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妻の優しさに触れた休職期間。

妻からの「いってらっしゃい」と「おかえり」

休職中は特にやることがありません。
主治医から「ゆっくり休みなさい」と助言を受けますが、どのように過ごしていいかが分かりません。

何をすればいいのか、経験に基づいてざっくり言うと、生活習慣を整え、バランスの良い食事を摂り、朝日を浴び、リズム運動をやる、といったところでしょう。

少しずつ良くなってきたら、退屈さを感じ始めます。その頃には、図書館に行ったり、買い物に行ったりしても大丈夫になってきます。

このように、ゆっくりと社会に出ていく事で徐々に心身の調子を戻していきます。

文字にすれば簡単な事のようですが、実際は辛いものです。とても一人で乗り越えられるものではありません。

外出していても、「仕事もせずに何をやっているんだろう」と考えてしまったり、近所の目も気になるでしょう。そんな事気にしなくていいんだ、と主治医からも教えてもらえるし、色んな本にも書いてある。だけど、そんな簡単に割り切れない。私自身がそうでした。

休職を子供に知られる事で心配かけないように、「資格の勉強をしている」と称して、毎日のように何とか家を出ていく私に、妻は明るく「いってらっしゃーい!」と言ってくれました。

妻の家事中、いってきます、も言わずに外出しようとした時も、追いかけてきて、顔を見て「いってらっしゃい」を言ってくれました。

図書館にこもり、本を読み、なんだか疲れて、車でただ走ったり、スーパーに寄ったりしてみる。

特に何か生産性のある事をした訳でもなく、虚無感と共にただ家に帰ってくる。

妻は元気に「お父さんだよー!おかえりなさーい!」と、子供と一緒に言ってくれる。

情けないような、嬉しいような複雑な感情もありましたが、当たり前の事がこんなに嬉しく、大切なものだったのだと気づきました。

もしこの「いってらっしゃい」と「おかえり」がなかったとしたら、決して大袈裟ではなく、完全に引きこもるか、失踪していたかもしれません。本当にありがたかったです。

妻の手料理

うちの妻は手料理があまり得意ではありません。やろうと思えば出来るのですが、あまりやろうと思っていません。

朝はほぼ毎日、ご飯とインスタント味噌汁と納豆。子供の遠足の時などは、おこぼれでたこさんウインナーや、プチトマトをもらえる事もあります。

休日の昼は、子供も私もセルフサービス。各自で炊飯器を覗き、ご飯が余っていればよそい、また納豆をかけて食べる。妻の名誉の為に言えば、お願いすれば作ってくれます。でもいつもパートと家事で疲れてるから、昼飯くらいは自分達でやらなくては、という気持ちのもと、セルフでやっているという所です(父親でも料理できますよね?という声も聞こえてきそうですが…)。

妻は私が休職している間、毎晩のように手の込んだ料理をしてくれました。

うつ病の改善には、栄養バランスも大切だという事を自分なりに調べてくれていたみたいで、肉、野菜、魚…バランスを考えた献立を、いつも考えてくれました。

迷惑かけて申し訳ないな、という思いが募り、「たまには手を抜いてもらってもいいんだよ」と言っても、「えへへ」と笑うばかり。

日常を感じられた事で楽になれた

妻は「がんばって」とか「早く良くなってね」とかの言葉は一切なく、行動や態度で私を支えてくれました。

普段通りに接しつつも、私が弱音を吐く時には否定せずに受け止めて、寄り添ってくれた事で寛解する事が出来たと思っています。

普段通りにしてくれた事で、元気だった頃の自分を思い出す事もできたのでしょう。

弱っていた時の自分を支えてくれた妻の優しさ、その時の感情を忘れないように私は日々を過ごしています。

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