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3月の語学まとめ ーガチの語学、ゆるふわの語学

今月の語学学習の分析と検討を行う。学習時間の内訳はこんな感じになった。

フランス語      61:09   (34%)
ドイツ語         59:54   (33%)
ロシア語         24:50   (14%)
ポルトガル語   18:27   (10%)
英語               16:44   (9%)

先月に引き続き、フランス語とドイツ語がメインで、その他は現状維持ができればいいくらいに考えていた。サブの3言語については「実力がついたとは思わないが、少なくとも落ちたとは感じない」という実感なので、月15時間程度が「語学の実力維持に必要な時間」なのかもしれない。1日に換算するとだいたい30分くらいか。

概観

今月は1日2言語体制で学習を管理した。学習歴がまだ半年以内で、とにかく注力したいフランス語とドイツ語を「ガチ言語」とし、少なくとも4年以上の学習期間があり、中級以上であるその他の言語(ロシア語、ポルトガル語、英語)を「エンジョイ言語」として、両グループから1言語ずつローテーションを回して「今日学習する言語」を決めていた。具体的に書くと、

1日目:フランス語とロシア語
2日目:ドイツ語とポルトガル語
3日目:フランス語と英語
4日目:ドイツ語とロシア語
5日目:フランス語とポルトガル語

という感じで、毎日勉強する言語を変えた。ガチ言語は4〜5時間、エンジョイ言語は2〜3時間を目安にした。週に1日は「今日は語学をやらない」と決めて、意識的にダラダラしたり、時間があったらやりたいなと思っていたことをやったり、要は「休日」にした。(現在ニートなのでこの表現はおかしいが)

裏言語の導入


ガチでやってるフランス語とドイツ語については、できれば毎日触れたいと思っていたが、多言語学習では時間の調整が難しい。「今日やる言語」としては交互にやっているが、これは机に向かっての話で、机に向かっていない隙間時間は「今日の言語」ではない「裏の言語」をひたすら聴いていた。例えばフランス語の文法書に取り組んだ後にちょっと休息する、その休憩している最中はずっとドイツ語のポッドキャストを聴いてる、といった感じだ。散歩中、炊事中、移動中、起床後、就寝前... 耳が暇な時間は日常生活でいくらでもあるので、その隙にターゲット言語の音声を摂取した。これが功を奏したかは分からないが、「1日に最低1回はもフランス語とドイツ語に触れる」というふうにしたのはかなり良かった。とにかく一日中複数の言語を無作為に触れ続けたので、異なる言語への切り替えにもあまり時間がかからなくなった。フランス語をポルトガル語として読んでしまったり、ドイツ語の単語と英語の単語を混同する、のようなエラーはなくなってきた。この裏言語の学習システムはかなり手応えがある。

学習内容

どの言語も主に3つのことを学習に組み込んだ。ただし言語によっては2つしかやっていないものもある。

1、文法的なもの
文法書を書き写したり、対訳のついてるテキストを和訳したりする勉強。英語は『現代英文法講義』フランス語は『中級フランス語 よみとく文法』ロシア語は『ロシア語一日一善』など。文法書をひたすら読むのは学習としては少し辛いものになりがちなので、1回1時間程度にした。

2、多読的なもの
1日90分くらいは対象の言語で何かしらを読んでいた。今の読書リストはこんな感じ。

英語:デヴィット・クレーバー 『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』(David Graeber, Bullshit Jobs: A Theory)
フランス語:カミュ 『異邦人』(Camus, L'etranger) 
ドイツ語:グリム兄弟 『グリム童話』(Grimms Märchen)
ロシア語:ドストエフスキー 『虐げられた人々』(Достоевский, Униженные и оскорбленные)
ポルトガル語:パウロ・コエーリョ 『不倫』(Paulo Coelho, Adultério)

英語の『ブルシット・ジョブ』は邦訳を読了済みだが、ロシア語とポルトガル語は邦訳未読の状態で読み進めている。ドストエフスキーもコエーリョも馴染のある作家なので、文体には慣れているし、作風も自分好みなので、時間さえあれば挫折しないだろう。フランス語の『異邦人』も邦訳は読んでいるが、今のレベルだと難しいので、新潮文庫の窪田啓作訳と並べて一段落ごとに読み比べている状態だ。とても読書とは言えず、解読に近い。ドイツ語のグリム童話は、一通り邦訳に目を通してから、ドイツ語原文に取り組んでいる。原文を読み終わったら、次の作品の邦訳を読んでおき、次の学習の時にはおぼろげにあらすじが記憶に残っている程度の状態で読解に臨むので、難なく文脈を押さえられた。3月だけでも、『ヘンゼルとグレーテル』『ラプンツェル』『鵞鳥番の娘』『ブレーメンの音楽隊』などを読了した。グリム童話は翻訳込みで読めるサイトが充実していたので大いに使わせてもらった。分量も内容も今の自分にはちょうどいい。

3、聴解的なもの
Youtube などで見つけた動画の字幕を確認しながら、その動画の話者に合わせてオーバーラッピングしたり、字幕なしでも内容が理解できるかをテストしたりして、耳を鍛えていった。ガチ言語であるフランス語とドイツ語については、ただ聴くだけなら隙間時間にもやってるので、主に口を動かす練習をした。話者と同じタイミングで発音してみて、どうもうまくリズムが取れない箇所があったら、それがその部分が聞き取れていない証拠になる。その部分をYouglishで検索して、同じフレーズを異なる文脈でいろいろ聴くようにして、発音できるようになるまで繰り返した。ここで集中的に発音練習したコンテンツを隙間時間で聞き流しで聴くといい復習にもなって、相乗効果が期待できる。エンジョイ言語の聴解は、そこまで徹底せず、ただ単にその言語のドラマやテレビ番組を見るだけのことが多かった。ロシア語は相変わらず Универ Новая Общага を見ていたし、ポルトガル語では、RTPの娯楽型教養番組、Programa Cautelar を見ていた。いつか記事でちゃんと紹介したい。

