が軽く見上げるほどに。 この像は町外れの遺跡に突…
この鉄臭さは本当に鉄の臭いなのだろうか。 背負っている新品のリュックに似合わない光景が広がっている。 機械兵の骸はそこかしこに広がり、この戦争がいかに鉄と火薬で争われているかわかる。 人の死体なぞ滅多にない、ほとんどが機械兵だ。 だが熱くこもった空気はどこか血の匂いを連想させる。 私の役目は、戦場の跡地からまだ役に立ちそうなものを拾い基地に持って帰ること。 この仕事の楽なところは、人の骸から漁らなくて良い事だ。 あのぶにぶにした感触は、考えたくもない。 私が1