笑点 -大乱闘スマッシュおじいちゃんズ-
日曜日、5時半、日テレ4ch。テレビをつけると流れる、いつものテーマ。
おそらく「一度も見たことがない」という人はなかなかいないと思います。
みなさまご存じ、その名も『笑点』。
私はこの番組にドップリはまりすぎて、一時期は観覧応募が当たろうが当たるまいが毎回必ず通うほどでした(今は当選しないと入れません)。
今回はこの、愛する『笑点』について語りたいと思います。
日本の国民的番組『笑点』
『笑点』は、前半に漫才やコントなどの演芸、後半に大喜利という構成の、30分の番組です。ちなみに創始者は立川談志師匠だそうです。
大喜利では、落語家であるレギュラーメンバーが、3つのお題に対して回答し、司会者はその答えの良し悪しで座布団をやったり没収したりします。
10枚たまると豪華賞品が当たる、というのがコンセプトですが、賞品が本当に豪華かどうかは、結構マチマチ・・・というか大体ネタだったりします。
なんと、昨年には放送50周年を迎えています。
『笑っていいとも』ですら32年ですよ。50年って。歴史がヤバイ。
その50周年を境に、歌丸師匠が司会を引退し、春風亭昇太師匠が引き継ぎ、林家三平師匠が加入・・・と大きな変化が起こりました。
色とりどりの着物を着たおじいちゃん(おじさん)たちが、うまい答えをひねり出し、座布団を奪い合う。もはや日曜にはおなじみの光景となっています。
本来は、テレビをなんとなくつけて、「お、笑点だ、久々に見るかあ」と、ボーッとご飯ができるのを待ちながら眺める・・・そんな感じが笑点の見方だと思いますが、あえて私はガチで掘り下げて行こうと思います。
笑点は落語界の『大乱闘スマッシュブラザーズ』
いきなり何言ってんだっていう感じですが、正気です。
『大乱闘スマッシュブラザーズ』、これは「任天堂のゲームの人気キャラクター達が揃った夢のオールスターバトル」ゲームです。
ソフトを越えて、マリオやピカチュウ、ドンキーコングやカービィが戦うのです。これはゲームファンにとっては、非常に夢のある世界です。
ここで、『笑点』について考えてみます。
実は落語家には、所属する”党”のようなものがあり、『落語芸術協会』『落語協会』『円楽一門会』『落語立川流』『上方落語協会』と、大きく5つに分けられます。(正式名称はちょっと略してる部分アリ 長いので・・・)
そして、メンバーの所属する会と、そこでの役職を見てみます。
わりとバラバラなのです。そして、わりと偉い人ばっかりなのです。
始まったばかりの頃の『笑点』は、若手落語家をメインとした番組だったようですが、現在はこのような大御所の大喜利番組となっています。
逆に言うと、笑点に出たからこそ有名になったパターンの落語家もいますが、とにかく現状を見ると、「バラバラのところから偉い人が出てきて座布団バトルをする」という、これ完全にスマブラでは?という感じになっています。
協会の垣根を越えて、役職も越えて、ただ答えのうまさで座布団を取り合う。
これが、笑点の醍醐味だと思っています。
わかりやすいキャラクター性
「三遊亭小遊三師匠」ときいて、パッと誰だか、おわかりでしょうか。
正解は左端、司会者の隣の青い人です。でも別にわからなくていいんです。
「青いスケベネタの人」と言えば大体伝わるからです。
歌丸師匠が司会だった時代の、各人物のキャラクターを羅列してみます。
あの、これ、あくまでキャラですから、鵜呑みにしないでくださいね!
青い人は別に前科ありませんし、黄色い人は実際は頭いいですからね!
落語家の名前がわからなくても、着物の色と「どういうキャラクターか」がわかれば、それで十分に楽しめる、それが『笑点』の魅力です。
新しく入った三平師匠は丁子(ちょうじ)色、「昭和の爆笑王」という偉大なお父様の次男坊、ある意味、お坊ちゃまキャラとも言えます。
これから先、どんなキャラクターが定着していくのか、とても楽しみです。
ずっと仲良く喧嘩しな!
『笑点』と言えば、歌丸師匠(緑)と6代目円楽師匠(紫)のバトルが比較的有名かと思われます。
目上で、司会という立場の歌丸師匠に向かって「今日は歌丸の葬式です」だの「ハゲ」だの、挙げ句の果てには「やるかジジイ!」。
対する歌丸師匠も「何だとこの腹黒!」「あいつの座布団全部持ってって」と負けない対応。もはや名物勝負と言って良いでしょう。
歌丸師匠が引退した今となってはなかなか見られずさみしいですが、その他にも『笑点』には定番バトルネタが色々とあります。
大体、ざっくりと書くならこんな感じ。
紫と桃の「圓楽の名前継ぎ」バトル、紫と灰の「司会の座を狙う」バトル、青と橙の「どっちの地元がより栄えているか」バトル。
(わかりやすくするため、失礼ながら、あえて色名で呼んでいます)
他にも「黄色の人のラーメンはまずい」だったり、「座布団運びの山田くんは音痴」だったり、本当にディスり合いがすごい。
もちろん、本来は仲が良いからこそ、できることです。
自分の知っている限りでの裏側(?)の関係性を書き出すと、こんな感じ。
特に、緑と紫、歌丸師匠と6代目円楽師匠は、「犬猿の仲」として番組では振る舞っていましたが、実際はとても深い絆を持った、素晴らしいご関係のお二方です。
5代目圓楽師匠の弟子として、”後釜”的に入って右も左もわからず困っていた円楽師匠(その頃はまだ楽太郎というお名前でした)を、「困ったらアタシをいじりなさい」と助け舟を出してくれたのが、歌丸師匠だそうです。
それ以来、ああいった「仲の悪い」やりとりが定番になった、とのこと。
実際、歌丸師匠と円楽師匠の二人会に行くと、すごく仲良しな2人のやりとりが見られます。ほっこり。
変わらないもの、変わっていくもの
『笑点』は”変わらない安心感”がある番組だな、と私は思っています。
同じネタが繰り返されたり、同じイジりが続いたり。
ですが、それこそが良いというか、毎週かかさず見なきゃ!というものではなく、「お、やってる、久々に見るか」と、いつ見ても良い、わかりやすい。
そういう番組は、結構珍しいのではないでしょうか。
そして、徐々に変わっていくものも、確実にあります。
歌丸師匠は司会を引退しましたし、新メンバーとして三平師匠が加入しました。それによって一気に平均年齢が下がりましたし、それによってネタも若い人にウケそうなものが増えた気がします。
そうやって少しずつ時代に合わせて形を変えながら、それでも大事な部分は変わらない。そんな『笑点』に、私は魅力を感じます。
ちなみにBS放送が見られる人は、『笑点特大号』という番組があるので、そこで更なるおじいちゃん(おじさん)たちのキャッキャウフフを是非一度ご覧になってみてください。ほんと癒されます。
だいぶ長くなりましたが、本当はまだまだ語りたい!
・・・けど、いったん筆をおくことにします。泥水でした。