フランス語はネリー先生の動画が難易度低めでいい。

ドイツ語はKurzgesagtという社会や科学のことを分かりやすくアニメで解説するチャンネルをよく聴いている。「学習者向けではないが、分かりやすさ重視」の動画は非常に役立つ。

ポルトガル語のこの番組は、字幕がなくて半分くらいしか聞き取れないが、言語外の要素からも面白さが伝わってくる。司会者の Filomena Cautela の冠番組だけあって、彼女の話術が番組の肝だが、けっこうな大物も出演していて、全体主義と民主主義がテーマの回では、EUのウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長がゲストとして招かれている。

この番組を知ったきっかけは、インスタのリール動画だったりするからSNSの力は侮れない。

4、その他
「机に向かう元気はないが、スマホをいじることができる」くらいの状態が日に一度くらいは訪れる。根を詰めて頭が痛くなったり、やる気がなかなか起こらずにぐずぐずしている時だ。そんなときでも語学がやれるようにしていて、語学アプリのDuoingo をとりあえずやってみたり、(Duolingo自体は単調なのですぐ飽きるが、やっていると早く本格的な勉強をしたくなる)LingQという語学学習のプラットフォームサイトで、ターゲット言語の軽い読み物をなんでもいいから読んだりした。(スマホダラダラの時間を学習時間にできる)


反省や課題


今月は読むことにコミットしたおかげで、フランス語もドイツ語もだいぶ文章に抵抗がなくなってきた。しかし、正確な理解を目指そうとするとすぐに壁に突き当たってしまう感じで、総合的な読解力という点ではまだまだと言ったところだ。ここにきて文法の基礎知識が定着しきってないことが露呈していて、フランス語なら各時制や叙法の動詞の活用、ドイツ語なら形容詞の格変化や不規則動詞の活用などをいちいち辞書で確認する場面が目立った。もう一度文法をやり直すという意味では、別個に時間を取って「動詞活用だけをやる時間」を設けた方がいいかもしれない。また、あくまで体感だが、フランス語よりドイツ語の方が上達したように思う。フランス語が精読寄りになっているのに対して、ドイツ語は多読寄りのスタイルになっているのが影響しているのかもしれない。最初はポルトガル語の類推から楽に理解できるなと思っていたフランス語だが、読む以外の能力は一からやる必要があるので、そのあたりでちょっと壁にぶちあたってるかなという印象だ。別言語の補助的な知識が独立したものとしてのフランス語の知識の吸収を邪魔している。ただ、ポルトガル語の知識を介在させずにフランス語を理解するにはいったいどういったことを意識したらいいのか、今のところ分からない。いつの間にかなくなるものだろうか。フランス語の聞き取りも相変わらず難しく、逆にドイツ語の聴解能力はスムーズに伸びているように思う。ドイツ語の方は語彙力強化を狙いとしたのもあって、ひたすら様々なマテリアルに当たっていった結果、ボキャブラリーが増えたのが上達の一因かもしれない。来月はフランス語ももっと多読寄りにしてみようか。


まとめ;雑感

今月は言語ごとに具体的な勉強内容をまとめなかったが、もし時間と需要があれば別記事で書こうと思う。noteの執筆ができていたのは、月始めだけで、それは結局のところ、語学の時間を犠牲にしてたからに過ぎない。その月のルーティーンが決まるともう語学しかしなくなってしまうのでいけない。「一日一時間はnote執筆に当てる」のように強制的に時間を囲ってしまうのがいいか。
この調子であと半年くらいフランス語とドイツ語を勉強していれば、その言語で「遊ぶ」ことができるのではないかなと思っている。例えば、現在は「学習として」フランス語やドイツ語のyoutube動画を見ているが、これが「学習しているから見る」ではなくて「おもしろそうだから見る」というふうにシフトしていく感じだ。動画だけではなく本でも映画でもなんでも「そのコンテンツの言語の理解が難しいから」という理由で興味の対象から外れていくものをできるだけなくしていきたい。今そのコンテンツに興味がわかないのは、その言語を知らないからだ。検索さえすれば世界中のコンテンツにアクセスできる時代なのだから、微弱でもいいからいろいろな言語のアンテナを張れるようにしたい。
どうしても地味な勉強になりがちな語学をどうしたら遊ぶように取り入れられるのか、ということは最近はよく考えている。そういうコンセプトで活動しているインフルエンサーとかいないかな~と思って、時々探しているが、「語学=スキル」「語学(英語)=できないと恥ずかしい」「ポリグロットな私、かっこいいでしょ?」「AIで語学はオワコン」みたいな文脈で情報発信している人しか出てこなくて内心もどかしい。自分の嗜好が特殊だからかもしれないが、もう日本語で「語学」とか「多言語」とかいうワードを検索しなくなってしまった。コンプレックスを煽るような情報にしか行き着かない己の検索力が恨めしい。語学のための語学をやっているような人やコミュニティにはなかなか出会えないんだろうなきっと、まあいいか。


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