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朝、ご来光を見るため父に起こされる。

しっかりと厚着をし山荘よりも少し標高の高い頂上へと向かう。

2日かけて登ったコースは
https://www.vill.hakuba.nagano.jp/green/tozan_trekking/model_access.html
白馬三山縦走〜不帰越え(2泊3日)
ここだ。

一泊目の温泉、二泊目の夜景と、とても思い出に残る二日間だった。

特に夜景がここに来なければ見ることのできない貴重な体験だった。

夜の写真講座、満点の星空と人の作る明かりとの対比。

とてもいいものが取れた、中学生としては上出来ではないか。

朝食、父と妹と食堂に行き宿泊者向け食事を手に取る。

確か、当時はハンバーグ定食だったはずだ。

登山客がの男性が声をかけてきた。
『一緒に食べませんか』

中年の男性と私達をあわせて四人で相席をする。

父とその男性が談笑するのを聞きながら山頂にはよほど似つかわしくない豪華な料理を口に運ぶ。

その男性は確か40代前半で一人でこの山に来たらしい。

娘が一人いるようで家族で登山に来た私達のことを羨ましがっていたのを覚えている。


朝食を食べ終えた私達家族とtさんは山荘を後にし、高山植物の原っぱを歩いていく。

何ヶ月かまえに火事があったらしく植物は燃えてしまったものもあったらしいが、そもそもはじめて来る場所なのでそんなにわからなかった。

カメラを父と取り合いながら道々を行く。

途中、父の登山靴の靴底が剥がれ落ちとてもじゃないがあるけるような状況ではなくなってしまった。

結局、セメダインでなんとか応急処置をしてもたせることにした。

そのうち岩だらけの道になりtさんに『石、落とすなよ』と念押しされながら急な斜面を駆けていく。

登りからくる登山客に怖がられながらもせっせと降りていく。

そのうち、見渡す限りのこれでもかと踏みしめられた雪道につく、大雪渓というらしい。

バッグからアイゼンを取り出し靴にはめる。

歩きにくくなったはずの靴でもtさんは顔色一つかえずに一定のペースで歩いていく、最初はそんなに離れていなかったが段々と姿が遠くなり、ついには見えなくなった。

急いて歩いたため父は妹にあわせるため姿はなく前はもう私の目では見えないほどに小さくなっていた。


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