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Z総研トレンド通信vol.2「音楽編」

Z総研とは、国内初となる「Z世代」を研究対象としたシンクタンク組織です。シンクタンクとして機能すべく、調査結果や専門知識をレポートなどで企業やメディアに提供するのはもちろんのこと、従来のシンクタンクでは行われづらかった、その先のクリエイティブプランの提案まで行える組織を目指しています。

Z総研トレンド通信では、Z総研が抱えるリアルZ世代コミュニティ所属のメンバーにヒアリングを実施し、「Z世代」で今流行っていることをお知らせいたします。

第二回では「Z世代」の音楽に対するトピックスを深掘りと、リアルZ世代コミュニティ所属のメンバーへのアンケートをとりました。
調査時期:2020年4月22日~25日
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国、12〜15歳7名、16〜18歳25名、19〜22歳11名、23歳以上4名、女50名

Z世代にとってYouTubeやTikTokなどの動画コンテンツはただ動画を見るだけではなく、音楽を聴くコンテンツとしても使われています。

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TesTeeのYouTubeに関する調査レポートによると、10代、20代のYouTube利用率は95%を超えており、impressのweb担当者Forumの調査によるとTikTokの利用率は中学1年生が1番高く、53%を超えています。

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↑TesTee「YouTubeに関する調査レポート」(https://lab.testee.co/youtube201901result

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↑impressBUSINESSMEDIA web担当者Forum「中1女子のTikTok利用率は驚異の53%、動画を投稿するのは「目立ちたいから」ではない?―「LINEリサーチ」を使って若年層の“生の声”を聞いてみた」(https://webtan.impress.co.jp/e/2019/02/07/31649

今やYouTuberは一つの職業として定着しており、テレビにも出演するなど当たり前の存在となりYouTubeがより身近なものになりました。
また、TikTokもTikTokerと呼ばれる動画投稿者が数多くおり、Z世代に人気のあるタレントのほとんどがTikTokに動画を投稿していて、TikTokもZ世代にとって身近なものになっています。
リアルZ世代コミュニティ所属のメンバーもYouTubeやTikTokで新しい音楽を見つけると言っているように新しい音楽はSNSで出会うことが主流になっています。

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↑リアルZ世代コミュニティ所属のメンバーへのアンケート

「アバンティーズ(※)」(https://www.youtube.com/channel/UC26ZU-55UPc7lVR9inHWayA)さんのようにオリジナル楽曲を製作して投稿しているYouTuberや「あさぎーにょ(※2)」(https://www.youtube.com/channel/UCqD72KlQed6DB-cPEaEYdEg)さんのようにオリジナル楽曲に加え、有名アーティストの曲をカバーしてミュージックビデオを投稿しているYouTuberだけでなく、「嵐」さんのように公式チャンネルを開設してミュージックビデオをYouTube上で公開しているアーティストもおり、YouTube上には様々な音楽が投稿されています。
YouTubeだけでなくTikTokにもたくさんの音楽があります。TikTokといえば音楽に合わせて口パクしながら踊る動画を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
元々ある音源を使うだけでなく、TikTok上でオリジナル音源を公開している人もいます。
また、TikTokでよく聴く曲メドレーを歌っている「風歌(PUKKA)」さん(https://www.tiktok.com/@p_p_pukka?lang=en)のような人もいて、TikTokと音楽は斬っても切り離せない関係です。
YouTubeでは関連動画に、TikTokではおすすめにAIがよく見る動画を判断して出してくれるので自分の好みの音楽を見つけやすいのが他のSNSに比べてよく使われる理由のひとつであると考えます。

(※)UUUM株式会社所属の4人組YouTuber。
そら・エイジ・ツリメ・リクヲの4人からなる暴走最先端クリエイター。 中学時代からチャンネルをスタートし、暇なときに思わず笑えるくだらない動画から、ド迫力の超カッコいい映像表現まで幅広く挑戦。 また、メンバーが主演の長編映画を劇場公開したり、人気トラックメーカーと楽曲制作に乗り出したりと活動領域を日々アップデート中。
引用:https://uuum.jp/creator/avantis
(※2)「へんてこポップ」という世界観を幅広い分野で表現し続ける次世代のSNSアーティスト。
YouTubeやTikTokなどSNSでの合計フォロワーは130万人を超え、音楽、ファッション、映像制作と幅広い分野で活躍中。
新しい音楽の届け方や独自の世界観の表現を追求するなど、常に新しいことに挑戦し続ける姿が若い世代から多くの支持を得ています。
引用:https://chocolate-inc.com/planner/asagiinyo/

