みんな知らない深夜スーパー

仕事がら24時間営業のスーパーによく行く。仕事終わりが深夜なので、必然とやっているスーパーったら24時間営業になるわけ。
ただ深夜帯のスーパーってわりとカオスでして。

鹿の脳ミソくらいの大きさのキャベツがひな壇の端の方に残ってたりとかね。普通キャベツったら外側剥いてもイルカの脳ミソくらいはあるでしょ?
そんな無いから。残念でした。鹿の脳ミソでした。多分外側剥くだけ剝いて戻されたやつ。

確かに分かるっちゃ分かる。
特に春キャベツなんかは、剥いていったらコア部分が信じられないくらいコンパクトになる事あるよね。
剥いてる手が次第にガタガタ震えだすくらいのやつ。
けどそれをまたキャベツひな壇に戻すのは違うって、昼の民よ。昼を生きる者達よ。

ちゃんと購入してさ、「こんなに小さかったらフォークボールの握り方出来ちゃうじゃん!」って言いながら丸ごとポトフの鍋に投げ込むのが筋ってもんでしょ。
空振り誘うストンと落ちる球で。
こうなっちゃったら三振奪うくらいしか無いんだから。決め玉に使うくらいしか無いんだから。

他にもさ、あと5分で消費期限を迎える刺身とかもあるわけ。
ドリップ吸うだけ吸って鹿の握り拳みたいになってる大根ツマが存在感出してる。

帰宅してから食うんじゃもう間に合わない。
だからこれ買っちゃうと刺身食いながら帰宅するって言う、ちょっと見た事ない人にならないといけなくなる。
「普段大根ツマは食う派だけど、これ鹿の握り拳になっちゃってるからな〜どうしよっかな〜」って呟きながら歩き刺身するちょっと見た事ない人に。
なるべく見た事ある人で収まっておきたい僕にはハードルが高すぎる。

ドリップと言えば鶏肉もそう。
水中から引き揚げた鹿くらいドリップ出てる。
一応吸水シートみたいのは敷いてあんのよ。でもキャパ超えてびっしゃびしゃになってる。なんせ水中から引き揚げた鹿くらいドリップ出てっから。 
もはや珪藻土案件。

一方店員さんは品出し作業でとにかく忙しくしてて、レジは一つ残して全て閉鎖。セキュリティの問題か、困った事にセルフレジまで閉鎖されてる。これが良くない。

一箇所、シェフを呼び出す系のチーンって鳴る銀色のベルが置かれてて、会計時はそれで店員さんの作業を中断させて呼ぶってわけ。
これ、僕がよく利用する西友、グルメシティ、ビッグ・エー(ビッグ・エーは最近2時〜4時で一旦閉めている事があるけど)の24時間御三家の全てで採用されている方式だから、深夜スーパーあるあるなんでしょうね。シェフチーンシステム。

たださ、せっせと作業している手を止めてレジまで召喚する事になる訳だから、いい迷惑なのよ。
そりゃ店員さんは表にはあまり出さないよ。ちょっとは出すけど。
あからさまなため息とかはあるけど、まぁ内心は夜叉だろうから、それを鑑みるとよくぞため息だけで抑えたと言える。
むしろプラス。ため息はプラス。ため息はご褒美。

深夜とは言えそれなりに売上があがる見込みがある立地だから営業しているわけで、オールで盛り上がる大学生グループ、スウェットのカップル、謎のおじさん、タクシードライバー辺りがちょくちょくやって来る。
それらが会計に来るたびに作業を止めて鬱陶しそうにレジまで来る事が分かっているから、息を合わせて立て続けにレジに行きたい。けどちょっと無理だよね。
このイカれたメンバーで息を合わせるのは無理よ。

さっきまでお酒コーナーにいたと思っていた謎のおじさんがペットフードコーナーにいたりすんだから。
それを見ている僕だって、大学生から見たら謎のおじさん枠にぶち込まれてるに決まってんだから。
そもそも深夜に買い物している時点で、我らが息を合わせるなんてのは無理なの。バイオリズム的に無理なの。

そんなわけで、今夜もみんなが寝静まった頃に、イカれたメンバーによる波状攻撃がどこかで繰り広げられている。

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