見出し画像

深センにおけるコロナウイルスのデータ分析をしてわかったこと

先月から毎日話題の新型肺炎コロナウイルス。
2003年に香港を起点に流行したSARSと相似していると言われており、猛威を奮っているのはニュースやSNSを見られている方なら周知の話である。
そのため、コロナウイルスの詳しい説明については割愛している。

今朝発表された深セン市の現状

画像1

まずは上記の画像をご覧いただきたい。
深セン衛生健康委員が発表した2020年1月31日12時までのウイルス感染者に関するインフォグラフィックである。

深セン市内だけの情報は下記の通り。

感染者134名
重症12名
救命患者8名
死亡者0名
退院4名
男性64名、女性70名

これだけ見ると、深センは至るところにウイルスが蔓延しており、極めて危険なエリアと思われてしまっている。
中には、バイオハザードのような状況を想像している人もいるだろう。
まず先に断っておくが、深センは決してゾンビは存在しないし、外に出た瞬間ウイルスに感染するというわけではない。
SFやホラーの世界から一旦脳内リセットをしてほしい。

134名の患者データをリストアップ

深セン市の機関から発表されるデータを元に、各区患者の状況をリストアップしてみた。

各列の説明
B列・・・エリア(感染したエリア。不明の場合は「その他」にしている)
C列・・・常駐先(普段どこに住んでいるのか)
D列・・・年齢
E列・・・性別
F列・・・発症日
G列・・・武漢への滞在歴(滞在歴があれば「1」、なければ「0」)
H〜P列・・・各病状の有無(詳細が書かれていないケースばかりなので、わからないものに関しては「0」にしている)
O列・・・現状(「安定」か「危険」で分けている)
R列・・・退院の有無(退院していれば「1」、退院していなければ「0」)

この中では、エリア、常駐先、年齢、武漢への滞在歴を主にご覧いただきたい。

画像2

下記にて誰でもデータを閲覧可能。

随時更新していくため、noteをご覧いただくタイミングによってはリアルタイムに更新されていない可能性がある。
執筆時点の状況を元に下記にて考察していきたい。

常住先の比率

画像3

上記のグラフは深セン市における常住先ごとの比率を算出している。

(湖北省)
武漢・・・49.3%
黄岡・・・3.0%
荊州・・・1.5%
荊門・・・1.5%
十櫃・・・1.5%
湖北省合計56.8%

深セン市35.8%

感染者の半数以上は湖北省から深センに滞在している最中にコロナウイルスの症状が現れている。
この時点で、深セン市自体が危険ということが想像より半分以下であることがわかる。
武漢の人には申し訳ないが、深センで感染者数を伸ばしている原因は彼らであるのは客観的に理解可能だろう。
もちろん差別する気はないが、近寄ることは控えたい。

ちなみに、深センと武漢は約1000キロ離れているものの、道が一本で繋がっている。
元々武漢を始めとした湖北省からの出稼ぎの多いエリアなので、両都市の行き来は盛んである。
特にタクシードライバーやデリバリーの方々に多い印象。
春節とはいえ、ドライバーやデリバリーは稼ぐため地元に帰れないから、逆にご家族で深センに訪れていたのかもしれない。
あくまで仮説。
本当かどうかは本人たちに聞かねばわからない。

深セン市在住の感染者の武漢滞在アリの人数

画像4

上記図は見ての通り、深セン在住者で武漢に滞在した経験のある人数の比率で、77.1%の深セン在住者が武漢に滞在している。
数にすると滞在経験ありの人数が37名で、武漢滞在歴のない人数は11名。
後者は、武漢から来られた人から、いわゆる「人から人へ」の経路で感染していることになる。

つまり、138名の感染者の中で、深セン市で直接感染した人数が11名で、比率にすると、7.9%のみ。
それ以外の92.1%は武漢もしくはその他湖北省にて感染していることになる。
ここから言えることは、深センから出ていない人のほとんどは感染していないので、街の中自体そこまで危険ではない、もしくは、人々の衛生管理意識が高まっている。