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InstagramのストーリーズにBGMを付けられる機能がついてより音楽をSNSで知る機会が増えました。
新しい音楽はYouTubeやTikTokで知ってInstagramのストーリーズでシェアをして友達が聴いてる音楽をInstagramで知って聴くようになってシェアしてというサイクルが生まれているのではないかと考えます。また、InstagramのストーリーズやTikTokは自分で開かなくてもそのままの流れで音楽が流れてくるのでより新しいものに出会いやすく、なんかいいなと思ったら曲名をすぐ知れるのもこれらを使うきっかけなのでしょう。
また、今Z世代の間ではラップやチルい音楽が流行っています。
リアルZ世代コミュニティ所属のメンバーが言っている「Rin音(※3)」さんや「唾奇(※4)」さんはどちらもラッパーでInstagramのストーリーズのミュージックにものっています。(唾奇さんはfeat.として参加した曲)
Z世代に人気の恋愛リアティーショー「月とオオカミちゃんには騙されない(※5)」にもラッパーの出演者がいたこともZ世代にラップが浸透したきっかけのひとつと考えます。
InstagramやTikTokでチルい雰囲気の投稿をしたいときにラップのスローテンポな曲がチルさを後押しして雰囲気を出してくれるのでよりこれらの曲に惹かれているのではないでしょうか。

(※3)18歳からラッパーとしてのキャリアをスタートさせ、数々のMCバトルを総ナメする実力派の彼は、CHILL OUT系メロウラップにも高い評価を集めています。恋人への淡い気持ちを綴った歌詞をメロウなトラックにのせた「snow jam」は、2月19日に配信されるとともに中高生を中心にSNS上で徐々に人気を集めだしています。
引用:https://www.barks.jp/news/?id=1000179901
(※4)唾奇は1991年8月4日生まれの、沖縄県那覇市寄宮出身のラッパーです。クリエイター集団”Pitch Odd Mansionに所属”。2017年にトラックメーカーSweet Williamとともにアルバム『Jasmine』をリリースし、他方からの評価と認知を得ます。その後も自身のソロ作『道-TAO-』や、他メジャーアーティストへの客演などを経て、2019年には同郷の人気アーティストAwichとのカップリングツアーも実現させるなど、異彩を放ちながらも、スターダムな活躍を見せる人物です。
引用:https://dews365.com/newpost/185062.html
(※5)シリーズ史上最多の11名の男女が登場。 真実の恋をしたい男女が本気の恋に落ちていくまでを追いかける恋愛リアリティーショー。 しかし、女子の中には好きなフリをする嘘つき“オオカミちゃん”が最低1人混ざっています。 女子メンバーが6名に増えたことで “オオカミちゃん”予想は最高難易度に。嘘つき“オオカミちゃん”の狡猾な罠により、シリーズ史上最も予測がつかない男女の駆け引きが繰り広げられます。 “オオカミちゃん”ならではの刺激度と、ロマンチックな冬の恋はどんな展開を見せるのでしょうか?
引用:https://abema.tv/video/title/90-1332

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SNS、特にTwitterでオタ垢と呼ばれる好きなアーティストの情報収集や同じファンの人との交流に使うためのアカウントを持つ人が増えています。
BIGLOBEの「若者のスマホ利用実態に関する調査」によると10代の約6割が複数のアカウントを持っており、特に女子高校生が趣味に関するアカウントを持っている割合が高い傾向にありました。

SNS複垢

↑BIGLOBE「若者のスマホ利用実態に関する調査」(https://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2017/03/170328-1

複垢 理由

↑BIGLOBEの「若者のスマホ利用実態に関する調査」(https://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2017/03/170328-1

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TwitterなどのSNSでハッシュタグを使って同じファンの友達を作って情報を共有するだけでなく実際に会って一緒にライブに行ったり、プライベートでも友達として遊んだりするリアルZ世代コミュニティ所属のメンバーもいました。
リアルの友達に必ずしも同じ趣味の友達がいるというわけではありませんし、オタクであることを堂々とリア垢(リアルのアカウント)で公言するのはなかなか気がひける行為です。
もしかしたらそのコンテンツが苦手な人だっているかもしれません。
SNSには自分と同じ趣味の人がたくさんいますし、同じ価値観の人もいるでしょう。実際に私もSNSで知り合った共通の趣味の人と意気投合して旅行も行くほど中のいい友達ができました。
アプリで恋人を探すのも当たり前の時代です。SNSで知り合った人と友達になるのも当たり前の時代になったのです。

