漫画を描いたよ奮闘記
先日、創作漫画『沼に棲む』をアップしました。
読んでくださった方、スキしてくださった方、ありがとうございます。
昔から”漫画のようなもの”はたくさん描いてきた私ですが、「コマ割りをして、背景も描き、ひとつの話として完結させる」、いわゆる本格的な漫画を描いたのは、これが初めてです。
とはいっても、さすがに何の準備もなしに、30ページを超える作品を描いたわけではないです。以前アップした『雨の降る街』など、ちょっとずつ漫画の練習をして、ここまで辿り着きました。
そんなわけで、制作秘話・・・というほどの大層なものではないですが、自分なりに「漫画を描く」ことに真剣に取り組んだ過程について、記事に残しておこうと思います。
きっかけ -文明の機器(液タブ)との出会い-
私は昔から絵を描くのが好きで、noteに初めて投稿した記事もそうですが、”漫画っぽいもの”はしょっちゅう描いていました。
これを自分が漫画と呼ばない理由は、「何も考えずに頭にある内容をただ描き殴っているだけ」だからです。読みやすさだとか、コマ割りとか、そういうのを何も考慮していない。完全フリーハンド。
「漫画」というより、「絵のついた文章」に近い、と思っています。
漫画を描かなかったのは、単純に「めんどくさいから」です。
デジタルだと、直線を一瞬で引いてコマ割りできるけど、アナログだとそれができない。修正しようと思っても、やり直しが大変すぎる。
じゃあデジタルでやれば?という話ですが、デジタルでのお絵かきは、アナログと違い「直接描いてる感」がなくて、あまり乗り気になれず。
・・・そんなある日、Twitterで「液タブが安くなっている」という情報がまわってきました。(もうセールは終わってますが、この商品です)
液タブ。正式には液晶タブレット。
お絵かきに馴染みのない方向けに説明しますと、まるで紙に描くように、液晶に直接ペンを当てて絵を描けるという文明の機器です。
液タブなら「直接描いてる感」があるんじゃないか?と、即購入を決意。
さっそく届いた液タブで絵を描いて、感動しました。
本当に、紙に描くみたいに、デジタルで絵が描ける・・・!
もう、テンションあがりまくり、絵も描きまくりです。
ところで、デジタルでのお絵かきに必須なのが、お絵かき用のソフトです。
私はCLIP STUDIO(以降、クリスタと呼びます)というソフトを使っているんですが、クリスタには漫画を描く用の便利な機能が備わっているんです。
デジタルでのお絵かきに味をしめた私は「一度も使わずにいた漫画機能、使ってみようかな?」とホイホイ手を出しました。
漫画というものが、いかに奥深いものかも知らずに・・・。
クリスタへの敗北 -使えない機能はむしろ重荷-
さて、はじめて漫画機能を使った、私の処女作を晒しましょう。
この「機能を全然わかってないせいで困惑してる」感が伝われば幸いです。
・とりあえずコマ割りツールっていうやつで線を書いたけどやたら薄い
・コマ割りツール使うとその中にしか絵が描けない
・なのでコマをまたいだセリフ、絵などが作成できない
・そもそも最初から謎の線が入ってるけどこれ何?
・・・というのが初めての感想でした。
これをお絵かきSNSでアップして、私は助けを求めました。
「漫画ってどうやって描くの!?!?!???」
持つべきものはオタ友 -歴戦の猛者たち-
そんな私の悲鳴に手を差し伸べてくれたのは、オタ友でした。
漫画や映画などの共通の趣味で知り合った、友人たちです。
それも、ただのオタク(※)ではない。
「何度も漫画を描いたことのある」経験者たちです。
(※)漫画を描かない人を貶める意図はないです!
オタクにもいろんなタイプがいます!みんなちがってみんなオタク!
友人たちは、親切丁寧に、私に様々な知識を授けてくれました。
これにより、私はクリスタの機能を把握しはじめ、手探りながらも漫画機能を使えるようになっていきました。
この記事はソフトの機能を解説する目的のものではないので、詳細は書きませんが、とりあえず基本中の基本となる操作をひととおり覚えた私は、「これで漫画を描けるぜ!」と意気込みました。
「漫画といえば、まずはコマ割り!よっしゃ!さっそくやるぞ!」
しかし、このコマ割りひとつにすら、果てない道のりがあったのです。
コマの形式 -絵柄との相性を考える-
今まで読んできた漫画を思い返しながら、私はコマ割りをはじめました。
多くの漫画家さんの描くコマ線は、まっすぐで、太さも均一です。
それが当然だろう、と思って私も”まっすぐ均一”にやってみたところ・・・
なんかしっくりこない。
自分のザカザカした絵柄に合わないのです。
言葉で伝えるのは難しいので、具体的にちょっと漫画を描いてみました。
まっすぐ、均一な線でコマを割っています。
漫画内で描いてる通り、この線でのコマ割りには、ある程度きっちり完成された絵柄が求められる、と自分は感じました。
しかし、私の絵柄はそこまで定まっているわけではなく、むしろ結構ブレがある。となると、この均一な線は合わないのでは・・・?