画像5

尚、私が滞在している南山区在住者の感染者の状況は上記のとおりである。
合計14名で、その内武漢滞在経験がない人は3名のみ。
南山区在住者で武漢に行ったことがない私は感染するリスクは極めて低い。

ちなみに、トップに有る画像の南山区の数は南山区在住者以外に、南山区に短期滞在している人もカウントされてしまっていると予測。

感染者の年齢の分析

画像6

上記は感染した患者の年齢別のグラフである。
下に行けばいくほど年齢があがっている。
このグラフからわかるのは40歳以降からの人数がその多くを占めていることだ。
特に64歳が異常に多い。

感染者の多くは中高年と言われているが、深セン市でも全く同じ現象が起こっている。
特にお年寄りは私のような20代と比較しても免疫力が低下していたり、体力も激減したりしていることから、感染しやすいと言える。
主観かもしれないが、人々がマスクを付け始めたのが10日ほど前として、お年寄りがマスクを付けるのは比較的遅かった。

私は2週間以上前からすでにマスクを付けて過ごしていたが、周りから変な目で見られていた。お年寄りに、

「ウイルス危険だからマスク付けて予防したほうがいいよ」

と言うと、大体鼻で笑われた。
中には、「中国はでかいからなあ」と意味のわからない回答をする人もいて呆れたほどである。

気づけば私の周りの方々も次第に装着するようになった。
街中を歩いて実感としては99%着用し、頻繁に薬局に足を運んでいる。
もちろんもう売り切れているか、高値で販売されている。
普段からマスクはストックしておくか、感染の情報が出たときに先のことを見越してすぐに買いだめしておくべきだった。

余談はこれ程度にしておこう。

感染者の発症日の分析

画像7

上記は感染者の発症日のグラフである。発症した日が記載されていない場合は入院した日を起点している。
1月19日からの発症者数が急激に伸びていることがわかる。

1月19日に初めて深センで感染者が現れたニュースが出回ったため、おそらく、そのニュースを見て不安になった方々が病院に駆けつけるか、救急車を呼び、その結果すでに感染していた人たちも数字として現れるようになったのかもしれない。

それから1週間経過した1月26日から感染者の人数は下降気味である。
もちろんか下降気味であって、安全になったとは言えない。
病院に行くのが手間だと思っている方や、潜伏期間を経てこれから発症する人もいるだろう。
引き続き安全を保たなければならない。

終わりに

私は都合があって現在日本に戻ることができず心配している方もいらっしゃるが、元々人が多いところが好きじゃない性格のおかげか、感染のリスクは比較的低いタイプだろう。
そして、分析した通り、武漢に行った人がいればリスクが伴うが、運良く私には武漢の関係者が周りに全くいない。

深センでは、春節を延長する企業があったり、深セン大学の入学時期がずれたりしていて、人々の不安を煽るニュースが流れているが、会社や学校はリスクを最小限に抑えることも仕事であるのでやむを得ない。

ただ、一個人としてはそこまで危険を感じることもないし、日本のインフルエンサの対策をしてきた身からすると不安で恐怖に慄くのようなことはない。
むしろ家にずっといて読書したり、事業の準備をしたりで落ち着いて過ごすことができているし、様々な着想を得るよいきっかけになっている。

深センに訪れようとしていた方々もほぼキャンセルとなって寂しい気もするが、深センはこのウイルスからきっと崩れ落ちてしまう張りぼての白のような街ではなく、力強い街である。
簡単に逃げることなく、私はこの深センとともにウイルスと戦っていきたい。

PR

正直暇な時間が多いので、中国事業相談を無料で引き受けます。
語学の相談でも構いませんが、お互いにとって実りのある時間にできるなら何でもいいです。笑

お話できるテーマとしては、
・ニューリテール
・ミニプログラム
・Wechat公式アカウント
・深センの歴史
・Xiaomiの戦略
・中国越境EC
・中国クラウドファンディング
・リバ邸深セン
・中国会社登記

などなど。
ご興味のある方はお気軽にTwitterでDMください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?