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2021年読んでよかった本5選

読書が好きで年間100冊くらい本を読んでいます。
漫画も含めると200冊はいくかもしれません。
その中から今年読んでよかった本を5冊紹介します。

成功する「準備」が整う世界最高の教室

この本は、ビルゲイツが2019年のおすすめ本として選び「子どもを育て、教育するのに素晴らしいガイドブックだ」と絶賛した一冊です。

「サミット・パブリック・スクール」という高校の話ですが、クレイジーな教育方針だと笑われた学校が、全米No.1の評価を得るまでになった成功までの歩みや学校の理念が書かれています。

当たり前を疑い、子どもファーストで学校をリデザインしたダイアン氏の教育実践は、日本の教育家の工藤勇一さんや木村泰子さんの考えとも通じるところがあり、”何のために教育をするのか”という教育の本質的な目的について考えさせられた一冊です。

具体的なエピソードが多く、これからの教師に求められるメンターやコーチングについても学べる一冊です。


花もて語れ

この本はtwitterでおすすめの学習マンガを尋ねた時に教えていただいた漫画です。


夏休みは、片っ端から教えてもらった漫画を読み漁りましたが、中でも感銘を受けたのが「花もて語れ」です。(はじめアルゴリズムとすごく悩みましたけど…)
この漫画は、朗読がテーマ。話すことが苦手な少女が朗読と出会い、表現する楽しさと苦悩を乗りこえながら成長していくストーリーです。

この作品のすごいところは2つあり、1つは文字と絵だけで豊かな朗読が聞こえてくるところです。この表現力は画期的だなと思いました。

もう1つは、朗読についての知識や技術が学べることです。「日本朗読協会」が作品づくりに携わっており、長年の研究による朗読の技術やその奥深さを学ぶことができます。『ごんぎつね』や『注文の多い料理店』など教科書に載っている題材も多く登場し、作者の背景や物語の解釈についても学べる漫画です。

特に私が印象を受けたのは『やまなし』です。ちょうど6年担任をしているというのもありますが、これまで正直苦手な教材だと思っていましたが、この作品がなぜ不朽の名作と言われるのか、宮沢賢治が作品に落とし込んだ思いや映像化のテクニックについて学ぶことができました。

少し話はそれますが、この漫画を読む前に庵野秀明さんのプロフェッショナル仕事の流儀を見て、監督がひたすらカメラのアングルにこだわっていたのが印象的でした。宮沢賢治も、同じようにこの物語の監督として、どこを切り取るか、どの角度や距離感で伝えるかを大事にしていたんだと、この漫画を通して新しい視点に出会うことができました。

最近は国語の授業でも、朗読をするときに画角をイメージして読ませ、そのイメージを絵や図で表す活動を取り入れています。どこを切り取ったか、どの角度や距離感で伝えたいと思ったか、その違いに注目しています。まだまだ荒削りな授業ですが、読む楽しさや表現する楽しさを感じる子が増えてきました。

読んだ後は朗読したくなるだけじゃなく、原作を読みたくなるので、学級文庫や図書の本としてもおススメです。多分本屋さんでは手に入らないので、古本屋かAmazonで探してみてください。


妻のトリセツ、夫のトリセツ

女性脳と男性脳は違うというのは、今は死語なのかもしませんが、どちらの本も共感できるエピソードがたくさんあり、エッセイ本としても楽しめる本です。

特に妻のトリセツは読んでいて猛省しました。例えば「ゴミ出しは10の工程の1でしかない」という内容。私はゴミを捨てるだけでもめんどくさがっていましたが、その前にはゴミを集め、袋から出し、新しいゴミ袋を入れ、縛る、足りなくなったゴミ袋を買いに行く…などたくさんの工程がある。ゴミ袋を出すという1工程だけでやった気になるな。という言葉には、読んでいてひれ伏すしかありませんでした...

こういうグサグサくる内容が20個以上はあり、読み終わってすぐに、妻に「今までごめん」と謝りにいきました。(どしたん急にと笑っていましたが…)

この本は、脳科学的な解説とユーモアのあるエッセイで構成されています。読みやすいので読書が苦手という方にもオススメです。そして、普段の何気ない夫婦のイライラも脳の作りのせいだと考えると自然と穏やかになれます。読み終わった後、きっとあなたもパートナーに優しくなれるそんな素敵な本です。


ヤバい集中力

この本をレジに持って行った時、「ヤバい奴」と思われるんじゃないかとドキドキしましたが、内容は、科学的根拠を元にしたライフハック術が詰まった一冊です。

人はなぜ集中できないのか、本書では集中を邪魔する本能を『野獣』、それをコントロールする知性を『調教師』と例えています。

この例えが分かりやすく、教室でもよく「自分の頭の中の野獣をコントロールする調教師になろう」という話をしています。その他にも子どもにも話したいライフハック術がたくさん紹介されていて、なかなか勉強ができない子や授業中の集中力が続かない子へのアプローチのヒントも詰まっています。

余談ですが、私は本を読むとき、内容を忘れないようにマインドマップにアウトプットしながら読んでいます。鈴木拓さんの本は情報量が多いので、こんな風にまとめておくと子どもに話すときにも思い出しやすくなります。

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18時に帰る

オランダの働き方やオランダ人が何を大切にしているかについて書かれた本です。
読んですぐに自分が目指すべき理想の働き方はこれだなと思い、初めて図解にチャレンジしました。

ユニセフの調査で、オランダは子どもの幸福度ランキングが1位。そんな『世界一子どもが幸せな国』と言われるオランダ人の子育てに対する考え方や、それを可能とする社会の仕組みや働き方がとても素敵だなと思いました。

日本でもコロナをきっかけに在宅勤務が可能な企業が増えたり、女性が働きやすい会社として有名なサイボウズでは、オランダのように、働く時間と場所を自分で決められる『働き方宣言』という仕組みを取り入れるなど、日本の働き方改革も少しずつ前進しています。

ただ、教育業界は残念ながらまだまだ鎖国状態。誰よりも子どもが好きな教員が、わが子を犠牲にして遅くまで働いている現状があります。「幸せに生きるために働く」というオランダ人の考えはとても合理的で今の日本に必要な考え方です。日本の医学が鎖国時代にオランダの影響で大きく前進したように、現代の日本の教育現場もオランダの影響を受けて前に進みたいと思っている今日この頃です。


少しマニアックなラインナップだったかもしれませんが、価値観を変えてくれた本を中心に紹介しました。気になる本があったらぜひ手に取ってみてください。

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