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煙草とビール

数年前まで苦手だったものが、ふと試してみたら、案外いやじゃなかった。

大人になった、というか、”慣れた”ってことなのかな。

今日、数年ぶりに煙草を吸って、感じたことです。

ビールは苦い、煙草はまずい

私は成人して煙草とビールをはじめて嗜んだとき、「こんなまずいものをなんで大人は好むんだ」と思いました。

しかし、飲み会などの付き合いでお酒を飲む回数が増えるにつれ、だんだんとビールへの抵抗感がなくなり、やがて、単なる”飲み物”として認識するようになっていきました。ウーロン茶とかと同じ系列。
むしろ今では、焼き鳥とか食べるならビールを頼もうかな、という程度には、好んで飲めるようになっています

煙草は、自分で買うほどではありませんでしたが、大学のサークルに喫煙者がそこそこいたので、「吸う?」と誘われたら「1本もらおうかな」という感じで吸っていました。ですが、あくまで付き合いとしての感覚が強く、スッキリするとか、おいしく感じるとか、そういうものはありませんでした。

ただ、もともと父親がヘビースモーカーで、かつ分煙という概念が一切なかったので、子供の頃から煙にさらされることには慣れきっていたのもあって、煙草への嫌悪感はそこまで強いものではなく、むしろ好奇心で色んな種類を試させてもらったりもしていました。さすがに15mgのタール量の煙草を吸ったときは、目眩を起こしましたが。

やがて、肺の病気を経て、私はお酒・煙草から距離をおくようになりました。

お酒は飲めるようなら飲みたいなあと、自分の体調を見計らってチビチビやっていましたが、煙草に関しては全くノータッチになり(さすがに肺の病気にかかったあとで吸う勇気はなかった)、そうして禁煙・・・というほどでもないですが、私の人生から煙草の存在は消えつつありました。

「慣れ」が必要な嗜好品

今日、用事があってコンビニに寄ったとき、ふと煙草が目に入りました。

いつも利用しているコンビニなので、当然毎回、レジを訪れるたびに、ズラッと並んだ煙草は目に入るんですが、今日、なんとなく「久しぶりに吸おうかな」と思い立ったのです。

ピアニッシモのメンソール。女性向け煙草、というと差別用語なのかな?
とにかく、ごく軽いやつです。タール量1mg。

ものすごく久しぶりだったので、どんな味かも忘れていました。火をつけて、あまり本格的には吸わないように、ふかすだけ・・・と、吸い始めたところで、あれ?となりました。

なんか、結構、好きかもしれないぞ。

昔「これの何がいいんだろうな」と思っていた感覚が、なぜかさっぱりと消えていました。おいしい、というわけではありませんが、すっとするような気持ち。ぷかぷか煙を口から出して遊んでみる。なんだか面白い。

もしかして、数年たって、”慣れた”のか?

しかし、同居人の「煙草、すごい臭いするよ」という言葉で、ハッとなりました。彼は喫煙未経験者でした。味だけ気になる、という彼に少しだけ吸わせてみると、昔、私が初めてビールを飲んだときのような、しかめっつらを見せました。いわく、まずい、と。
なんだかなつかしい気持ちになったと同時に、自分がまるで今まで接してきた「大人のひと」になったみたいで、妙な気分でした。

「大人のひと」の必須科目

「大人のひと」は、「ビールが苦い?煙草が苦手?若いな〜、慣れだよ、慣れ」とよく言っていました。それは、親戚のおじさんだったり、職場の先輩だったり、大抵、年上の男性でした。

私は、今日、そのどちらもを平気だと感じられるようにはなりましたが、それが良いことだとは、あまり思いません。
できることの選択肢が増えた、と言えば良いことみたいですけれど。しかし増えた選択肢は、どちらも健康を害するもの。(程度にもよりますが・・・)

多分、「大人のひと」が「結局は慣れだから、今のうちに練習しときな」と言いながらビールや煙草を勧めてきたのは、親切心からだったのでしょう。

実際、「慣れなんだな」ということが、今日、身をもってわかったので、なんとなく、そういう気がしました。

でも、別にビールも煙草も、なくたって楽しい人生は送れるはずです。
私は煙草を吸うよりはボードゲームで交流したいですし、ビールを飲むよりはジュースとお菓子をつまみに友人と語らいたいです。

昔ながらの体質が残っていた会社に属し続けていたら、もしかしたらビールと煙草が必須科目になっていたかもしれません。多分、一定の年代の男性は、嗜好品として、ビールや煙草が、完全に馴染んでいるというか、身にしみついているのでしょう。
そして、付き合いとして、そういうものが絶対に出て来るからこそ、「若いうちから慣れておくといいよ」という助言をしてくるのでしょう

でも、会社をやめて、もうそういうタイプの場所には属したくないと思っている自分には、もはや関係のないこと。

というか、べつにそういった会社に勤めていても、無理矢理に慣れる必要性なんて本当はないはずなんですよね。でも、やっぱり、煙草とビールは、上の年代の方々との交流を円滑にする効果があるんだな、というのは、1年しか勤めなかった自分にもわかりました。お酌とか、そういう文化がある世界。

ただ、そういうの、やっぱり苦手だなあ、と感じます。
楽しみは、やりたい人がやればいいことであって、他の人に強制するものじゃない。そんな当たり前のことが、軽視されてしまうような交流の場は、もはや交流の場じゃない、と思います。

当たり前だけれど、自分にとっての楽しみが、他人にも楽しいとは限らない。
父親がぷかぷか煙草を吸っているのを「煙たいなあ、くさいなあ」と思っていたはずの私が、同じことを同居人にしてしまった。申し訳ないことです。

とりあえずキッチンを換気して、反省中。泥水でした。

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