愛とはなんだろう

私の両親は、私の小さい頃めちゃくちゃ仲が悪くて喧嘩が絶えなかった。

お金がいるのに定職につかず、フラフラしている父とお金のために身を粉にして働く母。そりゃあ喧嘩もすると思う。

狭い家での喧嘩はそれはもう凄まじく、怒号と何かが飛び交う音で溢れ、私は兄と部屋の隅っこで静かに泣きながら小さくなってた。

母はヒステリックだし、父は語気が強いのでどちらも譲らない。どちらかが大きな音で扉を閉めて外に出て、その戦争は終わる。

そのせいか私は大きな音や声がめちゃくちゃ苦手になった。特に怒号。固まって動けなくなるし悲しくもないのに涙が出てくる。

その頃は私は父の方が好きで、仕事柄あまり家にいない分、私や兄には甘かったしよくお出かけに連れて行ってくれたのは父の方。

母は出不精なので仕事以外は家から出ない。

父とこっそり出掛けては、母にいつも嫌味を言われていた。「あんたはお父さんのほうが好きだもんね」「お母さんがいきなり居なくなっても知らないからね」「そんなに好きならお父さんと2人で暮らせば?」

機嫌が悪いと手まで出る母は私の恐怖の対象でしかなかった。リモコン取ってと言われて場所が分からずオロオロしていると叩かれる、別のリモコンを投げられる、壁は穴だらけだった。

父はこの事を知ってか知らずか、私に対して厳しい態度や理不尽なことをした事はほぼ無い。

次第に両親の機嫌を取るよう行動するようになっていた私は、祖母からすると子供らしくなくて怖かったと、成長してから言われた。

中学生や高校生になって、私は実家の事が嫌いで、ほぼ家に居ることは無くなった。この頃には母の癇癪はマシになっていた分、父は酒に酔って暴言を吐いたり兄と喧嘩をするようになったのだ。

友達に家の愚痴を言っていたこと、友達に恵まれていたこともあって休日は朝から家を出て友人宅で宿題をし、パソコンでYouTubeを観ながらゲラゲラ笑い、おやつを食べ・・・本当に幸せな時間だった。

学校生活で特に問題もなかったので、両親は特に干渉はしてこなくなった。当時門限に厳しかったけど、今考えると安全の為だったんだと納得もできる。

色々あって成人した後、私は逃げるように実家を飛び出した。高校を卒業して働き出してからも実家の居づらさは変わらなかった。

母は、家を出る時「遠いところに行ったらお母さんの死に目に会えないかもしれないよ、いいの?それでも」と呪いをかけようとしていた。元々資金面で実家からそう遠くない所に引っ越すつもりだった私は、真顔でその言葉を流した。

兄も就職場所に悩んでいた時、この呪いを掛けられていた。兄は地元の企業に就職したが、結局この言葉を未だに根に持っている。

父はアルコールに依存し、意味不明な事を言って兄や母に絡みに行き、そんな父を2人は煙たがる。

家には会話がなく暗い雰囲気がいつも漂う。

父も不器用なだけで優しい人なのに、酒に酔うと人格が変わる。母もそれをわかっているし、何度言っても酒を辞めないから近づかない。兄は知らん顔。

今たまに実家に帰って個々と話すと楽しいのに、皆で集まるとまるでお通夜な静けさは未だに慣れない。

そういう背景があるので私は結婚に対して良いイメージが無いし、したくないなと思ってしまう。

両親2人の間にある愛や絆の形が分からない。

いつかもしかしたら結婚とかするのかなと思っていたのも20代前半まで、今は現実が見えすぎてしまっているのだ。

こんなものは、独身女の言い訳になるかもしれないけれど・・・。


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