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リアルZ世代コミュニティ所属のメンバーへのアンケートで好きなアーティストを聞いた所「Official髭男dism」さんが1番人気で続いて「Mrs. GREEN APPLE」さん、「TWICE」さんが人気でしたが、かなりばらつきがありたくさんのアーティストを答えてくれました。
また、好きな恋愛ソングも皆違う歌をあげていました。

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一方でメンヘラソングを聞いている3割の人にどの歌が好きか聞いた所恋愛ソングに比べてばらつきが少なく、あいみょんさんの「貴方解剖純愛歌~死ね~」とMy Hair is Badの「復讐」が特に人気でした。

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↑リアルZ世代コミュニティ所属のメンバーへのアンケート

そのメンヘラソング や病み系ソングの好きなところを聞いたところ曲調やリズム、独特の雰囲気や共感することが多くあがりました。
あいみょんさんの「貴方解剖純愛歌~死ね~」のタイトルにも「死ね」とあるようにサビの部分で死ねと歌う所が思い切りが良くて好きという意見や独特の曲調、雰囲気、ノリの良いリズムに衝撃的な歌詞が歌うとストレス発散になるという意見もありました。
気分が沈んだ時や失恋してしまった時に特に共感するそうで、自分の気持ちを代弁してもらっているような気持ちになるのだと考えます。
一方でリアルZ世代コミュニティ所属のメンバーが1曲くらいならと言っているようにメンヘラソング や病み系ソングは衝撃的な歌詞など恋愛ソングの中では重めの部類に入ると思うので、万人受けしづらい所があります。
リアルZ世代コミュニティ所属のメンバーへのアンケートでもメンヘラソング や病み系ソングを聴く人は約3割と少なめではありますが、その層に深く刺さる歌詞や雰囲気がメンヘラソング や病み系ソングが人気な理由なのでしょう。

音楽というのはファッションのように流行がありつつも、それぞれの好みはバラバラという印象を受けました。
SNSから新しい音楽に出会うことが大半ということは昔のようにテレビや近くのCDショップで音楽を見つけていた頃とは違い、数え切れないほど多くの音楽と新しいジャンルに出会う機会が増えたということです。
AIも発達し、好みの音楽を分析して提案してもらえます。
また、SNSが発達したからこそ音楽を発信している人も自分の音楽を発表するコンテンツを選べるようになったと思います。
CDを作らずに音楽配信サービスで配信するというアーティストやYouTubeで配信するアーティストもいます。
恋愛ソング、メンヘラソングや病み系ソングも今は数え切れないほど様々なものがあり、自分の気持ちを代弁してくれるような曲にきっと出会えるでしょう。
SNSは今までのコミュニティには存在しなかったものに出会えるコンテンツであり、可能性を広げてくれるものとなりました。
危険性は確かに伴いますが、Z世代はそれをうまく使いこなし新しいコンテンツに出会い、広い視野を得ているのだと考えます。


参考文献
TesTee Lab.「YouTubeに関する調査レポート【10代20代対象】」
https://lab.testee.co/youtube201901result
impressBUSINESSMEDIA web担当者Forum「中1女子のTikTok利用率は驚異の53%、動画を投稿するのは「目立ちたいから」ではない?―「LINEリサーチ」を使って若年層の“生の声”を聞いてみた」
https://webtan.impress.co.jp/e/2019/02/07/31649
UUUM株式会社 クリエイター 「アバンティーズ」
https://uuum.jp/creator/avantis
CONTENT STUDIO CHOCOLATE.Inc PLANNER「あさぎーにょ」
https://chocolate-inc.com/planner/asagiinyo/
BARKS JAPAN MUSIC NETWORK「大学生ラッパーRin音にご注目を」
https://www.barks.jp/news/?id=1000179901
ダンスニュースメディアサイトDews「ラッパー・唾奇とは?今すぐ聞きたい名曲やプロフィールを紹介」
https://dews365.com/newpost/185062.html
AbemaTV「月とオオカミちゃんには騙されない」
https://abema.tv/video/title/90-1332
BIGLOBE「10代のSNSは“複アカ”が常識、”異なる自分”を使い分け BIGLOBEが若者のスマホ利用実態を調査 ~大学生男子は「人間関係の愚痴」「過去を隠すため」に複アカ利用~」
https://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2017/03/170328-1


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