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国家破産はよくあること?

最近スリランカ政府が破産宣告し、大混乱に陥りました。

国家政府も破産するものなのか。

国家破産という概念は最近20年ぐらい出てきた新しい単語ですが、このような出来事はそんなに珍しいものでもありません。むしろ、歴史において常に存在しているといいます。

国家破産とは国家の債務が履行できなくなった状態、言い換えれば収入が支出に足りない状態です。

古代において現代経済学の概念がないが、長期収入が支出に足りなくてやがて政権崩壊の例は沢山あります。

近代になると最も典型的な例は第一次世界大戦後のフランス、戦後のフランスの負債は103億ドル、政府も180億ドルの赤字を抱え、戦争による損失は2,000億ドルを超えました。どうやっても自力で返すことができない。事実上の破産です。

当時のフランスはベルサイユ条約を使って可能な限りドイツから戦争賠償金を求めた。しかし、ドイツも戦争によって崩壊状態のため、金がありません。

フランス政府は必殺技ー債務放棄(特にアメリカに対する)を使いました。フランス政府は歴史から道徳までアメリカを説得しようとしました。

例えばアメリカの独立戦争の勝利はフランスからのお金で手に入れたとか、今回の戦争、フランスは世界正義と平和のために借金して戦ってきました、今更借金の取立をやめなさいなど。

これはあくまで戦争の理由で破産する例ですが、政府が無謀な行政を行うことによって破産する例もよくあります。

南アメリカのアルゼンチンという国があります、広い牧場があり、戦場からも離れているため、欧州人心の桃源郷とも言われていました。20世紀初頭、アルゼンチンの政府も国民も非常に豊かでした、首都であるブエノスアイレスは「小パリ」と呼ばれ、当時、人がお金を持っていればアルゼンチン人みたいにとまで言われていました。

ブエノスアイレス

しかし、20世紀のアルゼンチンは戦乱がないにもかかわらず、政府は何度も破産を経験しました。


これはフアン・ペロンという大統領の執政失敗に関わります。彼は民心を掴むため、国民が欲しがるものを何ても提供しました。在任中、労働者出身の官僚を抜擢し、入閣させました。彼はこのやり方は社会主義と資本主義の間にある第3の主義(のちのペロン主義)と言い、労働者にも利益を分け与え、経済独立運動を行い、イギリスとアメリカを反対し、アルゼンチン国内にある関連資産を没収しました。

さらに、彼は中央銀行を国有化し、「アルゼンチンファスト」のスローガンを掲げ、軟弱な自国工業を守るため、関税障壁を作りました。国民により多くな社会福祉を提供し、所得が増えるように動きました。

できる限り多くのものが国内で生産できるため、天然ガス、電力、通信を国有化し、大量且つ効率低い国有企業が誕生させました。

さらに、彼は法律の手段で労働者の給料を大幅に上げさせ、50万棟のマンションを新築し低所得者に提供しました。そして、学校、病院などの施設はいうまでもなく完備されていました。

当時のアルゼンチンは貧しい人でも少ない費用でちゃんとした生活ができます。

一見素晴らしい国に見えますが、問題が隠れています。

一つ、こんな大規模な公共投資と社会福祉には大量な金が必要です。政府がなければ、海外へ借金するしかない。

二つ、公共投資や社会福祉の実行者は官僚です、「権利は腐敗を生み、絶対的権利は絶対的な腐敗を生む」。表向きにはいろんな公共投資や福祉を行っていましたが、多くな金は官僚個人の財布に流れました。一番大きな受益者は大統領自身でした。

しばらくすると、アルゼンチン国民も気付きました。偉大な大統領の元、生活水準も経済も日々下がっていき、政治腐敗だけが進んでいます。国民のみならず、強い不満を持っている軍はクーデターを行い、軍政府を成立し、国家の債務問題が露見され、償還能力がないため政府破産宣言を行いました。

社会福祉が消えた国民は日々沈んでいく祖国を見て、最後の希望を軍政府に託しました。1982年軍政府は国民士気を高めるため、あるいは国内問題を転嫁しようとするため、イギリスとフォークランド戦争を行いました。結果はアルゼンチンの惨敗で終わり、軍事、経済、政治はさらに泥沼に陥りました。

以降、アルゼンチン政府のデフォルト回数もバカになっていき、もはやニュースではなくなっています。


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