というわけで、試行錯誤の末にたどり着いたのが、「手書き風コマ線」。
これは、線をまっすぐ引くと勝手にいい感じに歪ませて”手書きっぽく”してくれるという、まさに神の機能です。製作者の方に感謝や・・・。
私の絵は、かなり粗があるというか、線がきっちりつながってないというか、丁寧にまとまった絵とはあまり言えないと思っています。
ですが、それこそが自分の絵の味だと思っていますし、気に入っている点でもあります。なので、そこは失いたくない。
そうなると、きっちりした均一な線のコマに合わせて絵柄を綺麗にするより、あえてコマを歪ませる方がいいんじゃないか、という結論に落ち着きました。
実際、友人たちにも「こっちの方が良いね」と好評だったので、この手書き風コマ割りを採用することに。
いやはや、コマ線ひとつで、こんなに悩むことになるとは・・・。
素材を使いこなせ! -多分一生むりです-
コマ線ひとつ決めるのに何日もかかった私は、次に「主線を描くためのペン」、そして「色塗りの方法」などの模索にとりかかりました。
で、一応だいたい「このペンにしよう」「この塗りブラシ便利だな」と、ある程度使う素材は決まっていったのですが。
もうね、クリスタ、めっちゃ素材が多いんですよ!!!!
ベタ(塗り)ひとつにしても、いろんなブラシがあって、本当に迷う。
自分の絵柄に合うものを探してるうちに、単純に楽しくなってしまって、ひたすら試し書きしてるだけという迷走期間もありました。
あと、フォント(文字)もめちゃくちゃいっぱいある。
これは別にクリスタにもともと入ってるわけじゃなくて、自分でフォントをダウンロードしてくるんですけども、無料で使える素晴らしい文字がこんなにあっていいの?とビビり散らすほどいっぱいある。
今確認してみたら、現時点で758種のフォントが入ってました。
そんなにあっても使わないだろ!!!!(でも楽しいから消さない)
素材が豊富なのは、本当にありがたいことです。
しかし、逆にこんなに豊富だと、かえって何を使うか迷走してしまう。
最終的には、素材に関してもコマ割りの線と同じく、自分の絵柄にしっくり合うもの、自分が描きたい作品に合う雰囲気のものを選ぶようにしました。
こうして、漫画を描く準備がやっと整いました。
長い道のりだった・・・。
漫画の世界は奥深い
こうして準備を終えて、ストーリーを練り、下書きして、清書して、できたのがはじめての長編漫画、『沼に棲む』です。
30ページの漫画を描くというのは人生で初めてでした。
疲れない?って聞かれたら、そりゃまあね、正直しんどかった。
仕事として漫画を描いてる人がいかにすごいか、魂で理解できました。
1日に4ページも描けたら上出来というか偉人だと思う。というか毎日描ける時点でめちゃめちゃ偉い。いくら好きで描いてても、背景とかめんどくさかったり、そんなにテンションあがらない場面もありますから・・・。
でもね、漫画描くのって、めっっっっちゃ楽しいんですよ!!!
どうやったら読み手に伝わりやすくなるか?
どういうコマの割り方をすれば、このシーンを強調できるか?
このキャラクターを目立たせるためには何のエピソードが必要か?
・・・と、考えれば考えるほど、やるべきことは増えていく。
背景も描けるようになりたいし、構図も工夫したい。
魅力的なキャラや話を作りたいし、それを形にして人に見てもらいたい。
描けば描くほど、欲が出て止まらない。
今、そんな状態です。
なんというか、新しい分野の勉強をしているような、そんな気持ち。
知識が増えるとテンションあがる。実践してさらにあがる。試行錯誤が楽しくてしょうがない。もう止まらねえぜ!!!!
ただね〜、初めてで30ページはね、調子にのったね!大変だった!
しばらくは休憩にダラダラお絵かきしようと思います。
ランナーズハイならぬ、漫画ハイの泥水でした。
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補足
歴戦の猛者たちに教えてもらった知識を独り占めするのもなんなので、少し共有しておきます。
・フォント
漫画向けフリーフォント『源暎フォント』
これ使うだけでめっちゃ漫画っぽくなる。最強。これが無料なのはヤバイ。
・クリスタ素材
ざらざりGペン
いろんなGペンがありますが、個人的にすごく使いやすくて好きです。
アナログ風の直線セット
これの製作者さんの素材は全部すごすぎる。頭があがりませんマジで。
筆
文字通りの筆。妖怪漫画で大変お世話になりました。
横太書き文字ペン
なにかと便利で使いやすい。効果音は筆とこれで大体かいてました。
・コマ割りについて
漫画を描こう。
縦と横のコマ枠の隙間について「なるほど!」となりました。
改めて、教えてくれた友人たちに感謝です。ありがとうございました。
サポートしていただけると心身ともにうるおいます(主にご飯代にさせていただきます)。ここまで読んでくださってありがとうございました!